「血が俺の友 奴がこう言う『もがき足掻け 死ぬまで這いつくばれ』」

この日の、メンバー登場時の出で立ち。
まるで“悪魔”たちが、怒りに燃えて、降り堕ちたよう…。

櫻井敦司は、このツアーで御馴染の黒のフリンジのロングドレスに、
オープニングから、すでに大雨に打たれたかのようなずぶ濡れの髪の毛。
今井寿は、海賊のような眼帯装着(ここにCCDカメラが仕込まれる)。
服は黒の和風ジャケットに破れジーンズ、ウエスタンブーツの無国籍デビルスタイル。
星野英彦はクールなサングラスに、黒のシースルーのジップアップシャツが艶めかしい。
樋口“U-TA”豊は、黒のウエスタン調ドレス・スーツ。
ヤガミ“アニイ”トールは特製【極東スーツ】。ファイナルの今日は黒ヴァージョン。

今井寿のメイクは、【川崎チッタ】1日目と同じような目の下にインディアンのような白いラインが施されている。
櫻井敦司の腕と手がシルバーに塗り固められ、ネイルは黒。
メイキャップは、マリリン・マンソンかと思えるようなアイライン…。黒尽くめ。

完全にメンバー全員が“悪魔”のようなコスチュームで、
燃え盛る炎の中、櫻井敦司はずぶ濡れになりながら「惡の華」を唄う。



2002年6月16日 【東京ベイNKホール】

「来てくれてありがとう。…今日が何の日かわかるかい…?」

櫻井敦司のMCに会場は拍手喝采。
今井寿がHAPPY BIRTHDAYを奏でる。

そう、6月16日は、星野英彦の誕生日。
この“悪魔”たちは、血を流し祝う。

櫻井敦司はお約束を言わずにはいられない。
「FUCKしよう!」

「TRIGGER」だ。

曲調は、BUCK-TICKが、最も得意とするダーク・ロックそのもの。
その凶暴さが、剥き出しの獣となり、オーディエンスに襲い掛かる。
ボードレールの戯曲を模したドグマ「惡の華」と並んでも相性はバッチリだ。

ヤガミトールがまるで、和太鼓でも叩くかのように、重く跳ねる独特のドラミングが印象的に響き渡る。
今井寿は、新兵器のテルミン内蔵搭載【FERNANDES BP-220 HI "Black Pot"】を登場させ、
感情を極限まで追い詰めるようなギターリフを披露する。
樋口“U-TA”豊が、激しく横揺れし、これまた重たいビートを紡ぐ。
星野英彦のブラック・レスポールが光を放ち、歪んだギター・サウンドが空間に充満する。



「FUCK ME!」の言葉通り、
この楽曲では、櫻井敦司が、激しくハイエナ共に犯される。

「手にしたもの 嘘と肉 涎まみれの体 食らえ」

自身を供物に捧げ、“悪魔”たちの【蝕】が催される。

背景は、戦場の焼け野原。
これは、同時多発テロ後に制作された『極東I LOVE YOU』の根底に流れるテーマ。
侵略した側は、侵略された側の全てを奪い尽くし【蹂躙】する。
略奪もこの地では、正義。それが【蝕】。

「失うものが何処にある」

全てを投げ出し、転生を願う。
AH-WOOと“悪魔”たちの雄叫びが聞こえる。

「俺は弾けるTRIGGER」

いつでも、一発、ブチかましてやる。
そんな、銃鉄を握りしめながら、奪われ、犯され、蹂躙される。
それでも、俺は生き残る。もがき足掻き死ぬまで這いつくばって。

いつか来る“救世主”を待ちながら…。

それは、“死”か“愛”か…。


巨大なアンプ・モニターに追い詰められ、逃げ場もなく悶える櫻井敦司は、
『SWEET STRANGE LIVE FILM』での「Schiz・o幻想」のパフォーマンスを想い起こさせる。


「死が俺の友 奴はこう言う『俺は ここで お前を待ち続ける』」





【ROMANCE】



TRIGGER
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


俺もお前も夢の跡 失うものが何処にある


薄汚い俺はブタ ハイエナ共がしゃぶる

手にしたもの 嘘と肉 涎まみれの体 食らえ

AH-WOO AH-WOO AH-WOO AH-WOO

あんたの眼が俺を犯る 俺は弾けるTRIGGER 

侮蔑と唾 吐きかけて 脳天 突ら抜いて行く欲望

血が俺の友 奴がこう言う『もがき足掻け 死ぬまで這いつくばれ』

(AH-WOO) AH-WOO AH-WOO AH-WOO

(AH-WOO) 俺もお前も夢の跡

(AH-WOO) 失うものが何処にある


死が俺の友 奴はこう言う『俺は ここで お前を待ち続ける』

(AH-WOO) AH-WOO AH-WOO AH-WOO

(AH-WOO) 俺もお前も夢の跡

(AH-WOO) 失うものが何処にある

(AH-WOO) 俺もお前も夢の跡

(AH-WOO) 失うものが何処にある