Lucyはファースト・アルバム『ROCKAROLLICA』収録の全16曲の新曲を引っさげて、
2004年6月18費高崎club FLEEZから
【TOUR“Lucy Show~Shout,Speed,Shake your ROCKAROLLICA~】を展開。
7月11日の横須賀Cafe Le PSYENCEまで熱狂のライヴ・パフォーマンスを繰り広げた。
そしてその模様は、11月17日、DVD『Lucy Show~Shout,Speed,Shake your ROCKAROLLICA~』
としてリリースされている。
7月9日の川崎CLUB CITTA’を中心に構成されたライブ映像となり、
バックステージから移動の模様、打ち上げと、ふんだんにオフショットも挿入され、
このライヴツアーの臨場感が地下に伝わってくる。
また、ボーナス映像としてヴィデオ・クリップの「DOUBLE BIG BANG」、
最終公演の横須賀Cafe Le PSYENCEで演奏された「テキーラ」も収録。
Lucy流“ロケンロール”を存分に堪能できる。
また、今井寿サウンドのルーツとも言えるYMOの「NICE AGE」も鑑賞できる。
同年代のKiyoshiも、熱いコーラスで、その存在感を発揮しているし、
岡崎達成に関しては、感無量の喜びを表現してプレイしている姿が清々しい。
恐らく、この3人も、偉大なるルーツへの憧憬と尊敬を込めてこの楽曲を演奏したものと思われるが、
Lucyアレンジでの「NICE AGE」を聴いていると、
YMOが、いかに偉大な“ロケン”トリオであったかを思い知らされる。
テクノだ、前衛だ、クラッシックだ、と様々な装飾物でヴェールに包んで見ても、
YMOは、間違いなく、その中核に“ロック”を置いていた。
それが、実証されるような、映像と言えるだろう。
だからこそ、今井寿は「こんな人間」に育ったのだ。
ありがとう。
(以下、『UV』誌より引用抜粋)
――あっという間に16曲上がったという感じはありますか?
Kiyoshi「4月の後半に、やっと終わったんですけど。すごい気に入ってますよ。
なかなか作れるものじゃないだろうなっていう感じのものができたから。全曲気に入ってます」
――まさか2年前の話がこうやって形になるとは?
Kiyoshi「言ってはいたけど、実際に動くのは絵空事ではなくて、パワーがいることだから」
岡崎「僕も気に入ってます。楽しくやれて。
ふたりがガッとやってるときのエネルギーはすごいので。
そこで楽しまないわけにはいかないというか」
今井「ストレートな感じに並んでいると思うんです、あまりヒネッた感じじゃないというか」
――歌詞もストレートなものが多いし。
今井「ええ、語感のいいものが自然と選ばれるというか、乗りやすい曲が多かったので。
まずバッとノートに言葉を書き出していって、そこから浮かんだりとか。
イメージは曲ごとにもちろんあるんですけど、
そうやって選んだものが語感優先、みたいな歌詞になってますね」
――かなり面白い仕上がりになりましたね?
今井「はい、面白いものができたと思います。
あと、バンド感がしっかりあるし。
自分たちの別ユニットというものじゃなくてもて、Lucyっていうバンドにちゃんとなったと思いますね」
――6月から始まるツアーの構想もそろそろ固まってきてるんじゃないかと思いますが?
今井「いや、夢ですからね、いろんなことが起こりますよ(笑)。明日ライヴ?みたいな(笑)」
――実際はそんなことにないように(笑)。
でも、はじけられそうな曲が多いから楽しみですね?
今井「ええ、やり逃げみたいな感じにしたいです(笑)」
岡崎「ライヴはますます楽しみで
。僕、ドラム叩いているときって、つい笑っちゃうんですよ。
鼻垂らしながらやってそうな気がしますね(笑)」
Kiyoshi「ライヴだからさらにむき出しな感じでできるからって思ってるんだけど。
すごく楽しみですね。まず歌詞を覚えないと(笑)」
(以上、引用抜粋)
さて、今井寿は、なぜ、YMOの「NICE AGE」をカバーに選曲したのか?
諸説ある。
「NICE AGE」は、YMOオリジナル・アルバム『増殖』の2曲目に収められている。
前作のアルバム『公的抑圧(PUBLIC PRESSURE)』に続き、
アルファレコードが10万枚の限定で発売しようとしたが、
予約が倍の20万枚入ったので通常発売に切り替えた、という逸話も存在するアルバム『増殖』。
YMOのドラッキーなテイストが最も反映された作品でもある『増殖』は、
来日の流れたポール・マッカートニーの大麻所持を取り上げ、話題となった。
7曲目に収録されている「スネークマンショー」での露骨な表現が有名である、
そのクリップでは大麻を吸っている男の下へ警察が来て一悶着する笑えないシーンが映像化されている。
『増殖』に置いて、これ以外にも「NICE AGE」に収録される“ニュース速報”は、
このポール・マッカートニー事件とリンクする。
「22番は今日で1週間が過ぎてしまったんですけれども、
もう、もうそこには居なくなって、彼は“花の様”に姿を現します」
この“ニュース速報”は、元サディスティック・ミカ・バンドのヴォーカル、福井ミカによるもの。
そして、このメッセージを出したのは、
ポール・マッカートニーの妻のリンダ・イーストン・マッカートニーによるもので、
“22番”と言うのは、ポール・マッカートニーが警察に付けられた拘置番号。
だから、これはリンダからポールへのメッセージで、
それをそのまま「NICE AGE」に引用したことになる。
1980年に発売されたポール・マッカートニーのシングル「Coming Up」。
この楽曲にも「Coming Up Like A Flower」とこの一節が登場するが、
このフレーズが「NICE AGE」のSEに挿入されている。
当時、来日予定ポール・マッカートニーとYMOは、セッションをする計画があった。
しかし、ポール・マッカートニーのこの事件で話は流れ、
それを皮肉ってYMOは、「NICE AGE」にこのフレーズを挿入したとされる。
かつて、今井寿が事件を起こした時に言っていたセリフが想い浮かぶ。
「どうして、LSDだったんですか?」
「ビートルズも、やってたからな」
