「壊れちまえばいいのさ 解き放てばいいのさ」
「解き放て!!!」
なんて…、ハイパーなセックス・ソングだ。
表現は「君のヴァニラ」「囁き」以来の情事描写だろう。
「LIMBO」とは、中途半端の場所、不安定、~の途中、
そして天国と地獄との狭間で洗礼を受けていない人の霊が集まる場所という意味があるようだ。
アルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』は、
モチーフを連想させる、ストレートな表現で描かれている楽曲が多い。
代表的なセックス・ソングは2曲収録されている。
「LIMBO」「BLACK CHERRY」とどちらも櫻井敦司のエロスが“野音”の空を濡らす。
どちらも逃げ場のない濃厚な情事だ。
加えて歌詞に過去の楽曲や作品を連想させるフレーズが折り込まれている。
「MONSTER」では“MACHINE”、“鼓動”は引用されたように、
この「LIMBO」では“SEX for YOU”、“SIX or NINE(『69』)”、“JUST ONE MORE KISS”
と情事に関連するキーワードが臨場感を高めている。
【-XANADU-】の野外の開放感がこのセックスをより濃厚なステップに変える。
この情事は、生きている証であろう。
シンボリックに躍動し、自らを解き放つセックス。
最高の意思交換の場は、「LIMBO」という言葉が示すように、
いつも、どこかとどこかの“途中”で繰り広げられる。
それは、どちらへも逃げられる防衛本能のようでもあり、
そのまま、突き進む為への“意思確認”の場でもあるようだ。
とにかく、濃厚な刺激が、迸り、放出されているようなハイパーチューン。
今井寿のテクノ魂が、最も発揮された典型的なレイヴ・サウンドに載り、
メンバー達と共に、日比谷の腰が淫らに揺さぶられる。
アルバム・テイクは、全編が、打ち込みによるDATサウンドで敷き詰められ、
極彩色のアルバム『SEXY STREAM LINER』を思い起こさせる。
ヤガミ“アニイ”トールと樋口“U-TA”豊のリズム隊は、デモを聴き、
コンポーザーの今井寿に「この楽曲は打ち込みで行こう」と進言したという。
この天に向って解放されるテクノ・テイストも、
今井寿が標榜する“ロックンロール・アルバムな感じ”を象徴する一曲に、仕上がった。
そこに、櫻井敦司の濃厚なエロシチズムが、惜しげもなく注ぎ込まれる。
「お前に触れる 熱い子宮震わす 揺るぎなの無い真実よ メクルメク愛よ」
櫻井敦司のセックスには、血の匂いがする。
疼く股間を、アクロバットな愛撫が襲いかかる。
「眼を閉じてりゃいいのさ 感じてればいいのさ SEX!!」
この日、日比谷野音に集結したフリークスも、
まるで、巨大なレイヴ・フェスティヴァルに、参加しているように踊り狂う…。
これが、BUCK-TICKのライヴ・セックス!
結合の“刻”だ。
この現実と幻想の“狭間(LIMBO)”で、踊り狂い、解き放て。
「愛を交わそうたとえ地獄でも 炎に濡れて JUST ONE MORE KISS」
熱いキスをくれ。
地獄の炎に焼かれるような、熱いキスを…。
もう一度だけ…、キラメキを手にするために。
「お前がいればいいのさ 狂っちまえばいいのさ
狂っちまえば・・・」
今井寿のテルミンが響き渡り…、フェイドしていく…、
これが最後の夜に、女体マイクスタンドが、
ヴァニラのマネキンのように、櫻井敦司の濃厚な後戯を受ける。
今夜の“LIMBO”も、真っ赤な夜だけが見ている。
LIMBO
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
お前が流す 涙その理由は
忍び寄る終末に 怯え嘆くせいか
お前が流す 赤い血の意味は
生きている証と 罪と罰のせいさ
愛を交わそう たとえ地獄でも 炎に濡れて SEX for YOU
壊れちまえばいいのさ 解き放てばいいのさ
お前に触れる 熱い子宮震わす 揺るぎなの無い真実よ メクルメク愛よ
血は滾り 肉躍り狂う 飛び散る蜜は SIX or NINE
眼を閉じてりゃいいのさ 感じてればいいのさ
愛を交わそうたとえ地獄でも 炎に濡れて JUST ONE MORE KISS
お前がいればいいのさ 狂っちまえばいいのさ
お前がいればいいのさ 狂っちまえばいいのさ
狂っちまえば・・・
