――たとえば「残骸」のVIDEOの生々しいライヴ感は、ツアーの空気を予告しているような気もしてきますね。
「そうですね。映像監督のイメージとしては「悪の華」だったらしいんですけど。
でも、ああいう映像とか客観的に見てると、ホントに思うんです。
15年やってるくせに、全然変わってねえなって(笑)」
(ヤガミ・トール 『UV』誌より)
2002年1月8日にリリースされた先行シングル「残骸」のプロモーション・ヴィデオの制作過程を記録した映像。
初回限定版のシングル「残骸」にボーナスとして収録された。
このヴィデオ・クリップ自体も、「残骸」の持つシンプルな“攻撃性”と、
ロック・バンドとしてのBUCK-TICKの姿勢を“自然体”で切り取った作品となった。
そして、とことん“過激”である。
1990年、復活の狼煙をあげた名曲「惡の華」を思い起こさせる
疾走ビート・ロックとスリリングで歪んだギターリフ、
サイバーなノイズも加えられ聴かせるパワフルな1曲となった「残骸」。
シンプルな構成のなかでも
ロック・バンドとしてのBUCK-TICKと、ノイズを駆使するアーティストBUCK-TICKの
両方の要素を詰め込んだ会心作とも言える。
メンバーの5人が、ライヴさながらに、お約束の五角形に布陣を敷き、パフォーマスする姿と、
パーソナルにジャイヴする各メンバーのカット・シーンに分けられて撮影が進められたが、
これまでの、イメージ的な映像は、一切使用されず、
ライヴ・シーンのみで構成されるこの「残骸」のヴィデオ・クリップは、
ライヴ・バンドであることへの強い意志表示。
マイク・スタンドを背に担ぐ櫻井敦司。
高速回転でスピンする今井寿。
クールでスタイリッシュなアクションの星野英彦。
グルーヴィに身をくねらせる樋口“U-TA”豊。
エネルギッシュにスティックを振り上げるヤガミ“アニイ”トール。
これぞ、BUCK-TICKロックンロールだ。
これこそ、BUCK-TICKの16年目の“意思表明”となった。
繰り返そう、16年目のBUCK-TICKは、とことん“過激”である。
彼らの歴史のなかでも忘れがたきアニヴァーサリー・イヤーとなった2002年を象徴したアルバム『極東 I LOVE YOU』。
実は言えば、当初、彼らは2枚組のアルバムを制作するつもりでいた。
そのプランが“2作品を別個に作り、同じ年のうちにリリースする”に変わり、
結果、その代案もまた厳密なカタチで果たされることはなかった。
が、モノゴトが計画通りに進んだかどうかなんてことは、たいした意味を持たない。
逆に、予定通りにコトが運ばないことのほうがアタリマエなのだと、
BUCK-TICKのマイペースな活動に歩調を合わせ、人生を揺さぶられてきた人たちは心得ているはずだ。
そんな、予測不可能な歩調こそ、ロックンロール。
そして、2003年の頭に登場したこの「残骸」。
果たして、BUCK-TICKにとっての“ロックンロール”とは?
勿論、巷にありふれた“ロックンロール”という古典的定義ではないはずだ。
この答えは、徐々に全貌を表していくことになる。
この楽曲が、この年のBUCK-TICKの在り方を示唆していたのは言うまでもない。
残骸
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
瓦礫の上で歌う 気の狂えた天使
静かに叩きつける 雨は鎮魂歌
残骸が 残像が 残酷に燃える
お前は夢見る 明日が来ることを
雨に 撃たれ
止まない冷たい雨は 誰の鎮魂歌
麗しいお前の肌を 俺は汚すだろう
戯れ言は お終いだ 欲望だけだ
俺はもう夢見ない 明日が来ることを
深く もっと深く 俺は穢れて行く
腐りきった日々よ 最後は お前の中で 深く…
残骸が 残像が 残酷に燃える
お前は夢見る 明日が来ることを
戯れ言は お終いだが 絶望だけだ
俺はもう夢見ない 明日が来ることを
深く もっと深く 俺は穢れて行く
腐りきった日々よ 最後は お前の中で
深く もっと深く 深く 愛してくれよ
砕け散った日々よ 最後はお前の中で
深く …深く
雨に 撃たれ
