「Get it up! Get it up! ツキタテロ」
BUCK-TICK史上初の野音公演、
御馴染のオープニングの「Continue」から「ナカユビ」で火がついた瞬間から、
5人の高まったエネルギーは最後まで途切れることなく、観客を貫いた。
「ナカユビ」は、前作『極東 I LOVE YOU』の最終ナンバー「Continue」を元に作られている。
言わば、必然的な“Loop”を描く、アルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』の世界の幕開け。
立ち込めるスモークの中に登場したメンバーが、のっけから目潰しフラッシュと供に、
観衆に、先制攻撃をお見舞いする。
拳を振り上げるBTフリークス。
【ーXANADUー】にも、この“攻撃力”は健在だ。
作詞作曲を担当した今井寿は、むしろ、冷静の中に、この“怒り”を封印し、
この楽曲を創り上げたと語っている。
しかし、ここに巻き起こる“怒り”とはなんなんだろう?
“喜怒哀楽”の中でも、激しい部類に入るに違いないこの感情。
正気では、決して、人に見せたくない部分かもしれない。
勿論、この“怒り”を商売に結び付けるロック・ミュージックなんて、
世界中に溢れている。
世界中のミュージシャンが、中指を突き立て、怒りのメッセージを送り続けている。
そんな、中指の使い道を描いたという今井寿の“怒り”は、
どうやら、自己主張ではなく、より“攻撃的”でありたいという願望が、
象徴的な中指を突き立てる動作とリンクしたものだろう。
しかし、そこには、寧ろ冷静にその動作を分析している雰囲気すら、感じる。
「なぜ、お前らは、そんなに“怒る”のか?」
「馬鹿じゃないの」
という、ニヒリズムすら、今井寿からは感じるのだ。
今井寿の中指の使い方は、“FUCK”ではなく、
「もっと、こっちへ、来い」
と、中指一本で手招きしているように僕には見える。
そんな、冷静と激情の狭間に、ナカユビを突きたてるBUCK-TICKとそのフリークス。
この日のメンバーの衣装は、樋口“U-TA”豊が、グレーと黒の迷彩柄のシャツに黒のパンツ。
ヤガミ“アニイ”トールも戦闘を意識したミリタリー迷彩の白と黒の柄の上下。
星野英彦はインナーが白のメッシュTシャツとジッパー付きの黒のボンパンに黒のジャケット。
今井寿は黒いスーツスタイル。ボトムに黒の巻きスカート。
頬の御馴染≪B-T≫メイクの代わりに白いライン。
遂に、このメイクも卒業かと思いきや、しっかりとその首筋には、≪B-T≫と刻まれている。
櫻井敦司は黒のロングドレスを纏い、まるで宣教師の様。
いや、彼が黒いドレスを纏うと、魔界から“闇”に誘い込む呪術の宣教師か!?
華麗なるドレスはウエストが絞られ、裾がややフレアーに広がる。
映画【MATRICKS】の主人公、救世主ネオのようでもある。
しかし、正確には、やはり“魔王の降臨”という表現が、一番しっくりくるのだろう。
とにかく、「ナカユビ」は、とことん“過激”だ。
これほどまでに、オープニングに適した楽曲はないだろう。
初っ端から、「お前ら、今夜も、俺達に着いてこれるか?」と、
試されているような気持ちになる。
勿論、我々は、即答する。
「死ぬ気で、着いて行く!」
と。
狂ったように、フラッシュする会場の後ろには、
今日も、なんの変哲もない日常がある。
ここ東京で、そびえ立つビルディングのド真ん中で、
異様な世界が、突如、出現したとも言える【ーXANADUー】。
今宵も、この一曲目から、容赦なく…、
怒り狂え。
ナカユビ
(作詞・作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
HERE WE GO!!
Fuck up! Go fuck yourself!
Lift up your middle fingers
Say "Fuck you" or "Fuck off"
Get it up! Get it up!
ツキタテロ
I HATE YOU SO FUCK IT
ここにも そこにも 溢れてる
