2002年12月29日、ライヴ【THE DAY IN QUESTION】が開催された。
特に、この年はアルバム『極東I LOVE YOU』と久しぶりの全国ツアー、
更に15周年という節目もあり、改めて意識しないまでも気合いと意気込みは、これまで以上だったはず。
そんな2002年の暮れを飾るに相応しいスペシャル・ライヴを展開してくれた。
まず、なんと言ってもセットリストに驚かされた人も多かったのではないか?
今でこそ、当たり前となったが、この当時、リリース・タイミングに関係ないライヴの場合、
これまでのレパートリーからバランスよくセレクトするというのは、よくあるパターンだし、
この日も、新旧取り混ぜた内容ではあったが、最近のライヴではほとんど取り上げていなかった楽曲が、
次々と披露され、かなり意表をつくメニューであったのは確かだ。
のっけから「SEXUAL XXXXX!」。
彼らのメジャー・デビューを決定付けた王道8ビート・ナンバーで登場すると、
始まるなり、全開と言っていいほどのバンドのパワーが炸裂する。
櫻井敦司の動きは、この日のライヴを象徴するかのように、エネルギーを温存することなく、容赦ない暴れっぷり。
ステージから観衆に向けて、とてつもない熱量を放射していた。
続く「ILLUSION」はかなり珍しいナンバーであったろう。
久し振りに聴いたというファンも多かったハズの落ち着いたナンバー。
この冒頭の2曲がどちらもファースト・アルバム『SEXUAL XXXXX!』に収録されていた訳だから、
彼らの持つキャパシティーの深さにあらためて感服する。
そして、星野英彦の弾くアコースティックの美しくも物悲しい「JUPITER」。
この名曲が5曲目にすでに登場してしまうと、観客はもう、この後何が起こるのか見当が付かなくなってしまう。
櫻井の唄と星野のギターだけで作られた空間の繊細さと力強さ、
そしてリズム・インしてくる瞬間の豊かなボトムの膨らみ。
この5人でなくては為し得ないサウンドに溜息が出る。
さらに翌2003年1月リリース予定の新曲「残骸」が早くもライヴ前半に登場。
スピード感はもとより、これぞBT―ROCKと言える手応えを感じさせるギター・リフ、メロディとサウンド。
続けざまに、次のアルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』収録の新曲「BUSTER」を披露。
太いビートに乗る櫻井と今井のダブル・ヴォーカルが強力な攻撃性を高めている。
どちらの楽曲も、この日がライヴでの初お目見え。
中盤を過ぎ、他のバンドならバラードを挟んで、クールダウンさせるところだが、
逆に、火に油を注ぐのがBUCK-TICK流。
用意されていたのは、「極東より愛を込めて」。
必殺の目潰しフラッシュは健在で、これでもかと観客を直撃する。
【TOUR 2002 WARP DAYS】での、爆音と強烈なライティングを再現し、我々を戦場へ駆り立てる。
この楽曲の持つ緊張感とスケールの大きさがBUCK-TICKというバンドを一回り大きくしたようだ。
続いての「VICTIMS OF LOVE」も久し振りの登場。
以前はライヴの定番と化していたが、ある程度の長さが必要な為、
「キラメキの中へ...」にシフトした経緯があるが、この日、アレンジも新たに演奏された。
後半の怪しげなカオス・パートの長さも半分ほどになったものの、
それでも楽曲の持つ“濃さ”はしっかりと再現された。
後半も決してダウンすることなく、彼らの代名詞「スピード」で勢いは増す。
樋口&ヤガミのリズム隊はよりしなやかなビートで弾むようなグルーヴを生み出している。
単にシンプルになったという訳ではなく、力の均衡が気持ちの良い波を産み出す。
それは、5人全員に感じられる、力を入れ過ぎず、抜くわけでもない、絶妙なテンション。
その爽快感は「ANGELIC CONVERSATION」にも感じられた。
そして2度目のアンコールで「疾風のブレードランナー」で登場し、
「JUST ONE MORE KISS」と持って来て締めくくるという、明るくもシンプルで峻烈なラスト。
この年の【THE DAY IN QUESTION】について櫻井敦司は語る。
以下『UV』誌より引用、抜粋。
櫻井敦司
「通常のツアーとかだと、結構、個人でメニューとか悩みますけども。
こういう機会の場合、ここ何年かはメンバーがやりたい曲を勝手に出しちゃう感じなんですけど、
聞かないと誰も言わないんで、やりたいって言ったもん勝ちなところがあって」
――櫻井さん自身が絶対やりたかったのは?
「……(笑)」
――もしかして、もう遠い記憶になってます?
「ええ(笑)。「FLAME」って曲は個人的に好きなんで、あれはやろうと思ってたんですけど、
あとはホントもう、メンバーのリクエストだったり、ファンの人たちのアンケートの上位の曲だったり、
友達が一言“あれが聴きたい”って言った曲だったり」
――最後の最後の曲は客電をすべてONにしての「JUST ONE MORE KISS」だったじゃないですか。
すごく鮮烈だったんですけど、あの場面はどんな気分で?
「今日はやって良かったな、と。
何年か前だったら……なんかそういうシングルヒットに頼るのは避けてたんですけど、
これはもう、開き直りじゃなくて、単純に面白いなと思って。そこで肩肘張らずに」
――ここ数年のうちに、何がその強固な姿勢を肩肘張らないものに変えたのでしょう?
「んー、やっぱりこういう機会が増えたからっていうのもあるし。
年末のああいうライヴはここ3年ぐらいですけど、ああやって何でもできる場というのが。
もちろん自分たちのアルバムっていうものについてはしっかり納得いくいくまで取り組んでて、
それに伴うツアーっていうのもそのコンセプトに沿ってやってるわけですけど、
その1日だけは、そういう流れとは関係なしにやれるタイミングなんで。
そこでなんでもできるっていうカッコ良さもアリかな、と」
――普段のライヴがベスト・アルバムみたいな構成内容だったら、
武道館はきっとああならないんでしょうしね。
「そうですね。きっと」
以上『UV』誌より抜粋引用。
【THE DAY IN QUESTION】もこの頃から、いかにファンの予想をいい意味で裏切るかという、
“予定調和”を嫌う天の邪鬼な彼ららしい演出が加えられ始める。
まさに、想定外の展開で15周年を締めくくった。
この年の【THE DAY IN QUESTION】は
後日、Viewsic(現MUSIC ON! TV)にて今井寿のインタビューとともに一部放映された。
この日のセットリストは以下の通り、
SEXUAL XXXXX!
ILLUSION
キャンディ
ナルシス
JUPITER
D・T・D
残骸 (初公開)
BUSTER (初公開)
極東より愛を込めて
VICTIMS OF LOVE
楽園(祈り 希い)
Kick(大地を蹴る男)
スピード
BRAN-NEW LOVER
FLAME
ANGELIC CONVERSATION
アンコール1
地下室のメロディー
idol
鼓動
アンコール2
疾風のブレードランナー
JUST ONE MORE KISS
もう、気取る必要はない…、
最期に、もう一度だけ、KISSを…。
JUST ONE MORE KISS
(作詞:ATSUSHI / 作曲:HISASHI / 編曲:BUCK-TICK)
DREAM & DREAM 胸に刻む
SLOW MOTION 一夜の夢
JUST ONE MORE KISS 横顔はまるで 刹那の美貌
JUST ONE MORE KISS むせ返る香り
薄れゆく意識だけが…
NIGHT & NIGHT 人は踊る
ILLUMINATION やがて眠る
JUST ONE MORE KISS 抱き合えば そこは架空の都
JUST ONE MORE KISS 爪立てた腰は
はかない恋に揺れて…
天使のざわめき 悪魔のささやき 月夜に甘いくちづけ
キラメキは届かない つぶやいた
I WANT YOU TO LOVE ME
I KNOW YOU LOST YOUR HEART もがき続け
トキメキは返らない 愛してる
I WANT YOU TO KILL ME
GOD KNOWS I LOST MY HEART 叫び続け
AH-AH ONE MORE KISS......
JUST ONE MORE KISS 横顔はまるで 刹那の美貌
JUST ONE MORE KISS むせ返る香り
薄れゆく意識だけが…
JUST ONE MORE KISS 抱き合えば そこは架空の都
JUST ONE MORE KISS 爪立てた腰は
はかない恋に揺れて…
天使のざわめき 悪魔のささやき 月夜に甘いくちづけ
キラメキは届かない つぶやいた
I WANT YOU TO LOVE ME
I KNOW YOU LOST YOUR HEART もがき続け
トキメキは返らない 愛してる
I WANT YOU TO KILL ME
GOD KNOWS I LOST MY HEART 叫び続け
