NHK BS放送『BEAT MOTION』放映時の映像である。
司会者はLUNA SEAのドラマー真矢。
BUCK-TICKとLUNA SEAは1994年8月18日からスタートしたLSBイベントに参加
(L.S.B. Featuring LUNA SEA・SOFTBALLET・BUCK-TICK)
札幌・仙台・新潟・大阪・福岡全5公演を行っている。
その後、LUNA SEAは、2000年12月26日, 12月27日の東京ドームにて
【LUNA SEA THE FINAL ACT TOKYO DOME】を実行。このライヴを最後に終幕(=解散)している。
2001年から、ソロ活動を本格的に開始した真矢は、セッション活動として、
数多くのミュージシャンのライブ・レコーディングに参加している。
この2002年時点で、真矢はタレント司会者として、インタヴューされる立場からする立場へ転身していた。
一緒に司会を担当しているのは、住吉美紀で
「アートエンターテインメント 迷宮美術館」
「プロフェッショナル 仕事の流儀」
「地球アゴラ」等、現在ではNHK放送を代表するアナウンサーの一人である。
この映像のトークもやはり面白い。
真矢は、先輩ミュージシャンとはいえ競演したこともあるBUCK-TICKに恐縮しまくりで、
「テレビで知った世代ですから…。
生活観のない人たちだなぁ~と。
(櫻井を指して)ちらし寿司とか食べそうじゃないじゃないですか…」
と語っている。
また、ライヴというキーワードで星野英彦の天然ボケが炸裂する。
真矢 「韓国だと、もえたりしるでしょ?」
星野 「(うなずいて)ええ。足音したりするらしいですよ…(心霊現象?)」
真矢 「いや…、じゃなくて…燃え上がる…?」
星野 「ああ、そういうことですか…ごめんなさい。」
また“忘れられないエピソード”というキーワードでは、
櫻井 「皮パンの股がパックリ…変な歩き方でソデに戻った」
“お酒”というキーワードでは
ヤガミ 「(呑む)量はわかんないですけど、長い(時間)ですよね」
とその天真爛漫ぶりを発揮している。
住吉美紀の「健康の為にやってることはありますか?」の質問には、
櫻井敦司が
「あるわけないじゃないですか…」
と答えている。
真矢は
「今まで、何万リットルの酒を消費したことか…」
と啓愛するBUCK-TICKをリスペクトを込めて落としている。
演奏楽曲は、新アルバム『極東 I LOVE YOU』から先行シングル「極東より愛を込めて」で、
トークシーンのお茶らけた雰囲気から一転、シリアスなパフォーマンスを披露してくれた。
この最もBUCK-TICKの王道を極めたシングル楽曲を始め、新アルバム『極東 I LOVE YOU』は、
冒頭の「疾風のブレードランナー」「21st Cherry Boy」のグラマラス・ポップ・ロックンロールを披露し
これまでのダークで、音の錬金術の如くマニアックなノイズをガンガンに入れてくるような
BUCK-TICKサウンドのイメージを覆した。
感電するような『ONE LIFE, ONE DEATH』でノリ疲れた体を癒すかのように、
アルバム全編にアコースティック・サウンドが取り入れられ全体的に温度が低くて生音の割合が高い。
前作までの実験的ハードコア・テクノ・サウンドを取り敢えず置いといて、
「ロック・バンドである」という彼ら自身の存在に真正面から向き合った作品と言えよう。
更にレコーディング当初は、今井寿の止まらない創造性が、
この新アルバムを2枚組でリリースしようというプランを持ち上がらせていた。
以下『UV』誌より、TV番組『BEAT MOTION』ではほぼしゃべっていない
今井寿のインタヴューを引用する。
―――予定では2枚組になるはずだったそうですけど。かなり前からその考えはあったんですか?
「最初は違ったんです。2枚出すうちの1枚を5曲ぐらいの曲数にして、そっちをもっとコンセプトに忠実というか、わりと実験的なタイプにしょうと。でも、曲を作っていくうちに、分けるのは聴きにくいというか、意味ないように感じてきたんです。で、5曲っていうのも中途半端だなっていうことで2枚組の話になり、それが結局スケジュールの都合もあって1枚ずつ分けることになって」
―――もともとはどうして2枚に分けようと?
「ミーティングしているうちに、そういうアイデアが出てきたので。最初は自分の中で、普通に10曲ぐらいのフル・アルバム1枚って考えてたんですけど。ちょっと、そういうことをやってみてもいいんじゃないかという話になって」
―――けれど、それはまた違うかなということになって。
「ええ。で、今話したようになったんですけど」
―――曲作りの時に、テーマ的なものってありました?前回は歌メロをしっかり出したいというのがあったと思うんですけど。
「それは今回も、普通にというか当たり前に意識して大事にしている部分ですけど。漠然とした全体のイメージっていうのがあるんです。隙間……、アレンジで音の隙間があるという意味ではなくて、勝手にエンジニアに変えられてもどうなっても、多少の降り幅があるというか。そういう隙間、余裕みたいなのは作っていくうちの感じましたけど」
―――それは、楽器の配置云々じゃなくて?
「曲として、ですね。メロディは思いっきりがっちり決めてやってますけど」
―――シンプルに、というのとも違って?
「そういう方向にいってる曲もあると思うんですけど、それはアレンジ、ということで」
―――いわゆる込み入ったアレンジとは違っていて。
「ええ。確かに音数は少ないとは言えないかもしれないけど、わりと聴きやすい配置というか、そうなっていて」
―――ですよね。歌メロを重視したというのもあるし、いわゆるギターのリフものという作り方でもないし。
「ええ。普通にそこから行くのは、古いなって思う瞬間があって」
―――いわゆるバンド然とした音に乗っけていくより、新たなやり方があるじゃないかっていう?
「曲によって、ですけど」
―――今回、「WARP DAY」って今までにありそうでなかった感じというか。
「ええ」
―――音の感じも、空間が生かされていて、変わった感じの手触りになっていて。
「ええ、そうですね。アルバム全体のイメージっていうのは「WARP DAY」とかが核になってると思うんですけど」
―――この曲は最初の段階でできていたんですか?
「そうです。「WARP DAY」「Long Distance Call」とか、アコギが入っている曲が、わりと最初のほうにできて」
―――なんで今アコギなんですか?
「イメージとして、電子音をアコースティックに聞かせるような手触り、デザイン、っていうのがあって。自然にアコギが増えてきたんですけど」
―――それは、電子音とアコギを混ぜるっていうんじゃなくて?
「もちろん、混ぜるのもあるんですけど、電子音が無機的とは違う、ちょっと有機的な感じというか。あと環境音をいろいろ集めてきて、そこからノイズを作ったりとか、そういうことを増やしていきたいなって」
―――レコーディング自体は、イメージが固まれば早かったですか?
「いえ、全体の形っていうのがはっきりと見えていたわけではないんです。やりながら多少のアレンジ変更も出てくる時もあったし。なんか、今までとちょっと違った感触だったです」
―――というと?
「はっきりと見えていないような、でも作りたいものっていうのはあるんです。けれど、決められた感じっていうのが、ちょっと薄かった」
―――あえて自由度を残していたというか?
「もちろん、作ってる時はいつもと同じで、このアレンジでって決めるんですけど。リミックス仕様、みたいな感覚。対リミックス用のアルバムというか、曲というか」
―――素材として作っているという?
「うん、たぶん」
―――そのぐらいの自由度はあってかまわないっていう感じですか?
「ええ。もちろん、これはこれですごく満足しているし。結果、そういう印象を自分は持ったということで。TDの時に、音のバランスを聴いて、よっぽどイメージと違ったところがあれば言うんですけど、ほとんどがOKな感じで。今まで必ず何か言ってたりしてたんですけど、今回はすごく少ない。何でなのかなって、自分で分析して無理やり出した答えが、今言ったことなんですけど」
―――それは、今井君の気分的なものなんですか?
「最初は、単純に自分がいい加減な態度なのかなって思ったんですけど(笑)。でも考えていくと、漠然としたアルバムの感触っていうのが、そういうことだったのかなって思います」
―――もう、次のアルバムは見えているんですか?
「そうですね、レコーディングしてあるものが数曲あって。ストック自体も何曲かあるんですけど、その時から時間がたっているんので、もう一度、一から作るかもしれないし」
―――でも、このアルバムの感じの延長にあるわけじゃなくて?
「まだ、言いません(笑)」
―――1年に2枚っていうペースはあまりないと思いますけど?
「何か、そういう雰囲気というか気分だったんですけど。今のうちにっていうのも変ですけどガァーッと、未完成のイメージのものでも、そのまま出したいなという感じがあって。やっぱり20曲とかないと、足りない感じがありますね」
―――今年はデビュー15周年だし、昔の映像がまとめてリリースされますけど、改めてどういうふうにに感じますか?
「ま、長いなと思うし、何年ぐらいやったらギネスブックに出られるのかとか(笑)」
―――先に何をやるかあまり考えないですか?
「ヴィジョンですか、人生の(笑)。ないですね」
以上、『UV』誌より引用、抜粋。
世の中でいわゆる“成功者”という種類に人間がいる。
自分の夢を叶えた人物。
このパターンには、2種類ある。
“こうなる”と目標を決めて、努力し、そこへ突き進む人。
自分の内なる声に導かれ、次々と扉が開くように、
その過程を、味わいながら気付くと目標に達していた人。
これは、どちらが、正しいという問題ではない。
恐らく、今井寿を始め、BTメンバーは、後者のような気がする。
ただ、シンプルに、その時、その時を大切に、自分の出来るベストを尽くして生きてきた。
より良い“音楽”を、より良い“ライヴ”を、と。
そして、これからも生きて行くのだろう。
そんな、彼らに人生のヴィジョンは、必要ないのだろう。
極東より愛を込めて
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
見つめろ 目の前に 顔を背けるな
愛と死 激情が ドロドロに溶け迫り来る
そいつが 俺だろう
俺らはミナシゴ 強さ身に付け
大地に聳え立つ
光り輝くこの身体
そいつが お前だろう
今こそ この世に生きる意味を
愛を込め歌おう アジアの果てで
汝の敵を 愛する事が 君に出来るか
愛を込め歌おう 極東の地にて
悲哀の敵 愛する事が 俺に出来るか
