2003年12月3日、シングル『幻想の花』が発売される。
同日、日比谷野音音楽堂でのライヴ映像『Mona Lisa OVERDRIVEーXANADUー』がリリースされる。
【ーXANADUー】スペシャル・ライヴで演奏された未発表楽曲こそが、
「幻想の花」であった。
このシングル盤に収録されていたのは、
櫻井/星野楽曲の「幻想の花」
櫻井/今井楽曲の「ノクターン -RAIN SONG-」
の2曲で、
“攻撃的”で、ライヴでのノリを重視して制作されたアルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』
の世界観とは、両楽曲ともに、真逆の空間を創り出していたといえる。
この星野英彦楽曲と今井寿楽曲に拮抗したシングル・タイトル争いの結果、
非常にクオリティーの高い2曲が、カップリング発売された例を探せば、
想い浮かぶのは、1999年10月20日にリリースされたMAXIシングル『ミウ』で、
「ミウ」VS「パラダイス」のタイトル争いである。
また、アルバムの空気感にそぐわずに、収録楽曲から漏れた楽曲として、
シングル・リリースされた例では、
アルバム『SEXY STREAM LINER』のライヴ・ツアー【SEXTREAM LINER】公演の全編
のアンコールで演奏された「月世界」があがる。
映像はラジオ番組[Nack5 シューティングヒッツ]に櫻井敦司がゲスト出演した模様。
印象的なシングル盤『幻想の花』と同時リリースされたDVD『Mona Lisa OVERDRIVEーXANADUー』
と年末の定番スペシャル・ライヴ『THE DAY IN QUESTION』のコマーシャルの為の出演となった。
2003年という年をOFF期間中の櫻井敦司が、独特のムードで語る。
このシングル「幻想の花」に関しては、
2年前のアルバム時『極東I LOVE YOU』、出来あがったのであるが、
当初から、シングル発売を狙った楽曲であり、
そのシングル選考からもれて、お蔵入りとなった一曲で、
櫻井敦司は淡々と
「いつか出しましょう、という感じで。ほっときました」
と語っている。
日比谷野外音楽堂の【ーXANADUー】2DAYSのアンコールにて披露された歌詞は、
2年前の歌詞そのままであった事を語り、
「皆、聴いたことのない曲だったので、真剣に聴いてくれて、よかったです」
とライヴでの感想を述べて、
「夢を持って生きましょう、感じですかね…」
とこの楽曲に込めた想いを付けくわえた。
櫻井敦司の詩作に関して、質問が及んでいて、
「最近は、言いたいことがハッキリしてきて、
余計なことは、言うのが面倒になって来ましたんで…」
と、より自分の中にあるメッセージを明確に表現しようとする姿勢を語り、
以前は、割と何も考えずにイメージを膨らませていたが、
現在は、“言いたいこと”が“はっきりと自分の中にある”言い切る形であった。
勿論、謙遜深い男、櫻井敦司は、
「といっても、たいしたことないんですけど…ドロ臭いですよ」
と付け加え、照れ隠しをしているのが、彼らしい。
カップリング楽曲の今井寿のアンヴィエントな「ノクターン -RAIN SONG-」については、
ソウルの女王:吉田美奈子がコーラスで参加していることに触れている。
大物だけに、気を使った様子であるが、
それが、この楽曲の映画のワンシーンを見るような空気感に、
大きく貢献している様子が語られている。
DVD『Mona Lisa OVERDRIVEーXANADUー』に収録された日比谷野音でのステージについて、
櫻井敦司は、久々の野外公演であったが、気持ち良くパフォーマンス出来たと語り、
周りのスタッフが、BUCK-TICKは、太陽が似合わないと、決めつけていると冗談まじりに述べている。
しかし、夜の帳が下り始め、ライトアップが華麗であったことを告げられ、
満足げに微笑んでいる。
「やはり、夜行性なんですかね?」
と質問され、
「ええ、明るいと、恥ずかしいですね」
と、OFF期間の夕方起床、朝方就寝の生活模様についても言及している。
9月25日、28日のマリリン・マンソンのジャパン・ツアー【Grotesk Berlesk TOUR 2003】に
出演したことについては、
「いや、もうやることは一緒なんで、
何処でどうのとか、誰とどうのとか、関係ないですね」
とサラっと流してしまった。
そして、この後に控えている年末恒例のスペシャル・ライヴ
【THE DAY IN QUESTION】については、初の2DAYS公演であり、
そのセットメニューが、全く異なる事について言及している。
事実、この2日間には、のべ40曲(34楽曲)を披露したことになる。
恐らくこの映像時期直後から、【THE DAY IN QUESTION】の綿密なリハーサルが行われていたのだろう。
最期には、2003年という一年について
「今年はライヴで忙しかったかな?
でも、これで、忙しいって言ってたら、皆さんに怒られてしまいますね」
と感想を語っている。
幻想の花
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)
幻想の花 歌っておくれ
この世界は 美しいと
それは素敵な夢だと
君は狂ったように笑う
甘い蜜 飲み干せば やがて苦しみに染まる
花を…花を敷き詰めて
幻想の花 歌っておくれ
この世界は 美しいと
それは素敵な夢だと
君は狂ったように笑う
甘い蜜 飲み干せば やがて苦しみに染まる
花を…花を敷き詰めて
あなたはとても綺麗な 花びらを千切る
真実に触れた指に 朝日が突き刺す
狂い咲きの命燃やす 揺れながら
あなたが咲いてる
この世界は美しいと 歌いながら
きっと咲いている
狂い咲きの命燃やす 揺れながら
あなたが咲いてる
この世界は美しいと 歌いながら
きっと咲いている
ノクターン - RAIN SONG -
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
雨が降り出すと どこからか降りて来て
今夜も秘密のドアを叩く
まるで影の移動 気付いたらそこにいて
僕を隠れ家から 誘い出す
光よりも早いスピードで
衝動はどこへも連れてく
閉じ始めた情熱 雨が降る僕の中
傘をささない君 佇む
夜がはみ出して 惑星が 裏返る
君は夕暮れに 沈む 炎
僕は雨に 這いずる銀色
濡れた迷路で 探してる
Palala…
降り続ける 雨はカミソリ
キリギリスの唄が 震える
Palala…
Palala…
この世でただ一つだけ 光を超えるスピードで
想いは夜 駆け巡る 自由に夜 駆け巡る
