「さあ 安らかに 眠るように瞳閉じておくれよ
もう疲れたろ 演じる事 夢見ることも全て」
2003年12月29日【THE DAY IN QUESTION】。
前年の本編ラストを飾ったファンタジック大河ストーリー
「ANGELIC CONVERSATION」が終わると、観客達も2003年の最後の夢は、
あと何曲なのだろう?とカウントダウンが始まる。
本当に、アグレッシヴな一年で、あった。
先行シングル「残骸」の1月8日のリリースから、
バンドは、ほぼ全力疾走で、一年を駆け抜けた。
どのBUCK-TICKフリークも、きっと満足な一年であったろう。
そして、日本武道館。
今井寿が何やらギターを奏でる。
どっかで聴いた事あるメロディーだ。
しかし、その場でこの楽曲がなんのメロディなのか認識していた人は少ないのではないか?
ひょっとすると、BUCK-TICK黎明期に、
まだ、非難GOGOという、どうにも捻くれたバンド名で活動していた時期、
このメロディこそが、BUCK-TICKの名のインスピレーションを与えていた可能性は大きい。
YMO「Firecracker」
恐らく、アマチュア時代の今井寿が繰り返し練習していたフレーズ。
今井寿は語っている。
「YMOが、僕をこんな人間にした」
そう考えると、YMOに心から感謝したい気持ちなる。
天賦の才が、また、天賦の才を育てるのである。
それは、英才教育ではなく、自発的行動衝動。
モチベーションの賜物だ。
タネ明かしは、今井寿にしては、単純明快。
「Firecracker=爆竹」
なのである。
今井寿の心ニクイ演出も相まって、日本武道館がドヨメク。
「さくら」
櫻井敦司による、最もストレートな鎮魂歌。
久々に耳にしたオーディエンスも多かったであろう。
そして、久々に聴くと、ライヴで演る「さくら」が、こんなにもリズミカルな楽曲であったかと、
あらためて、想い返す。
BSサテライト・サーキットの無人ステージで放映された「さくら」
真っ赤なトレンチ・コートと同じ真紅の涙を流したとされる櫻井敦司。
時を経て、この楽曲を唄っても力強く、このリズムに身体を許すまでなっている。
そうだ。人間はいつまでも、弱いだけでは、生きて行けやしない。
亡くなった人の分も、懸命に生きなければ…、ならない。
この緻密なリズムに乗り、満開の夜桜は、散っていく。
そう、花は狂い咲けど、必ず、散る“運命”にあるのだ。
どんな“花”も必ず…。
しかし、“花”は死なない。
“Loop”する。
種子が、風に舞って、どこか知らない場所で芽を出す。
そして、“花”も、“人”も、命は一緒である。
“人”も、命は途絶えない。
誤解を招くような発言になってしまうかも知れないが、
子孫としての血縁として、生きながらえていくだけではなく、
その“思惟”は必ず、誰かしらの心に残る。
そう、想いたい。
「さくら」
は、きっと、そんな楽曲である。
「「すぐに行くよ・・・」 蒼い部屋で逃れる術も知らず
月が満ちる前に そっと舞い降りて
波がさらって行く ずっと「永遠さ」」
恐らく、櫻井敦司による病室でのワンシーンを切り取ったものだろう。
その病室の窓から、もう少しで満月になろうとする月の明かりに照らされて、櫻の華が舞う。
その瞬間に、彼女は、何を想っていたのだろうか…。
この“思惟”は、決して彼女がなくなった後も、消えはしない。
現実にこうして、櫻井敦司によって楽曲化され、延々と流れ続けている。
「さくら」という楽曲の原型が、例え変化していったとしても、
この“思惟”は、消えはしない。
花の種子と一緒に、どこか知らない場所で、違った形で“芽”を出しているに違いない。
だから、命の波にさらわれて行っても、「永遠さ」。
いつか 綺麗な場所で 逢える。
この“Loop”の先に、再会があるのなら…。
その時は、今よりも、上手に、あなたと話がしたい。
「もう一度 ここで会えるなら 今度は上手に笑うから
キラメク海が枯れたなら 最後は愛と笑うから」
満月の雫のような、涙が枯れたら……、
微笑んで また 逢おう。
さくら
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
さあ 安らかに 眠るように瞳閉じておくれよ
もう疲れたろ 演じる事 夢見ることも全て
枯れた指が落ちる ずっと見つめてる
声にならないけど そっと呟いた
「すぐに行くよ・・・」 蒼い部屋で逃れる術も知らず
月が満ちる前に そっと舞い降りて
波がさらって行く ずっと「永遠さ」
ちぎれた体に救いはない
クスリは悲しいだけ
もう一度 ここで眠るなら
今度は上手に歌うから
キラメク星が消えたなら
最後は愛と泣けるから
さあ安らかに 眠るように瞳閉じておくれよ
もう疲れたろ 演じる事 夢見る事も全て
月が満ちる前に そっと舞い降りて
波がさらって行く ずっと「永遠さ」
ごまかす痛みに涙はない
嘘つき 苦しいだけ
もう一度 ここで会えるなら
こんどは上手に笑うから
キラメク海が枯れたなら
最後は愛と笑うから
