「瓦礫の上で歌う 気の狂えた天使」
DVD『Mona Lisa OVERDRIVE -XANADU-』には、ボーナスDVDが付録されている。
このボーナス盤は、【DISK2】 Multi-Angle Except"Mix Track"とされ、
「残骸」
「idol」
「Mona Lisa」
「Mix Track」
が収録されており、2日目公演の黒ターバン巻きの櫻井敦司で登場する「残骸」を始め、
各メンバー視点での“マルチ‐アングル”での映像が楽しめる。
本日、紹介するのは、櫻井敦司アングルでの「残骸」で、
前日、野外の時間規制に加え、短いリハーサル、未発表楽曲とはいえ、
予定外のアンコール一曲で終了し、クオリティー自体は申し分ないが、
ボリューム的に、バンドは反省したとされる2日目の完璧なパフォーマンス。
翌日、6月29日は気持ちのいい天候に恵まれた。
野音の上空にはこの日のライヴ・タイトルを記したバルーンも浮かんでいる。
そこだけ見れば、平和な日曜日の光景だ。
櫻井敦司の頭に黒いターバンを被って登場。
ライヴ開始のSEも最初から大音量で、
昨日の緊迫した空気を吹き飛ばしていこうという気合がバンド全体からみなぎっている。
今井寿は「ナカユビ」が始まった時からステージ前に進み出て、
客席とギリギリのラインであおりながら、パワフルにギターをかき鳴らす。
ヤガミトールのドラムは、「BUSTER」「LIMBO」といったビートの強調された曲でのはじけ方が鮮烈だ。
そこに絡まる樋口“U-TA”豊のベースが、安心していつもの全体のグルーヴを引っ張っていく。
コード・ワークの要となる星野英彦のギターも、楽曲を揺るぎないものにしている。
基本的に曲順は昨日と変わらないのだが、ステージ上の音像が確認できているせいか、
5人のコンビネーションの良さが会場にいてもしっかりと伝わってくるようだ。
櫻井敦司の「無知の涙」でマイク・スタンドをマシンガンに見立て、
射撃する真似をしながら、最後にはモニターに叩きつけてて折ってしまった。
今回のツアーで登場した女性のボディ・ラインを表したセクシーなマスク・スタンドも、これで見納めか。
しかしそこには、今日のライヴに賭ける、
“やりきってこの日を終えたい”
という熱い思いが込められていたように思う。
後半は多彩で強い個性を持った曲が並ぶ。
中でも、ベース・リフで組み立てられた「愛ノ歌」が意外なライヴ向けなのは発見だった。
対照的に、今回の中で最もスローな「Long Distance Call」が、
野外という場でもしっかりと感動を与えてくれていたのは、彼らならではの構成。
単にノリがいいだけではない、選曲の起伏が陰陽を生んでいた。
アンコールには前日の未発表楽曲「幻想の花」も披露、加えて「FLAME」や「TO-SEACH」など、
彼らの色彩をフルに振りまくグラマラスなさまざまなナンバーで楽しませてくれた。
2日間を通して再確認できたのは、野外でも変わることのない演奏のボトムの確かさと、
どんな空気でも観客を惹きつけてしまう彼らの強靭な意志。
それは、空気を自分たちに引き寄せるタフさ、とセンシティヴな心情をあわせ持つ
いうなれば『極東I LOVE YOU』と『Mona Lisa OVERDRIVE』に融合に加え、
その軌跡も含めて、パーフェクトなBUCK-TICKの姿を表したと言ってもいいかもしれない。
しかし、これは、終焉の始まりであった。
2003年の夏には“SUMMER SONIC 2003”への参加や、
マリリン・マンソン来日公演へのゲスト出演も決定。
洋楽ファンの前で、BUCK-TICKが演る。
日比谷野音で得た凶暴なエネルギーを、場所や観客に関係なく、タフに発揮したBUCK-TICK。
12月3日にはシングル盤として【-XANADU-】での“まぼろし”「幻想の花」と同時に、
この映像DVD『Mona Lisa OVERDRIVE -XANADU-』をリリースし、
一大イヴェント年末の日本武道館公演を、
12月28日、29日の2日連続開催というスペシャル版【THE DAY IN QUESTION】を実施した。
この賑わいは、
新たなる旅立ちのために、過去に“ケリ”を付けたように、
僕には、映った。
残骸 -Shape2-
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
瓦礫の上で歌う 気の狂えた天使
静かに叩きつける 雨は鎮魂歌
残骸が 残像が 残酷に燃える
お前は夢見る 明日が来ることを
雨に 撃たれ
止まない激しい雨は 誰の鎮魂歌
麗しいお前の肌を 俺は汚すだろう
戯れ言は お終いだ 欲望だけだ
俺はもう夢見ない 明日が来ることを
深く もっと深く 俺は穢れて行く
腐りきった日々よ 最後は お前の中で 深く…
残骸が 残像が 残酷に燃える
お前は夢見る 明日が来ることを
戯れ言は お終いだが 絶望だけだ
俺はもう夢見ない 明日が来ることを
深く もっと深く 俺は穢れて行く
腐りきった日々よ 最後は お前の中で
深く もっと深く 深く 愛してくれよ
砕け散った日々よ 最後はお前の中で
深く …深く
雨に 撃たれ
