櫻井敦司ソロライヴ【EXPLOSION 愛の惑星】。
アルバムのラストを飾る「猫」が終了すると、誰も聴いたことのない楽曲が始まった。
再び、「YELLOW PIG」の様な激しさと、「ハレルヤ!」のような哲学的な要素が融合した楽曲。

「EXPLOSION(未発表曲)」である。

【愛の惑星 LIVE 2004】本編はこの楽曲で終了する。
そして、この後、繰り広げられるアンコール楽曲は、
櫻井敦司の“唄い人”としての“原点回帰”が見え隠れするような貴重なパフォーマンスとなった。


アンコールの始まりは、今回集結した多彩なメンバーを紹介する櫻井敦司。

最右翼に位置するのジェイクこと川瀬昌知を最初に紹介して、
続いて、一番左側に飛び、ギターの三代堅、ベースの松田知大、ドラムの阿部耕作、の順に紹介。
そして、最後に、このライヴ・プロジェクトのリーダーの鬼才:藤井麻輝の名を呼ぶ。

 「皆で盛り上がりましょう!
 じゃ、ミヨケン(三代堅)、行こう!」


そのアンコールのスタートは、エルマロのメンバーのユニット「FOE」が参加した「惑星」。
岸田研二(惑星)の楽曲提供によるこの「惑星」に、
櫻井敦司は、後にアルバム・タイトルとなる“愛の惑星”を含む詞を載せた。

シンプルなギター・リフ、シンプルで分り易い歌詞、パンキッシュな疾走感、
濃く深いアルバム『愛の惑星』の中で、逆に際立って見える存在だ。
そんな中にも櫻井敦司らしさが浮き出ているグランジ・ロックとなった。


「愛し合おう この星で
 愛し合おう ハイになって
 愛し合おう この場所で
 愛し合おう さあ楽しもうぜ
 めちゃくちゃに」


まるで、佐藤タイジの「胎児」のアンサー・ソングとも言える「惑星」。
せっかく、産まれ堕ちたのだ。

愛し合おう!この“惑星”で!!

「もらった命だ 大事にしょうぜ
 誰の物でもありゃしない
 燃やせ その鼓動は爆発」


「震えているけど 鼓動は歌う」と唄う「胎児」の“鼓動”は、
この「惑星」で“EXPLOSION”するのだ。

櫻井敦司にとっては、このソロ・プロジェクト自体が、“爆発”だ。
その重い腰を、17年のキャリアを経て、熱狂させるプロジェクト。

櫻井敦司の声を聞こう。

以下、『Bridge』誌より引用する。




(以下、引用抜粋)



「「ソロにいっちゃったら、バンドに戻れるのかな」と、それが怖かったんです。
でも外へ向かったというか」
(櫻井敦司)

BUCK-TICKデビュー17年目にして、櫻井敦司初のソロ・アルバムとなった『愛の惑星』。
この作品は1曲ごとに楽曲提供者を変えるという手法が取られて、
レイモンド・ワッツ、惑星のヴォーカル&ギター岸田研二、佐藤タイジ、さらには岡村靖幸といった、
驚きのコラボレーション作となった。

そして、さらに驚くのは、櫻井敦司がこの錚々たるメンツによる世界を理解しながら、
かつ櫻井ワールドの楽曲に仕上げていることだ。
その端整な顔立ちとは裏腹の、
ぽわんとした天然キャラクターが愛されててきた天然キャラクターが愛されてきた櫻井敦司だが、
このアルバムでは、櫻井敦司の楽曲の解釈能力、
多様な世界観を持った楽曲と自己の美意識をすり合わせる調整力、
そして自己の美意識を対象化できる客観性という、
愛すべきキャラの裏側に隠れていた知性が浮き彫りになっているのだ。
実に知性的な作品だと思うし、実にその通りのインターヴューになったと思う。

――ちょっとした奇跡ですよね、これは。

「ははは」

――まずBUCK-TICKというバンドが17年続いてるっていう。
同じ時期にデビューしたバンドがどれだけ残っているかって言ったら。

「そうですね。まあ奇跡と言える(笑)」

――で、17年目でソロを出すって聞いてのけぞりましたけどね(笑)。

「ははは」

――「ストーンズかよ?」って思いました。

「はははは。確かにそうですね(笑)」

――やっぱこのバンドはすげえって思いましたよ(笑)。
で、まずはこのソロに至ったいきさつみたいなのを聞かせていただければと思うんですけど。
17年というキャリアがあって、なぜ今になってという疑問が当然あるんですよ。

「今の自分があるからと今でも思ってますから、ソロをやる必要ってのを感じてなかったんですね。
音楽がやりたければバンドでやればいいと思っていましたし。
個人としては何か音楽をやるという、まあそこまでエネルギーもないですし、技量もないんで。

でも今回は人のせいにしゃうつもりはないんですけど、
ほかのメンバーがいろんな人と活動するっていうのを聞いて。
で、バンドとして活動しない時間があるっていうので、
ソロをやってみませんかと背中を押されたっていう感じなんですけど」

――エネルギーも技量もないっておっしゃいましたけど、俺はそんなことないと思うし、
実際過去にはソロ活動のオファーがなかったわけではないでしょう。

「ええ。ありました。
ですけど、やっぱり本人がうんと言わなかったんでしょうね」

――はははは。
で、このアルバムなんですけど、1曲1曲違う方とコラボレーションされるっていうのが功を奏してますね。
これだけ美しい雑食ははじめて見たなっていう。

「ほんとにないんですよね。こだわりが。
コラボレーションのチョイスは、『自分でやりたい人を挙げてくれ』って言われたんですけど、
そんなに思い浮かばなくて、ビクターのディレクターの田中さんのセレクトがほとんどなんです。
自分のこだわりみたいなのが出てきちゃうと、
自分の枠の中だけで終わっちゃうんで、かえって面白くないんじゃないかなと思います。
まあ、はじめてやった人ばかりなんで、不安も少しありましたけども、
でも、もういざ自分がマイクの前に立ってやってみるとなんとかなっちゃうみたいな。
なんとかしちゃおうっていう感じでした」

――へえ。
じゃあ、櫻井さんの実作業としては、BUCK-TICKの形態とほぼ変わらないっていう感じで進めていけたんですか。

「そうですね。ほんとに作業としては何も変わるところはなかったですね」

――曲が上がってきて、それを櫻井さんは、バンドとしてではなく、
自分のものとして詞と歌で乗りこなさなきゃいけないわけじゃないですか、
それで苦しんだりっていう部分はなかったんですか?

「そん時はもう必死で自分の直感を頼りにやりましたけど、苦しむっていうほどではないですね。
ただ楽曲にまけちゃうっていうか――もうちょっとパワー出さないと楽曲までしぼんでしまうという、
そういう感じがありました。
まあ体力というか喉といいますか、そのギリギリのとこまでやったのはありましたけどね」

――櫻井さんは絶えず「曲と向き合う時は直感」と言いますけど、
実はきちんとした客観的な解釈もされてると思うんですよね。
曲の世界観をきっちり掴んで、自分と照らし合わせて、
正しく落とし込むっていう作業をきちんと全部やられてるんですよね。

「(笑)そんなに言ってもらえると照れますね。そうであればいいと思ってますけど」

――だって、ほんとに直感のみだったら絶対途中で潰れるし、続けられないですよ。

「確かに直感が頼りって言いましたけど、そのあと何かやっぱり答えというか、
自分が一番答えだと思えるようなものを探して、頭は自分なりにフル回転してましたね。
最初に出てきた、第一印象だったり、感じたことだったり、
出てきた言葉っていうのを、まず見逃さないというか。
そしていろいろなことを考えるんですね。
でも結果、あんまりひん曲った方向にいかないようにはしてましたけど」



(以下、引用抜粋)



こうして、重い腰をあげた櫻井敦司に、コラボレーター達は、個人個人の直球で勝負した。

中でも、最もストレートな出来となったこの「惑星」が、
このアルバムのタイトルに採用され、鼓動を爆発させる結果へ導いていったのだ。

「愛し合おう 粉々に
 愛し合おう 砕けるまで
 愛の惑星 愛の惑星」


そうだ。
愛と死だ。
一度生まれ、一度死ぬ。
命短し、恋せよ乙女。

「拾った命だ キスしてやろうぜ
君の好きにすればいい」



この狂った世界に、翳りゆく世界に、産まれ堕ちた“奇跡”。
だから…。


「愛し合おう この星で
 愛し合おう 青い星で
 愛の惑星 愛の惑星」



愛してるぜ!Baby!




惑星-Rebirth-
(作詞:櫻井敦司 作詞:岸田研二)


愛し合おう この星で
愛し合おう ハイになって
愛し合おう この場所で
愛し合おう さあ楽しもうぜ
めちゃくちゃに

もらった命だ 大事にしょうぜ
誰の物でもありゃしない
燃やせ その鼓動は爆発

夜が来れば 星が降る
きっと ああ

愛し合おう 粉々に
愛し合おう 砕けるまで
愛の惑星 愛の惑星

愛し合おう 青い星で
愛し合おう さあ弾けようぜ
めちゃくちゃに

拾った命だ キスしてやろうぜ
君の好きにすればいい
君のそのハートのままに

夜になれば 星になる
きっと ああ

愛し合おう この星で
愛し合おう 青い星で
愛の惑星 愛の惑星


【ROMANCE】