2003年のニュー・アルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』の
先行シングル「残骸」の初回限定版にボーナス収録されたメイキング映像は昨日の続き。
この初回限定版に応募アクセスナンバーが封入されていて、
抽選でシークレットライヴのチケット予約が出来るというマーケティングは、
BMGファンハウスらしい、ファン・サービスで、
その抽選の厳しさも、ある種、ファン心を揺さぶるバンドへの希少性を高める結果となった。
このシークレット・ライヴは、1月24日、東京渋谷AXにて開催され、
樋口“U-TA”豊のバースデーライヴとなった。
前年2002年12月29日の【THE DAY IN QUESTION】で、
新曲「残骸」と「BUSTER」が披露されていたが、
この日のセット・リストは
オープニングSE: THEME OF B-T
1.残骸
2.ヒロイン
3.ICONOCLASM
4.悪の華
5.HURRY UP MODE
6.スピード
7.Baby,I want you.
8.RHAPSODY
9.ミウ
10.GIRL
11.MY FUCKIN' VALENTINE
12.TO SEARCH
13.唄
14.極東より愛を込めて
15.LOVE ME
アンコール-1
16.21st Cherry Boy
17.Ash-ra
アンコール-2
18.SEXUAL XXXXX!
19....IN HEAVEN...
という構成で、新曲カップリングの「GIRL」がプレイされたが、
新アルバムの全貌は掴めず、どちらかというと、
ミニ【THE DAY IN QUESTION】のライヴ・ハウス・ギグという様相であった。
しかし、パフォーマンスされたBUCK-TICKの名曲達を聴くだけでも、
充分に、新アルバムに込められた“攻撃性”と“過激さ”を含み空気感を放っていた。
1曲目に新曲の「残骸」が来た事で、ファンの期待感は高まりを見せる。
その後、怒涛のように押し寄せるBTのロック・ナンバー。
なかでも、とりわけ、異彩を放ったのは、けたたましいサイレンが鳴り響く、
久々のビート・パンクス「TO SEARCH」。
「ヒロイン」演奏後のMCで、櫻井敦司は、
「今日は何の日か知っているか? 選ばれし者達よ」
とこの日のオーディエンスに叫びかけていたが、
この日、幸運にも、抽選に当たったファン達は、これだけで、次のアルバムとライヴツアーが、
【WARP DAYS】とは、まったく異なったアプローチになることを悟ったであろう。
「残骸」のメイキング映像の後半には、櫻井敦司の本領発揮“眼力”が凄しいく収録される。
魔王に召喚したばかりの若きヴァンパイアは、雨に撃たれながら、
レクイエムを唄う。
妖艶な彼の唇からは、容赦なく、エロティックな毒を放出している。
己の魂のレクイエムを。
星野英彦は、いつもより少し伸びた髪の毛を、リーゼントチックに流し、
ロック・ギタリストである、と主張する。
樋口“U-TA”豊も、華奢なその身体をデフォルメするかのように、
流線形に後に髪の毛を後ろに逆立て、パンキーな雰囲気。
ヤガミ“アニイ”トールは、大胆にヘアー・スタイルを変え、
自慢のそのトサカをモヒカンに変え(この後、金髪に染めてしまう)
束ねて止めていた後襟足をすべてカットした。
そして、今井寿。
シンプルな、ショート・カットは、セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスのように逆立ち、
スリムなその身体もシャープなロック・スタイルで、
彼特有の奇抜さとか、歌舞伎さ、を廃して、ロック・スピリッツを燃えたぎらせている。
彼のスピンともいえる回転が、このヴィデオ・クリップに更なるスピード感を加えている。
『極東 I LOVE YOU』の発表から11か月。
2003年頭にリリースされたシングル「残骸」をイントロダクションに据え、
彼らのニュー・アルバムが登場する。
この時、この新アルバムを、どんなカタチをして、どんな匂いのするものと想像しただろう?
当初、『極東』と併せて2枚組という形態を想定していた事実を踏まえれば、前作と一対を成すもの、
もしくはその続編的ニュアンスのものを思い浮かべるのがもっとも自然ということになるだろう。
が、結論から先に言ってしまえば、『Mona Lisa OVERDRIVE』は、そのどちらでもない。
ここで彼らが提示する2003年型のBUCK-TICK象は、過去のどんな時代とも感触を異にしている。
音を、空気を、言葉で正確に伝えることは不可能である。
が、あえて今作の特質を言語で形容するとすれば、まず、“攻撃性”という言葉が浮かぶ。
しかもそれは、血の気の多い若者のような激情や、
無闇に人を殴りつけるような暴力性とは当然ながら一線を画すものである。
「残骸」が、やはりコレを象徴していた…。
残骸
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
瓦礫の上で歌う 気の狂えた天使
静かに叩きつける 雨は鎮魂歌
残骸が 残像が 残酷に燃える
お前は夢見る 明日が来ることを
雨に 撃たれ
止まない激しい雨は 誰の鎮魂歌
麗しいお前の肌を 俺は汚すだろう
戯れ言は お終いだ 欲望だけだ
俺はもう夢見ない 明日が来ることを
深く もっと深く 俺は穢れて行く
腐りきった日々よ 最後は お前の中で 深く…
残骸が 残像が 残酷に燃える
お前は夢見る 明日が来ることを
戯れ言は お終いだが 絶望だけだ
俺はもう夢見ない 明日が来ることを
深く もっと深く 俺は穢れて行く
腐りきった日々よ 最後は お前の中で
深く もっと深く 深く 愛してくれよ
砕け散った日々よ 最後はお前の中で
深く …深く
雨に 撃たれ
