「俺もねぇ、初めて、BUCK-TICK観るんですけども、
 ……FESってことで、どんなライヴになるんでしょうか。楽しみです。」

2003年
8月2日、【SUMMER SONIC 2003】出演(インテックス大阪)
8月3日、 【SUMMER SONIC 2003】出演(幕張メッセ:INDOOR STAGE)


【SUMMER SONIC 2003-TOKYO-】2003年8月3日幕張メッセINDOOR STAGEにて
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   1.ナカユビ
   2.LIMBO
   3.MONSTER
   4.BUSTER
   5.キラメキの中で・・・
   6.Baby,I want you.
   7.ICONOCLASM
   8.唄
   9.Mona Lisa
   10.極東より愛を込めて


この日、午後5:25の開始予定のステージは、5:45開始したBUCK-TICKのステージ。
猛暑の中、救われたのは、会場が屋内の【INDOOR STAGE】であった点であろう。
セット・リストの一曲目は「ナカユビ」から
最新アルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』からのナンバーで疾走する。

叫びながら中指を突き立てる女性ファンの姿に、
セキュリティーの黒人のブラザーたちも目を丸くしていただろう。
会場の空気感のせいか、いつもよりも激しいファンのノリに、
BUCK-TICKもド迫力のパフォーマンスを繰り広げる。

演奏前のインタヴューでは、
櫻井敦司が、穏やかに、

「“放送”出来る範囲のことは…、まあ、全部やろうかな、と」


と平常心で臨む姿勢を語っていたが、これは彼独特のアイロニーで、
その発言の裏側にある“自信”と、この日初めてBUCK-TICKを聴く人間への“パッション”である。

「これからも音楽やってきたいと思いますので、“死ぬまで”お願いします」

恐らく、彼の内側には、“魅せつけてやる!”という意気込みが充満していたように感じる。


もっと、素直な表現をする樋口“U-TA”豊は、

「普段、洋楽を聴いている人達にも、もっと邦楽(自分達の音楽)も聞いてもらいたいな、って」

と発言し、このイヴェントへの参加意欲を顕わにしている。


一方、ベテランバンドのBUCK-TICKのダイナモ“今井寿”。
恐らく、BUCK-TICKを耳にしたことの無い女性レポーターに対して、

「(ライヴを)長く続けている意味は?何かありますか?」




「意味?……ないです」

と返答する今井寿。




「…ないんだ…(笑)」とU-TA。

…爆笑するメンバー。


しかし、これこそ、ロッカー然としたコメントではないだろうか?

言葉では、伝えきれないから、俺達は音楽を発信している。
だから、意味なんて、考える必要は……ない。

だた、聴いてもらって、観てもらって、感じてもらうだけだ。

そう考えると、このレヴュー自体が無意味に感じてしまうほど…
的を得たロッカーの返答である。


この日のメンバーの衣裳は、
櫻井敦司が野音で着用していたマトリックス風の黒いロングドレス。
右手のナカユビ・薬指・小指にリング。

今井寿はワイルドに金髪を後ろに撫で付けてロックンローラーらしい出で立ち。
水玉シャツは、それのボタンを胸が見える程度にはずしてこれまたワイルド。
パンツはグレーのジーンズ。ホワイト・ブーツ。頬にはB-Tが復活している。

星野英彦はすこし伸びた髪を後ろにたなびかせて固める感じ。
衣裳は黒のやや古着風ジャケットにインナーはメッシュTシャツの重ね着がパンキッシュ。
その長身が、まるで外タレのようだ。

樋口“U-TA”豊は黒の皮風上下スーツ。
髪はメッシュ部分も鮮やかなハードロック風スタイル。

ヤガミトールは全身迷彩で決める。
ヘルメットも迷彩で、間から自慢の立て髪がそびえ立っている。

……“過激”だ。



「ナカユビ」「LIMBO」と快調に初っ端からブっ飛ばす。

「ナカユビ」では櫻井敦司、自ら中指を立たせた腕を振り上げ、
今井寿は観衆に向かって煽まくる。
一曲目から気合いが入っているのはライヴツアーと一緒だ。
言葉少なな彼らであるが、「負けてなるものか」状態は十二分に伝わってくる。

「LIMBO」では、間奏で御約束の

「解き放て!!」

これに加えて、

「ぶっ飛ばせ!!…暑い!!ぶっ飛ばせ!!」

の櫻井敦司のMCで、「MONSTER」へ。

「暑い!!」の言葉が、観衆の笑いを誘う。
今井寿は、ギターをゴールドのスタビライザーから新ギター“SILVER POT”へ。

「BUSTER」では、今井寿も熱唱。低めマイクスタンドが“攻撃態勢”を表している。
ここで、洋楽バンドのギターソロに対抗したか今井寿がギターを奏で始める。
御馴染の「さくら さくら」だ。

そう、ここは日本。ジャパン・ロックを聴かせてやるさ。

「キラメキの中で・・・」そして「Baby,I want you.」


興奮さめやらぬ熱狂の中、タテノリ状態のまま、
映像の「ICONOCLASM」に突入する。

今井寿は、自慢の赤マイマイを披露する。

このパフォーマンスは、もしかすると歴代の「ICONOCLASM」の中で、
最も、最高の水準のプレイであったかもしれない。

ある種、アウェイ状態のこの日、BUCK-TICKに特別な力が与えられたのか?

櫻井敦司のヴィブラートの懸ったヴォイスが、国境を越えている。

本当に。なにか“熱い”モノが込み上げてくる。


そして、メンバーが大好きな「唄」。

「おまえを愛しているのに」

いつもなら、熱狂的なBTリスナーが大合唱の援護射撃の瞬間、
この日、この会場では、櫻井敦司の絶叫。

「Mona Lisa」。

洋楽ファンに今井寿のBT流ラップが響く。
櫻井敦司が、今井寿の不安感を煽るような独特のギター・サウンドに合わせBTの魂を伝える。


ラストナンバーは「極東より愛を込めて」まで一気にダッシュしたようだ。

今井寿は腕を振り上げキメのポーズを。
「愛を込め歌おう」
さすがに、ここは、大合唱。

この日、どれだけ、初めて聴くBUCK-TICKがオーディエンスに伝わったろうか?

たった一時間、10曲のパフォーマンス。
しかし、短時間勝負の濃い内容が、BUCK-TICKという日本のベテラン・ロック・バンドに、
新しいナニカを、おぼろげながら注ぎ込んだような気がする。


「ありがとう。最高でした」

短い時間で燃え上がった櫻井敦司がそう言い残してステージを去る。
当然、アンコールはない。




2003年の後半は、9月10日に、彼らの初めての完成体をこの世に表した
DVD『Climax Together Collector's Box』発売。
1992年に発売された伝説の映像集であるが、今回は『Climax Together』を完全収録、新編集。
DVD『B-T PICTURE PRODUCT(5本組)』に収録されたアンコールでの
「JUST ONE MORE KISS」「・・・IN HEAVEN・・・」「MOON LIGHT」に加え、
新たに「SEXUAL×××××!」が加えられ完全に補完された。

9月25日は大阪城ホールにて、
9月28日には東京ベイNKホールにて、
洋楽ファンへのアプローチ第二弾と言える鬼才マリリン・マンソンのライヴツアー
【Grotesk Berlesk TOUR 2003】にゲスト参加。

その存在感の濃さをあらためて思い知らせた。

【Grotesk Berlesk】9月25日大阪城ホール、28日東京ベイNKホール
 セットリスト


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   1.ナカユビ
   2.LIMBO
   3.原罪
   4.MONSTER
   5.BUSTER
   6.Long Distance call
   7.Baby,I want you.
   8.MY FUCKIN' VALENTINE
   9.Mona Lisa





そして、この年の年末、
あの“幻”が、シングル・リリースされる。



ICONOCLASM
 (作詞・作曲:HISASHI / 編曲:BUCK-TICK)


Hurry up iconic from beyond the desire
Hurry up iconic from beyond the desire

One for the Money
Two for the X
Um ... Skip a three and four
Five for Japanese Babies

Iconoclasm Teaching of Angel
Clash and Clash
Iconolasm Teaching of Angel
Clash and Clash

One for the Money
Two for the X
Um ... Skip a three and four
Five for Japanese Babies

Iconoclasm Teaching of Angel
Clash and Clash
Iconolasm Teaching of Angel
Clash and Clash

Iconoclasm Teaching of Angel
Clash and Clash
Iconolasm Teaching of Angel
Clash and Clash

Hurry up iconic from beyond the desire
Hurry up iconic from beyond the desire


【ROMANCE】