「あげようか 熱狂!!!
あげようか 熱狂!!!」
ライヴツアー【Lucy Show ~Shout,Speed,Shake your ROCKAROLLICA~】の幕が開ける。
酸欠必至のライヴ・ショウは、間違いなく、定員以上の観客が詰め込まれている。
スタート前から、熱気と熱狂が渦巻くステージ。
岡崎達成が満面の笑みで登場し、
続いて研ぎ澄まされたナイフのようなギタリストKiyoshi、
最後に巨大なサングラスにロカビリーなリーゼントの今井寿が現れる。
今井寿が高らかに「Lucy Show!」 と開始を告げる。
そうして始まったのは、「ROCKAROLLICA」。
いきなり、アルバム・タイトル・ソングが、痛快に、
この“ロケン”ショウの狼煙をあげる。
遂に【Lucy Show ~Shout,Speed,Shake your ROCKAROLLICA~】がスタートした。
ツアー用に新調され“柩(棺桶)”型ギターが嘶く。
岡崎達成が絶叫し、シャッフル・ビートが躍動する。
「あげようか、熱狂~」
と唄う今井寿に煽られるままにスイッチが入ったかのように疾走する観衆。
次のターンでは、ヴォーカルがKiyoshiにスイッチする。
「あげようか、熱狂~」
Lucy、この3人には、“悪友”という言葉が似合う。
昨日に引き続き『NEWS MAKER』誌から、3人の生の言葉を届けよう。
彼らの人間関係は、3人の会話を聞くのが一番だろう。
まずは、今井寿の生涯の相棒とトレードマークの芋焼酎が話題に上る。
夜の彼らの精力的な活動が、伝わってくるようだ。
(以下、『NEWS MAKER』誌より引用抜粋)
――あの、ここでちょっと制作過程を訊きたいんですけど。
レコーディングは結構、良いテンポですすめられたんですか。
Kiyoshi「普段、俺はそんなに……ギリギリまで創って、って感じなんだけど。
今回LUCYを演るってなった時に、あのー……(今井の曲作りが)遅いって聞いてたんでっ(笑)。
“とにかく遅い”って!(先月の櫻井敦司表紙号を指し)その人に。
今、裏向いてるけど。
で、こっち(裏表紙の広告が)芋焼酎だけど!……面白ぇな、それ。
ロックだな(笑)」
岡崎「ふははは。気になるね」
今井「凄ぇなそれ(笑)。……わざとかな」
Kiyoshi「(笑)……まぁ、それで、遅いって聞いてて。
だからもし俺がいつものペースで書いてたら、全然進まないんだろうなぁっていうのがあって。
それでまあ、今井君は絶対ギリギリまでには凄いの創ってくるから。
先にもうバンバン出しちゃおう……って思ったのが、去年の年末ぐらいだったかな」
――で、実際今井さんは遅かったんですか。
今井「始めたのが多分……2月頃ですね」
Kiyoshi「だって本当はね、1月の中ぐらいにレコーディング入るとか言ってたの」
――既に間に合ってない!(笑)
今井「ふはは……ギターをこう、差し込んだのが、2月(笑)」
――とりあえず……。
今井「電源入れたのが2月」
――ははは。電源入れてからは早かったんですか。
今井「あのー……いやそれはノリで。最初調子良いとバンバン調子づいて行けるんですけど」
――各々出してきた曲をバンドでアレンジし直したりとか、そういう作業もあったんですか?
Kiyoshi「いや、それはもう各々創りっぱで」
――最初に出てきたのはどの辺りの曲なんでしょう。
Kiyoshi「「DOUBLE BIG BANG」ですね」
――あ、それがそのままアルバム一曲目にもなってるわけですね。
そういう、先に出てきたKiyoshiさんの曲が、今井さんの曲作りに何かしら影響することはありました?
今井「最初、まあ5,6曲、デモをKiyoshi君から貰ったのを聴いて
。で、そこに“じゃあこういう曲があったら面白いかな”とかっていうのは……うん。
自分もLucyにはこういう曲が合うかなっていうのを考えつつ創って」
Kiyoshi「結構打ち合わせをよくやってて。
今井君と俺の中でだんだんイメージが膨らんでくるじゃないですか?で、
何回かやってくうちに“これは曲を創ってって、
打ち合わせの時にバン!と聴いてもらった方が早いかなぁ”と思って。
だからまず取っ掛かりというか……何もないよりは何かそういうのが一個あって、
そっから“ああ、こういうんじゃないね”っていうのでも良いし……
ってことで、そうやって創ってて」
――なるほど。
このバンドを演ってて、例えば音楽始めた頃の衝動とか、そういうのもあったりしました?
Kiyoshi「あの・・・・・・そういう、何て言うのかな。
取り戻すっていうよりかは“あ、ここにあった!”って感じというか。
そういう衝動的なこというのはやっぱりずっと持ってたいし……刺激として。
何でも“慣れ”になってくると、あんま拡がんなくなってくるのがおっかないなというか。
そういう中で全然、例えば俺と今井君というのは同じギタリストの枠の中には居るんだけども、
全然ルーツも違うし、音楽の考え方とかも正反対なところもあるから。そういうところが一番面白くて。
“これは何か形にしないと面白くないなぁ”と思ったし。
だから何か取り戻すっていうよりは……“見っけ!”って感じかな」
今井「まあただ、衝動とか言ってもやっぱり、考えてやってはいるんですけどね」
――その、考えながら創った土台の上に、
思いっ切り楽しんで乗っかれたような……そういう感じなんでしょうか。
今井「うん」
――あの、ルーツってことで言うとKiyoshiさんは元々何がド真ん中だったんですか。
Kiyoshi「俺はへヴィ・メタル、ハード・ロックですね。一番最初は」
――今井さんはその辺通ってないですよね。確か。
今井「全く」
――やはりニュー・ウェーヴとか、その辺が?
今井「はい」
Kiyoshi「ブラック・サバス(サタニック系メタルバンド)のギターを、
ブラックサバスって知らないで買ったから(笑)。
十字架だからっていうんで」
今井「SGが欲しかったんだよ!!マジ……」
Kiyoshi「ヴァァ~!!(発言妨害中)」
今井「マぁジでっ!良い音がしたからっ!!」
Kiyoshi「“これ良いなぁ”なんて」
岡崎「フレットのところが」
Kiyoshi「サウスポーだし」
岡崎「だからあの、最初“SGを買おうと思うんだよね”って言ってて」
今井「それで3本ぐらい持って来てもらって。
最初、音試す前にルックス見て“これ良いなぁ”と思ったら、本当に一番音も良くて。
値段も一番良くて!(笑)で色々話聴いたら……。その人のだって」
Kiyoshi「トニー・アイオミってギタリストのモデルで。(
フィンガーボードの)インレイが十字架なんですよ。それって。
確かに格好良くって。
音的にも考え抜かれて創ってるから絶対良いはずなんだけど。
ただ、それを全く知らないで、っていうのが面白くて。
“何何?トニー何だっけ?”って(笑)」
今井「“ミ”なのか“二”なのか……“ぁあっ!?”」
――ハッキリしろよと。
今井「そう」
Kiyoshi「本当、分かってねぇんだなって」
――でも確かにSGは格好良いですよね。ボディの形も。
今井「そうなんです。そういう感じがLUCYだなって。
レスポールとストラトじゃなくって。
テレキャスとかSGとか、なんかそういうのが」
――あぁ(笑)。でも何か今井さんの
そういう、先入観なく“これ良い”とか言っちゃう感じって良いなぁと。
たまに思いますけど。
Kiyoshi「うん。そうそう。そういう感じがね。
このニュアンス、言葉にするのは難しいんだけどね。
まあ、言っちゃえば、バカっていうの?(笑)」
岡崎「(小声で)言われてるよっ」
――言われてますけど。
今井「ハード・ロック崩れがっ」
――(笑)ちなみにKiyoshiさんのニューウェーヴに対する見解ってどうなんですか。
今井「多分バカにしてますよ」
Kiyoshi「してねぇじゃん(笑)!そりゃ“ニューウェーヴ気取り”とか言うけどね。君のことは」
今井「…………」
岡崎「……すいませ~ん、ビール貰えますかぁ~(笑)」
(以上、引用抜粋)
サングラスを着用した“惡童”とも言える、この3人。
存在感は、異様なほど、“ロケン・ロール”だ。
岡崎達成は黒のシャツに黒パンツ。足許は白いスニーカー。
髪は焦げ茶のショートスタイルを無造作に立ち上げている。
彼は時々、顔面全体で本当に嬉しそうに楽しそうに笑う。
ドラム・キットを撥ね退けて、前に飛び出してきそうな勢いで。
Kiyoshiは、“ロケン”を体現化したような人物だ。
白い透かしで模様の織られたシャツに黒パンツ。
目を覆い隠すロングヘアーは外撥ねワイルド・スタイル。
元Xjapanのhideのソロ・プロジェクト“hide with Spread Beaver”で、
オレンジ色の髪の毛を振り乱して、暴れん坊ギタリスト。
Lucyでは、ワイルドなヴォーカルが炸裂している。
今井寿は黒ジャケット黒シャツ黒パンツのシックなスタイル。
グラサンに金髪をロカビリーなリーゼントで“悪さ満点”だ。
BUCK-TICKでの、独特なマイマイ・ダンスが、
Lucyでは、更にワイルドな“ロケン”で、スリリングなアクションが光る。
胸元には巻き付けたシルバーアクセサリーが揺れる。
“ROCKAROLLICA”! 熱狂をもっとくれ!!
