2002年の【TOUR WARP DAYS】に続き、5月31日にはFC限定の【FISH TANKer's ONLY】が、
CLUB CITTA'川崎にて、実施され、
翌6月1日からは、【WARP DAYSーAFTER DARKー】とタイトルされたライヴハウスサーキットが、
これまた、CLUB CITTA'川崎から開始された。

この時の映像「MY FUCKIN’ VALENTINE」と「Ash-ra」が、
DVD『BUCK-TICK TOUR2002 WARP DAYS 20020616 BAY NK HALL』のエンディング
「Continue」に続いて付録的に収録された他に、
本日の映像となる「Baby I want you.」が、限定シングルの付録DVDとして公開されている。

映像を見ると、最終公演の東京ベイNKホールでの後半のアグレッシヴなパフォーマンスの下準備は、
このライヴハウス・サーキットによって培われたものと断定出来るだろう。

加えて、あまりににも、ドラマテックに展開した『極東I LOVE YOU』の楽曲をプレイした
【TOUR WARP DAYS】のショウ的な部分の反動が、次にアルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』に与えた
影響は図り知れないだろう。

その歴史のなかでも忘れがたき
アニヴァーサリー・イヤーとなった2002年を象徴したアルバム『極東 I LOVE YOU』。
実は言えば、当初、彼らは2枚組のアルバムを制作するつもりでいた。
そのプランが“2作品を別個に作り、同じ年のうちにミニアルバムをリリースする”に変わり、
結果、その代案もまた厳密なカタチで果たされることはなかった。

しかし、モノゴトが計画通りに進んだかどうかなんてことは、たいした意味を持たない。
逆に、予定通りにコトが運ばないことのほうがアタリマエなのだと、
BUCK-TICKのマイペースな活動に歩調を合わせ、
人生を揺さぶられてきた人たちは心得ているはずだ。

元来、天の邪鬼な今井寿の頭の中には、
次の、アルバムのアグレッシヴ且つシンプルな“ロックンロール”の塊のようなイメージが、
すでに、ライヴツアー【WARP DAYS】で巡業を重ねるうちに沸々と沸騰しつつあり、
レコーディング済みのアルバム『極東I LOVE YOU』から、
今回漏れて、ミニ・アルバムを構成するという構想もゼロから考え直すという選択となった。

更に、次のアルバムの続編というコンセプトに変更はなく、
それまで、出来あがっていた構想を破壊する行為が必要となったのではないだろうか?
それが、このライヴ・ハウス・ツアー【WARP DAYSーAFTER DARKー】であり、
それに続く、DVD『BUCK-TICK TOUR2002 WARP DAYS 20020616 BAY NK HALL』に収録された。
東京ベイNKホールでの、後半のぶっ飛んだパフォーマンスであったかも知れない。

とにもかくにもストーリー的に完璧すぎるアルバム『極東I LOVE YOU』の世界観から脱却を図るには、
己の血を流すような行為が必要であったのだろう。

であるから、必然的に次のアルバムは全曲を作り直す(というよりは、一から作る)という過程を
今井寿はこのライヴ・ハウス・ツアー時点で決意していたものと思われる。

どちらかというと、双子的ニュアンスからは、
前作の『極東I LOVE YOU』と対照的な印象を持つアルバムには、
さらに凶暴に、獰猛に、爆走させるようなハングリーさが必要であった。
次の新しいBUCK-TICKに、相応しいと今井寿は判断したのは、この過激な“攻撃性”であった。

そのキッカケが、こういったライヴハウスでの熱いファンとの交流の中で培われた
パッションであることは、容易に想像出来た。

なによりも、次のツアーでは、こういった熱いコミュニケーションが、
彼らBUCK-TICKの望んだ方向性であったようだ。

よく言われる評論であるが、BUCK-TICKの方向性として、
櫻井色を全面に出した『極東I LOVE YOU』と今井色の『Mona Lisa OVERDRIVE』という評価は、
一見イメージ的に、ズバリとハマってしまうので正しいようであるが、
僕個人の意見を言わせてもらえれば、この2作品ともBUCK-TICKによる、
監督:今井寿、主演:櫻井敦司の作品であること違いはない。

ディレクター(監督)としての今井寿は、どこまでも客観的に、あるべきBUCK-TICK像を追求できる人間である。
場合いによっては、自分と正反対の趣向すら、必要とあらば取り込む柔軟性を持ちうる。
彼にとっては、自分の創作欲望自体が、BUCK-TICKにとって正しいかどうかが判断基準となる。
だから、それまでの過去とか、制作に至る過程は問題にならない。
その完成体のみが、彼の欲望を満たす存在としてのBUCK-TICKとなる。

一方、櫻井敦司は、
それをいかに効果的にアウトプットするかという問題を抱えるメイン・アクター(主演)だ。
よって、その過程で、色々と思い悩むことになる。
果たして、こういう表現で正しいのだろうか?もっと適切な言葉があるんじゃないか?と。
この永遠につづくような“葛藤”こそ、メインアクター櫻井敦司の【艶】を構築する。
そうした、葛藤し、苦悩する姿こそ、
ひょっとすると監督である今井寿の求めるBUCK-TICK像なのかも知れない。

そして、我々リスナーの前に姿を現す彼らは、
今井寿の壮大な妄想に、櫻井敦司の血の混じった作品を目にすることになる。

そして、その作品を血肉化していく作業がライヴ・ツアーだ。
実際、リリース時には曖昧な意味合いが、完成に至るにはこれが欠かせない。
素材としてのアルバム『極東I LOVE YOU』は、
ライヴツアー【WARP DAYS】を経て、その完成を見たといえるだろう。
BUCK-TICK自身にとっても、ファンにとっても……。


その姿こそが、正しいBUCK-TICKの“ロックンロール”であると確信出来る
先行シングル「残骸」の登場を我々は翌2003年まで待つことになる。


【ROMANCE】

【追記】

なんて…狂おしき月夜…

【ROMANCE】

今宵も「ROMANCE」をあなたに…

“天使が見ているから月を消して 花を飾ろう綺麗な花を”


Baby, I want you.
 (作詞:櫻井敦司/作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)



トロピカル SEXY天国 飛び散るステーキソース
美味いぜ 血も滴る様なBABY

ざわめく獣の瞳を かすめるピンヒール
逃がした 魚デカイゼBABY

タフに生くのさ デラシネのBoys&Girls. 愛の夜に

ハードにディープに縛られ 自由が燃え上がる
あなたも 疼いてくるだろうBABY

さあ今 踊れよこの世で お前のこしがSWEET
可愛い あのむ娘を抱いて踊れ

クールに生くのか デラシネのBoys&Girls. 愛の夜に

もう少し 側にいてくれるかい後少し 夜が逃げていくその前に
さあ踊ろう 泣けてきちゃうくらい喜びで 狂おしいほど震えるさ

勇気を見せるか デラシネのBoys&Girls.
胸を張るのさ 美しきBoys&Girls. 愛の夜に

さあ踊ろう 泣けてきちゃうくらい喜びで 狂おしいほど震えるさ
さあ踊ろう 濡れてきちゃうくらい喜びで 気が狂うほど震えるさ


【ROMANCE】

【ROMANCE】

【ROMANCE】