「爪先にはそっとロマンス 抱きしめれば きっと幻」
真昼のデジャブ 狂気の千年帝国。
バラ色輝くはかなく美しき 幻の都PLEASURE LAND
お伽の国メトロポリスを物語る1989年のアルバム『惡の華』。
2003年の【THE DAY IN QUESTION】のエントリーは、
12月28日「KISS ME GOOD-BYE」
12月29日「MISTY BLUE」
の2曲…。
濃厚なナンバーは、ファンクラブ【FISH TANK】でのリクエストに忠実に選曲されたものと思うが、
この2曲に人気が集中するところが、FISH TANKerの素敵な処である。
ヤガミトールの変則的なオカズから、スタートする「MISTY BLUE」にしろ、
独特のムードで、映画のワンシーンのような「KISS ME GOOD-BYE」にしろ、
アルバム『惡の華』の楽曲のなかでも、アダルトな雰囲気の充満する世界で、
大人の“恋”の物語を、ワイン片手に櫻井敦司が語るような楽曲だ。
「あふれる瞳閉じたまま 冷たく濡れた唇に
Kiss me good-bye これで終わりと Make me cry」
恐らく、“最愛”の人との“死別”を唄っている「KISS ME GOOD-BYE」。
「月に抱かれ もう このまま
全て消えてしまえばいい・・・・・・」
「時を止めて もう ふたりの
幕を閉じてしまえばいい・・・・・・」
戦時の非哀を物語る『極東I LOVE YOU』のリアルな臨場感とは別に、
この『惡の華』では、お伽噺のような、遠い昔の戦時に、
そこで、繰り広げられる様々な情景があり、
その“恋物語”を唄っているのが、「MISTY BLUE」であり、「KISS ME GOOD-BYE」であり、
そして、第1夜、12月28日に演奏された「KISS ME GOOD-BYE」では、
恐らく、死別する戦士と恋人の情景が描かれているのではないだろうか?
「悲しい予感知りながら 白く浮かんだ首筋に
Kiss me good-bye 切なく抱いて Make me cry」
どこまでも、胸を締めつける“無常観”。
人間の戦いの歴史は、この“Loop”。
「キャンドルが消えるまで 涙がかれるまで
いつでも傍にいて 見つめてほしい
崩れてしまうほど 壊れてしまうほど
いつでもここにいて 見つめていたい」
この嘆きの別れは、永久に語り継がれる。
そして、この第2夜【THE DAY IN QUESTION】での「MISTY BLUE」。
ジャジーな雰囲気のショット・バーで、
ある兵士と踊り子のワン・ナイト・ラヴ・アフェアー。
マイクスタンドに血糊の白いマントを引っ掛け、
破壊されてしまった女体トルソーマイクに替わって、擬人化したスタンドと踊るように、
櫻井敦司が、ダンスを繰り広げる。
「KISS ME GOOD-BYE」の永久の嘆きとは、また、別の恋物語のようであるが、
“一度きりの情事”が、一生、忘れられない記憶となる可能性もある。
戦時に、ひとときの安らぎを求める軍服の兵士。
「NATIONAL MEDIA BOYS」に唄われているようなナチスの士官の姿が想い浮かぶ。
バーカウンターには、妖艶な色気を放つ“MISTY BLUE”。
「一杯、頂いて、よろしいかしら?」
そこから、始まるワン・ナイト・ラヴ。
ふたりは、いつしか、現実世界を忘れ、踊り出す。
「Let's dance oh~ もつれたまま
It's like a paradiso oh~ 見つめたまま」
「Let's dance oh~ 流れるまま
It's like Poruno graph oh~ 動かぬまま」
忘れられない一夜の出来事。
兵士は、戦場に戻り、“MISTY BLUE”は、また、何処かの酒場へ。
再会は、有得ない“奇跡”。
わかっている……、でも、もう、一度、逢いたい。
時は経る。
兵士は、美しき“MISTY BLUE”を思い出し、戦友に語る。
「いい女だった」
兵士は、少し、笑っておどけて、見せる。
しかし、内心は違う、あの時、俺は真剣に愛した…ハズ。
あのラスト・ダンスは…忘れられない。
想い出のバーカウンター。
一瞬、蘇る刹那。
「爪先にはそっとロマンス 抱きしめれば
きっと幻 ずっと このまま そして すぐに消えた
恋狂えば胸切なく 落ちてしまえば
夢幻 いっそ このまま そして 誰もいない」
アンニュイな星野英彦のコーラスがたまらない。
嗚呼、あなたは、憶えているだろうか?
「“MISTY BLUE” Do you remember our last dance?
“MISTY BLUE” Do you remember our "shadow dance?"」
あなたに、もう一度……、逢いたい。
MISTY BLUE
(作詞:桜井敦司/作曲:今井寿/編曲:BUCK-TICK)
MISTY BLUE 妖しくすべらせた
MISTY BLUE 指先にすべてを
Let's dance oh~ もつれたまま
It's like a paradiso oh~ 見つめたまま
Just in blue 感じていたいのさ
Just in blue 腰つきに世界を
Let's dance oh~ 流れるまま
It's like Poruno graph oh~ 動かぬまま
(La~) 爪の先にロマンス Oh~ すぐに消えた
(La~) 夜は恋狂うけど Oh~ 誰もいない
MISTY BLUE Do you remember our last dance?
MISTY BLUE Do you remember our "shadow dance?"
Let's dance oh~ Do you believe me?
It's like a paradiso oh~ Do you believe me?
(La~la~) 爪の先にロマンス Oh~ すぐに消えた
(La~la~) 夜は恋狂うけど Oh~ 誰もいない
(La~la~) 爪の先にロマンス Oh~ すぐに消えた
(La~la~) 夜は恋狂うけど Oh~ 誰もいない
爪先にはそっとロマンス 抱きしめれば
きっと幻ずっとこのまま そしてすぐに消えた
恋狂えば胸切なく 落ちてしまえば
夢幻いっそこのまま そして誰もいない
