※2月15日の記事『ULTRA COUNT DOWN Interview/ 今井寿 櫻井敦司』で、
映像が公開になっておりませんでした。申し訳ございません。
公開変更しておりますので、お時間がありましたらご覧下さい。(yas)



「深く もっと深く 俺は穢れて行く
 腐りきった日々よ 最後は お前の中で 深く…」


「残骸」は、実際、久々のBUCK-TICKが手掛けたロックンロールであった。
このストレートな“自然体”とたたみかけるような“攻撃性”。
これは、“ロックンロール”としか、表現出来ない。

確かにBUCK-TICKは、ロック・バンドでは、在ったが、
ロックンロール・バンドでは、無かったかも、しれない。

とにかく、この、触れると、切れてしまうような先行シングルは、
BUCK-TICKに、久々のビック・セールスを与えた。
そして、やはり、櫻井敦司に言わせると、この先行シングルを含む
ニュー・アルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』は、ただ単に、
荒々しいだけの“攻撃的”な作品ではなかったのだ。

『UV』誌にて、櫻井敦司は語っている。


以下、抜粋、引用。





――僕らとしては、年明け最初のインパクトといえばやっぱり「残骸」なんですけども。
シングル・チャート5位初獲得という好反応については、率直なところどんな感触を?

「……意外といえば意外な。
ま、やってる側としては毎回、実際にシングル出すっていう以前に、
その作品が完パケた時点ですごい充実感を得てるんで……今回は“なんでかなあ?”っていう感じがします。
“前の曲じゃ駄目だったのかなあ?”って(笑)。
その前の曲だろうとさらに前のだろうと、いつも同じテンションなんですけど、
そんなそんななかでどうして「残骸」なのかなあ、と」

――櫻井さんなりの分析してみました?

「ええ。やっぱりこれだけ如実に結果が出てくるとわかりやすいですからね。
それはまわりのスタッフの人たちのお力です」

――「俺の力だ!」ぐらい言って下さいよ。

「いや、俺の力はいつも出してるつもりなんで。
あとはきっと、みんなお年玉をもらったからじゃないですか(笑)」

――先日のSHIBUYA-AXでのシークレット・ギグでは、この曲をオープニングに据えてましたけど、
あれはやっぱり、そういった反響の大きさも踏まえたうえで?

「いや、ヒデが、1番目がいいんじゃないか、と。ヒデに言われると“ああ、そうか”って。
“そうじゃないかって思ってたんだよ”って顔して(笑)。
ホントは急場にとっとこうかなとも思ってたんですけど、やってみて良かったなって」

――あのライヴの感触はどうでした?

「普通ライヴハウスに来てくれる人たちの感じとは、またちょっと違ってたと思うんですね。
すごい好きで応募して……しかも抽選ですから、
ま、たとえばライヴハウスに行ったことのない人が当選していたかもしれないし、
ああいう場所に慣れなくて、ああやってグシャーッとなるのが初めてだった人もいただろうと思うんですよ。
やっぱり男の客とか、あんまり前の方に来れない感じだったし。お姉さんたちがいっぱいいて……(笑)」

――そのなかにヤローどもは飛び込みづらい(笑)。
で、確かにそういう空気の部分では通常のライヴとは別種のものだったんでしょうが、
ツアー本番に向けてのヒントみたいなものは得られたんじゃないですか?

「いやー、あくまで別モノですから。勢い重視だったし、計算もないですし。
あんまりそうやって、次のツアーに向けてどうのとか、そういうのはなかったですね。
ま、やってみて“あ、わりと体力イケるな”とか、それぐらいは思いましたけど」

――イケてもらわないと困ります(笑)。でも実際、体力の要るツアーになりそうですね。

「勢いでイケる曲については心配してないですけどね。気にしててどうにかなるものでもないですし。
ただ、やっぱりメロディの起伏のあるものに関しては、もうちょっとちゃんと歌わないとなって、いつも思うんですけど。
もっとなんか、冷静になるべきときは冷静になって、ある程度の点数を求めていかないと……歌手として(笑)」

――それってすごい要求の高さですよね。
自分を制御不能なぐらい解き放ちながら、しかもコントロールしていくってことなわけで。

「難しいですよね。
ライヴだからもう、グシャ―ッとなればいいのかっていえば、
確かにそういうところも必要だろうけども、それだけじゃないはずだし。
もっと納得できるような内容が、自分にとってあるはずだし」

――そこはやっぱり、完全な満足なんて成立し得ないのかもしれない。

「あり得ないですよね。やっぱり」

――実際、これだけ作品の性質が違う以上、ツアーで求める性質が違う以上、
ツアーで求める理想というものが前作のときとは違ってくるんじゃないかと思うんですが、
今はどんな空気感のライヴを求めてますか?

「どうしても規制のなかでやるもんですから……お客さんにはホント“右へならえ”じゃなくて、
事務的にじゃなくて、野性的に楽しんでもらいたいですね」

――それは、単純に“暴れろ!”という意味じゃないわけですよね?

「もっとこう、広い感じで楽しんで欲しいというか。
ま、今でこのもうあんまりいないですけど、
なんかこう、コンサート/ライヴを楽しんでるって感じじゃない人っていますからね。やっぱり。
誰かを一点に狙い撃ちしてるというか。
そうじゃなくて、楽曲とこう、交わりながら……そういうのを楽しんで欲しいですね」

――あえてお聞きします。狙い撃ちに遭った場合、どう対処するんです?

「もう、関係ないです。その2つの目だけを気にしてるわけにはいかないですからね(笑)」

――バンドも自由度を増してるわけだし、お客さんにも自由であって欲しいというところでしょうか?

「ええ。そうですね」

――アルバムそのものについては前回もお聞きしましたけど、
時間が経過していくなかで感触が変わってきた部分とか、あります?

「なんか……自分たちでインタヴューとかに応えててるときは
“アグレッシヴで勢いがある作品です”とか言ってきましたけど……」

――え?ウソだったんですか?

「ウソでした(笑)」

――あのー、もうさんざん書いちゃったんですけど(笑)。

「いや、あの、“それだけじゃない”ってことです。そこだけじゃなかったんだな、と。
個人的にはやっぱり、ロマンティックな要素って、どこかしらにないと嫌ですから。
攻撃性も大事ですけども、それだけでは無理ですね、俺は。
やれないです。そんなに俺はパンクじゃないし」

――逆にロマンティックだけでも満足できないわけですよね?

「ええ。いろんな面を、数多く見せられればいいなと思ってるんで。
結果的な反応というのも十人十色でいいと思ってるんで」

――必ずしも“攻撃的”という解釈じゃなくてもいいってことですよね。
ところで今年の展望なんですけども……その前に、櫻井さんにとって昨年は慌ただしかったですか?

「いや、そうでもなかったですね」

――ということは、今年はもっと忙しくなっても大丈夫ってことですね、きっと。

「ええ。もう、詰め込んでもらえればなんとかやってけるかなと思ってますけど」

――今のはべつに、レコード会社に頼まれて誘導尋問したわけじゃないんですけど(笑)、
なんかそんな言葉が出てくること自体、
すごくバンドが回転数の高い状態にあるってことなんだなという気がしました。

「んー、まあそんなに真面目でも勤勉でもないですし、仕事が好きなわけでもないんで」

――いやー、それはみんなそうですよ。

「だから自分のやるべきこと……バンドをやってるうえで付随してくるいろんなことがらについては、
まあ、なんとかやっていこうとは思ってますけども」

――今の発言は、控え目なふりしていながら実は力強い宣言なんだと解釈しておくことにします。

「……(笑)」


以上、抜粋、引用。


確かに、この「残骸」を聴いていると、ストレートな攻撃的ロックンロールの中に、
櫻井敦司のロマンチックな生命への想いが重なる。
絶望の中に希望を見出し、そこへ向かってあがき続ける自分。
そして、力尽き、“残骸”となり果てた時、
最期は、麗しき、愛おしき、あなたの元へ還りたい、と。

これは、櫻井一流の“ROMANCE”以外の何物でもない。





残骸
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


瓦礫の上で歌う 気の狂えた天使
静かに叩きつける 雨は鎮魂歌

残骸が 残像が 残酷に燃える
お前は夢見る 明日が来ることを
雨に 撃たれ

止まない激しい雨は 誰の鎮魂歌
麗しいお前の肌を 俺は汚すだろう
戯れ言は お終いだ 欲望だけだ
俺はもう夢見ない 明日が来ることを

深く もっと深く 俺は穢れて行く
腐りきった日々よ 最後は お前の中で 深く…

残骸が 残像が 残酷に燃える
お前は夢見る 明日が来ることを

戯れ言は お終いだが 絶望だけだ
俺はもう夢見ない 明日が来ることを

深く もっと深く 俺は穢れて行く
腐りきった日々よ 最後は お前の中で

深く もっと深く 深く 愛してくれよ
砕け散った日々よ 最後はお前の中で

深く …深く

雨に 撃たれ


【ROMANCE】