「光る産毛にただ見とれていた」
2005年の3月2日に至高のシングル「ROMANCE」をリリースしたBUCK-TICKは、
4月6日に最新アルバム『十三階は月光』を控えて、
また、頻繁にマス・メディアに、その姿を表すようになった。
久々のメンバー全員揃っての地上波全国ネット番組出演は、
4月1日に放映された、NHK『 POP JAM 』からの映像。
司会を務める西川貴教の軽快なホストぶりも光り、
非常に興味深い、BUCK-TICKメンバーのトークと表情を見ることが出来る。
同番組内にて、アルバム『十三階は月光』の先行シングル楽曲「ROMANCE」を演奏している。
このテレビ番組『POP JAM LIVE GOLD』で西川貴教が、司会者としてホストを務めた
第一回目のゲストが、BUCK-TICKであったことと、
BUCK-TICK自身が、この年結成20周年のアニヴァーサリー・イヤーを迎えている事が、
印象深く、久々の全国ネット放送出演であった為、この放送を見て、
BUCK-TICKファンになったという人も多いと聞く。
また、音楽活動として、T.M.Revolutionを率いる西川貴教の関西人特有の人懐っこさが、
人見知りするBUCK-TICKメンバーの心を柔らかく砕いたとも言えよう。
西川貴教は、この2005年、abingdon boys schoolを結成し、本名の名義でボーカルとして参加。
ネイルクィーンのメンズ部門受賞。
その後、このabingdon boys school名義で、
2007年のBUCK-TICKのメジャーデビュー20周年記念ライヴツアー【TOUR PARADE】及び
横浜みなとみらい・新港埠頭特設野外ステージにて行われた
【BUCK-TICK FEST 2007 ON PARADE】にも参加し、この先輩バンドに敬意を表している。
彼の気さくな人柄の良さは、業界では有名であり、
ラジオ放送の『西川貴教のオールナイトニッポン』のパーソナリティを務めた実績からわかるように、
芸人顔負けのトーク術で、人を引き込む魅力がある。
本人いわく、
「プライベートはかなりのインドア派で、芸能界での交友は少ない方だ」
と公言しているが、
その交友関係は多岐に渡り、同じくBUCK-TICKの血筋を継承していると言える
ミュージシャンの清春とは長年交友があり、
『西川貴教のオールナイトニッポン』にはよくゲストで出演していた。
共にミュージシャンとして心底尊敬しあえる仲であり、
ライヴ、音楽番組などで共演したこともある。
2005年4月29日放送のCX系「笑っていいとも!」内のテレフォンショッキングでは、
「僕が唯一、あの、心を開ける友達なんですけど」と清春は西川貴教の事を紹介しているし、
また、同番組内で、ライヴ中の西川貴教を
「僕から見ても全然凄い」、「歌凄い。声でかいし」とその歌唱力を絶賛している。
また不仲との噂のあったGacktも彼の歌唱力を絶賛している。
プライドが高いといわれるGacktに、
「日本で数少ないピッチのいいアーティスト・2回まわしのLIVEなのに声の安定感が凄い」
と褒めちぎられている
(Gacktがここまで他のアーティストを褒める事は滅多にない。
※ちなみにGacktは櫻井敦司の事も「この人の雰囲気、空気感、大好き」と評価している)。
西川貴教とGacktは、お互いのライヴに行き来するようになった後に、
これも2005年に司会を務める同番組『POP JAM』にゲストとしてGacktが登場し、
ゲストトークの際に西川貴教ならではの温厚さによってさらに仲が深まり、不仲説を打ち破った。
この時、会話も、彼がBUCK-TICKのメンバーを弄るこの映像と同じイメージで、
Gacktの持つダークなオーラを、西川貴教の見事なウイットで、リラックスさせて魅せた。
Gackt自身も、精神的な距離がこんなにも近づくとは思っていなかったのか、驚いていたという。
そんなコミュニケーション能力の天才と言える西川貴教も、
独特の雰囲気を持つ自らの憧れの先輩格BUCK-TICKのメンバーを前に、
緊張が隠せない様子である。
間違いなく、西川本人も、「JUST ONE MORE KISS」「惡の華」で、
ブレイク期のBUCK-TICK現象を体験した一人であろう。
そんな西川とBTの関係は、一見、蛇に睨まれた蛙のような状況にも見えるが、
ダークなイメージのBUCK-TICKTメンバーの天然の空気感に、西川貴教も引きずり込まれるように、
トークが進み非常に興味深い。
そして、彼らも、ヤンチャな後輩を可愛がるように、
西川貴教との会話を楽しんでいるように思う。
黒のスーツ一色のBUCK-TICKに対して、
「いや~~な、ホスト・クラブみたいになってますが。。。
ど~ですか?20年て?あっという間でしたか?」
のっけから先制攻撃を加える西川貴教であるが、独特のBT沈黙モード…。
さすがに、歳の巧、櫻井敦司にジーット見つめられると、すぐに、
「ほ~ら、誰がしゃべるかわかんない!お酒!持って来て!!」
と助けを求めるところが、彼の可愛らしいところである。
「スタンスとして、自分たちペースを守っているように感じるんですけど?
ど~ですか?そんなことないんですか?」
(アレ?また誰も答えてくれない。。。)
しばし、沈黙の後、
ヤガミ「…でも、マイペースですよね」
西川「ね!よかった~ヤガミサン!口がきける人で!」
S心をくすぐられたたか、やや、素っ気ない櫻井&今井の「自然に…やってる…ケド」返答の後に、
樋口“U-TA”豊の丁寧な返答に感激して、
西川「いいですよね樋口サンはいつも柔和で…、目が合った時も微笑み返ししてくれて…。
櫻井サンみたいな、ホラ、こう…、“悪だくみ”みたいな感じじゃなくって」
櫻井「損だよね!(笑)」
西川「損です!損なんです!いい人!すごく!
間違ってる!みんな!…ハムスターをこうやって(しっぽを摘む仕草)喰べたりしない!」
櫻井「美味しいョ(笑)」
西川「美味しいですか!?ソコ乗ってくるんだ!」
U-TAの柔和な笑顔と、櫻井のニヒルな笑いとを比較して見せるところが流石であったが、
ここも、櫻井敦司が一枚上手であった。
そんな、西川貴教も、さらに、天然とされる星野英彦には、
「ホント、自然ですよね。スゴイと思いますそのフリーな感じ!
フリーですよ!フリ●ンですもん!」
と突っ込み、これには、他のメンバーも爆笑してしまう。
始終楽しい雰囲気のBTと西川のトークであったが、
ずっと一番後ろからバンドを見つめてきた最後のヤガミトールの言葉が胸に突き刺さる。
ヤガミ「…でも、ずっとですけど。 It's a now っていうか。今、今って来たから…。
今の瞬間、大事にして、一生懸命やって…。
まあ、それで何年続くか、わかんないですけど。
…誰か、死ぬまで、頑張りたいと思います(笑)」
これには、西川貴教もジーンと来た様子で、
西川「いや、そんな…。もし、嫌じゃなかったら、また、来ていただいて…」
櫻井「嫌じゃないです、全然…。むしろ来たいくらいです」
と最後に優しい言葉をかける。
西川「ああ、よかった!
じゃあ、今回の新しい楽曲……。「血みどろの風車」でしたっけ?」
と最後に茶目っ気たっぷりに返し笑いを誘う。
西川「じゃあ曲紹介!、櫻井サンのほうから!」
櫻井「ロメンス…聴いて下さい」
ROMANCE
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
月明かりだけに許された
光る産毛にただ見とれていた
眠り続けている君の夢へ
黒いドレスで待っていて欲しい
ああ 君の首筋に深く愛突き刺す
ああ 僕の血と混ざり合い夜を駆けよう
月夜の花嫁
天使が見ているから月を消して
花を飾ろう綺麗な花を
ああ ひとつは君の瞼の横に
ああ そしてひとつは君の死の窓辺に
闇夜の花嫁
ああ こんなに麗しい跪き祈りの歌を
ああ 今夜も血が欲しい闇をゆき闇に溶け込む
ああ こんなに麗しい跪き祈りの歌を
ああ いつしか腐りゆく跡形も無く消えてゆく
ROMANCE
