その時、“愛”は、生まれたのだ。
「今ここに 終わるモノと始まるモノが クロスしている
なんていう なんていう絶頂・・・」
絶頂……、Climax Together……
横浜アリーナの巨大の緞帳に内側から照明が当たると、どうしても思い起こしてしまう…。
「ひょっとして、JUPITER?」
「いや、そんな訳はない…」
そんな“予定調和”は、彼らが最も嫌う事のハズ…、
しかし、今井寿の事だ、裏の裏をかいて来る可能性は…ある…。
「Caim and resonance」を聴きながら、
そんな、自己返答を繰り返した。
巨大な緞帳から光が射す、ここまでは、12年前と一緒だ。
スタートから、ともに絶頂を祝うことになる。
緞帳が、落ちる。
すると、12年前とは、正反対の彼らが其処のいた。
しかし……
これぞ!Climax Together!!
12年という年月をひと括りに人生の流れを見る理論がある。
冬3年、春3年、夏3年、秋3年の12年で一巡する人生の変遷。
【春夏秋冬理論】という。
自然に春夏秋冬という季節があるように
人生にも春夏秋冬という季節がある。
人生は季節のサイクルでめぐるという【春夏秋冬理論】。
この理論で、金融恐慌やその結果巻き起こる戦争、
また、その中から誕生する新たなる価値に基づく“新世界”。
その大きな運命の波を72年サイクル、60年サイクルとする説があるが、
いずれにしろ、この最小単位12年サイクルで、説明が付く。
そして、“絶頂”の瞬間が“今”。
“終わり”と“始まり”がクロスする地点。
ああ、なんて、美しい。
彼らにも、このサイクルが適用するのであれば…、
まさしく、この横浜アリーナ【Climax Together】も、
人生の長い営みの中で、巡る“絶頂”を切り取った瞬間と言えなくはないだろう。
12年というサイクルで、皆、一度、生まれ、一度、死ぬ。
そして、想う。
「そうか!そうだよな…時は確実に巡っているのだから!」
「21st Cherry Boy!いいオープニングだ。
まさしく今ここに終わるモノと始まるモノがクロスしている!
なんていう、なんていう……絶頂か!!」
この世に変化しないものなど、存在しないのだ。
19年目に再結成されたと言っていいBUCK-TICK。
翌年には、結成20周年を控えていた。
今さら、挑戦する必要などない?
否、何年目か、なんてことにたいした意味はない。
生きること、生き続けることが、“挑戦”だ。
オープニングは、新時代の幕を開ける「21st Cherry Boy」。
今井寿と星野英彦のポップなスキャット・コーラスが響いてる。
ソリッドなギター・リフが、彼らの再来を祝福しているようだ!
“美学”という完全無欠を気取った12年前とは、全く正反対の煌びやかなオープニングの横浜アリーナ。
これが【悪魔とフロイドの宴】開始の狼煙となる。
「輝くんだ 世界中 目覚めてくれ
深い闇で生まれたお前は愛 」
ほんの2ヵ月前まで、棺(棺桶)型の特製ギターをかき鳴らす
“ロケン”の申し子と化していた、惡童“今井寿”が、我が家にやっと帰って来た喜びを表すように、
赤マイマイをかき鳴らす…。
Lucyでは、ご法度となっていたデジ・ロックの真髄をグラマラスにかき鳴らす。
この男が居なければ、この男が“ロケン”と出逢っていなければ、
このBUCK-TICKも存在しない。
そんな、人生、想像もできない。
すべての起源。ヤツこそ、だいたいオリジナル。
今井寿のスキャット・コーラスがたまらない。
「狂おしく無邪気な残酷さ
君のその欲望は綺麗で汚い愛しい 」
少し、休憩の長かった星野英彦は、あの懐かしい人懐っこい微笑みを浮かべ、此処に帰ってきた。
彼はその長身を、活かして、客席を見下ろす。
「待ってたんだ。この時を」
いつ見てもスタイリッシュな星野英彦が、いつもより大きく輝いた存在に見えるのは、
この半年、彼の分厚いギター・サウンドを耳にしていなかったせいかも知れない。
やっぱりコイツの代わりは、誰にも出来ない。
威風堂々、素晴らしい存在感だ。
おかえり!ヒデ!!
「そうだ。このギター・リフの壁こそ、BUCK-TICK!
今井&星野の最狂コンビの生み出すマジックだ!!」
本当にそう感じる。
このギターの二人は、もう、コトバでは表せないが、存在自体が“特別”だ。
「罪深きこの手に 降り注ぐ愛の歌にまみれて 踊ろう
飾り立てたならおいで悪魔の夜は抱き合っていよう 」
最後部で、バンドのボトム・ラインが弾ける。
金髪のトサカのリーダー!とバンドのアイドル。
最高のグルーヴを生み出す樋口兄弟。
彼らのコンビネーションは、“兄弟”というコトバだけでは片付けられない。
まさに、その人生の鼓動を鳴らす、躍動感だ。
やはり、この二人が底辺を固めると、緊張感の中にぬくもりを感じる。
生き様が、にじみ出るリズムの鼓動だ。
「ああ、これこそ、BUCK-TICKだ!間違いない!」
心臓部から血潮を惜しげもなく、発射し続ける最高&最強のBROTHER!
ヤガミ“アニイ”トール & 樋口“U-TA”豊!!
あんたらがいないと、BUCK-TICKは走り出さない。
そして、走り続けろ!
今宵も、その魂の鼓動を、解き放ってくれ。
「俺に触れてくれ その唇であなたの愛の息吹を
さあ 神となって」
そして、この男。
2ヵ月前、NHKホールで2日間の奇跡のパフォーマンスをやってのけた“愛の惑星”の“唄い人”。
その“愛の伊吹”で、触れてくれ。
すべて、消え去り、黒の悪魔が愛を呑み込んだ。
目には見えない、全てを真実とした。
ああ、何もない、この惑星(ホシ)に 。
シックな黒尽くめの衣装は“魔王”の御帰還を表すのか?
今宵は、丁寧にネクタイまで締めて、そう、正装での御帰還だ。
彼にとってのBUCK-TICKは、我が家のようであり、
また、最高の催しが施される“舞踏会”でもある。
そう、“キラメキ”と“暗闇”がクロスする場所。
此処で、いつも“破壊”と“創造”が、“死”と“誕生”が“Loop”する。
どんな楽曲が、考案され、試作され、繰り広げられようとも、
彼が“唄えば”、それが、BUCK-TICKそのものになる。
BUCK-TICKが、BUCK-TICKたるシンボルだ。
そんな意味において、世界中で唯一無二とは、彼の事…。
櫻井敦司。
今夜も最高に、狂おしい。
「21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy. 」
巨大な緞帳の中から登場した、これまた、超巨大な、
豪華絢爛極めるシャンデリアの輝きの負けないくらい…
煌びやかな光を我々に向けて放つ、この5人が駆け抜ける。
此処に存在してくれるだけで、“奇跡”だ。
今井寿は、左手をあげて、お得意のポーズをキメてくれる。
櫻井敦司は、早くも、花道まで出張って帰還の挨拶をする。
「ただいま」此処に帰ってきたよ。
おかえりなさい。そして、いってらっしゃい。
この世の“絶頂”の向こう側までも!
そんな、感謝と祝福で、胸がいっぱいになる。
やはり、これぞ、BUCK-TICK!
この感覚は、恐らく時が経っても、変わらない。
そんな気持ちにしてくれる2度目のClimax Togetherのスタートだった。
21st Cherry Boy
(作詞:櫻井敦司・今井寿 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
輝くんだ 世界中 目覚めてくれ
深い闇で生まれたお前は愛
狂おしく無邪気な残酷さ
君のその欲望は綺麗で汚い愛しい
罪深きこの手に 降り注ぐ愛の歌にまみれて 踊ろう
飾り立てたならおいで悪魔の夜は抱き合っていよう
俺に触れてくれ その唇であなたの愛の息吹を
さあ 神となって
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
俺もお前も独りだ強く、この世界で 躍るだけだ
飾り立てたならおいで悪魔の夜は抱き合っていよう
そして触れてくれその唇で あなたの愛の息吹を
さあ 神となって
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
君が駆け抜ける

