「悪魔からのギフト 僕の窓辺に
狂乱 狂気 月明かりを どっさりブチ込む 」



あえて、言おう。

今井寿の言葉を翻すようであるが、
アルバム『極東I LOVE YOU』とアルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』は
“二卵性双生児”だ。

確かに、アルバム『極東I LOVE YOU』の“反動”というキーワードが、
この、過激なロックンロール・アルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』を創り上げたと言っていい。

しかし、両アルバムの潜在する遺伝子は、間違いなく同質の核を持つDNAである。

アフローチは、真逆であると言っていい。

それでも、オリジナルの持つ稀有さ加減は、全く同質であるし、
ある意味においては、完全に補完し合う関係である。

ひとつの人間の持つ、“二面性”もしくは“矛盾”と言っていい。
これは、むしろ健康的な生物の証であるとも言える。

そんな反対側にいる自分の問いかけたことはないだろうか?

「いつかの青い星も 今じゃ灰色
カワイイゼ 豚に真珠 愛に原罪

キライだ 大キライなんだ 鏡に映るあんたが 」




そして、そんな“反動”の“反動”が、
次なる名曲を呼び起こす。

この後に控える東京・日比谷野外音楽堂の2日間。
【Mona Lisa OVERDRIVE -XANADU-】
このステージで“まぼろし”の未発表曲が公開された。
その初回限定盤に付録された映像が、この「原罪」である。

これもDVD『at the night side』からのスピンアウト映像である。

2003年のBUCK-TICKの活動は、意欲的であった。
その回転数の高さからくるBUCK-TICKの“サービス精神”とは?
昨日に続き、櫻井敦司は語る。

以下、『UV』誌より引用抜粋。



――ライヴそのものの話に戻りますが、
いわゆるスタンディング会場でのライヴもすっかり定着して、お客さんも過激な空気に免疫ができてきた。
加えて、たびたび感じさせられてきた“こんな懐かしい曲をやってくれた!”という驚きにも慣れつつあると思うんです。
櫻井さんがある意味で自虐的にならざる得ないのは、
そういった状況でさらに衝撃性やインパクトを求めなければならないからなのかな、
と感じていたのですが。

「いや、それはないです。
人が観に来てくれて……それに対するサービスですね、ある意味。
その人の目に自虐的に映ってみたりするっていうのは。
わりとサービス精神っていうのは、それぞれ他のメンバーたちも持ってると思うんです。
それをあんまりストレートに出していないだけで。
それこそメイクだったり衣装だったりヘアスタイルだったり、
それは“自分をそう見せたい”っていう気持ち、言い換えればサービス精神の現れだと思うんで。
個人的には、いろいろな人の目にそう映りたいっていうのも、こう見せたいっていうのも、
元々の衝動でもあると同時に、やっぱり“そうしてあげたい”っていう気持ちと切り離せないところがありますし。
結局、“そうするしかない”んじゃなくて“そうしたい”し、“そうしているところを見せたい”んです。
アンコールが終わったらもう、燃料残ってないぐらいにしてたいんです」

――それは、たとえて言うなら、
家に大好きな友達が集まったときに精一杯もてなしたいって気持ちと同じなのかも知れない。

「ええ。まあ俺には料理できないですけど、
“酒だけでもガァーッと呑んでくれ”ってことになるわけですから(笑)」

――ただ、サービス精神を有効に発揮することって簡単じゃないと思うんです。
自分のやりたいこととお客さんの求めるものとは必ずしも一致するとは限らないし、
仮に重なったとしても自然にズレていく。求められいる自分を捜そうとすると、
結果、過去の自分のパロディになってしまったり、逆に未来形を提示しようとしても伝わりにくかったり。
受け手側の要求するものと自分たちの欲望との接点を、すごく正確に見きわめる必要性があるわけですよね?

「たとえば具体的に……去年の暮れから今年のツアーまで含めてですけど、
ホールだったり、単発ライヴだったり、武道館だったり、その時々、“何が欲しいのか?”とか、
そういうのを何パターンも考えましたけども……それをずっと考えていると、自分がなくなってしまうので。
ある程度は接点というものについて考えますけども、
何がいいかって言ったら、それはもう自分で決めちゃって、
自分のやりたい曲、やりたいことをやったほうがいいんじゃないかと、いつも最終的には思ってます。
それで10人中8人が満足しなかったとしても仕方ないというか。
その8人に合わせて自分のやりたいことをやらないでいるより、自分のやりたいことをやったほうが……」

――つまり櫻井さんの考える“サービス”というのは“あなたたちの欲しいものをあげますよ”ということじゃなく、
櫻井さん自身のやりたいことを最大限のカタチで提示するってことなんですね?
同時にそこには、“あなたたちが求めている俺が本当にやりたいことだからこそ、わかってくれ!”
という気持ちも少なからずあるかもしれないですが。

「そうですね。まあこっちも勝手ですし観る側の日とたちも勝手ですから。
“高い金払って来てくれるんだし”ってある程度考えますし、
“人気のある曲もやってあげたい”とか考えますけど、
そういうことをいろいろ考えてくなかで、不自然さが出てきたり、
かえってそれは失礼にあたるんじゃないかと思える部分が出てきたり……。
そんなこと考えてたここ半年くらいでしたね(笑)」

――考え出すとキリがないですね、これは。

「ええ。やっぱり、こっちがいつも受け身になっててはいけないと思うんで、
いろんなデザインをこっちから出していって
……それが気に入るか気に入らないかはまかせるしかないと思うんで」

――しかし自分たちが自身を持ってるものを提示している以上、きっとそれは伝わるはずだ、と?

「そうですね」

――さて、本誌が出た直後には日比谷野外音楽堂での2夜公演が控えてたりするわけですけど
……休めそうで休めないですね(笑)。

「ま、さらに痛めつけます(笑)」

――このライヴに向けては、現時点(2003年6月2日)で、もうかなり具体的にアイディアも固まりつつあるんですか?

「いや、まだです。スイッチ入ってないです。
ただ、純粋に“この曲やりたい”とかっていうことよりも……アイテムの話になりますけど、
映像化される前提もあったりするんで、前の映像作品には入ってないような曲もやろうかなとか、
そういうことは考えてますね」

――サービス、ですね(笑)。

「ま、本格的に考えるのはこれからですけど、でも不思議なことではありますよね、
今思うと、これまで一度も野音でやってこなかったっていうのは」

――とりあえず、雨が降らないことを祈ってます。

「いや。雨でも全然OKですよ。普段のライヴでも、1人だけ勝手に雨かぶってるようなもんですから(笑)」

――8月には『サマーソニック』への出演も決まってますね。
かなり多種多様な音楽ファンの前で演奏することになると思いますが。

「ええ。でもまあ、やるだけです。
当然、新鮮な刺激を得られることは期待していますし、
そういったところに出て行ける自分たちでは常にいたいと思ってますけども。
観てもらわないと始まらないですし、
こういった機会がもらえるのはとても嬉しいことだな、と」

――今、フットワーク、すごくいいですよね。

「どうなんでしょう。まわりからはすごく重いと思われてるみたいですけど(笑)。
いや、実際そう自覚してもいるんですけどね(笑)」


以上、抜粋引用。


さて、それでは、BUCK-TICK初の“ヤオン・ライヴ”

【Mona Lisa OVERDRIVE -XANADU-】

へ、突入しよう。


「Wellcome to the fuckin' GREAT SHOW!!!」






原罪
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


火を噴くようなアルコール 四つんばいの眼
ウンザリ錆びたカミソリじゃ オレも殺せない

悪魔からのギフト 僕の窓辺に
狂乱 狂気 月明かりを どっさりブチ込む

夢中さ とってもハイなんだ
鏡に映るあんたに

溢れる 欲望 お前に 突き刺す

足枷軋む聖地 踵返せば
ムチ鬱 叫び声の オレは罪人

いつかの青い星も 今じゃ灰色
カワイイゼ 豚に真珠 愛に原罪

キライだ 大キライなんだ
鏡に映るあんたが

溢れる 欲望 お前に 突き刺す

夢中さ とってもハイなんだ
鏡に映るあんたに

溢れる 欲望 お前に 突き刺す
突き刺す 突き刺す 突き刺す 突き刺す


【ROMANCE】