「もう少し 側にいてくれるかい後少し 夜が逃げていくその前に
さあ踊ろう 泣けてきちゃうくらい喜びで 狂おしいほど震えるさ 」
かつてBUCK-TICKがここまでの4つ打ちのダンスナンバーを披露したことあったろうか。
現在もライヴでパフォーマンスされると必ず会場が揺れる。
BUCK-TICKに流れるラテンの血?
そんなものが、ある訳がない!
どこまでも、クールで、デカダンで、ダークなバンドの、
感電しそうな、アッパー・スタイル・スーパー・デジタル・ロック。
そして、官能的な世界を描かせたら、右に出る者はないだろう。
櫻井敦司の会心の「SEX SONG」だ。
この火傷しそうなくらいに、あなたを求めるハイパーチューンで、
アルバム『ONE LIFE,ONE DEATH』は、幕を開ける。
このアルバムを初めて聴いた時、
僕のそれまでのBUCK-TICKワールドは、一瞬真っ白に消えた。
そんな、脳裏の“過去”を振り切る程の刺激が、この楽曲にはあった。
この20世紀最終公演、日本武道館でも、見事に「Loop」を決めるBUCK-TICK。
カーニヴァルを表現したデジタル・アートの『ONE LIFE,ONE DEATH』のジャケットも、
恐らくは、この一曲をイメージしたものだろう。
このハイパーチューン、楽曲の構成自体は非常にシンプルと言えよう。
AメロBメロで乗せるだけ乗せて置いて、サビで一転。
甘い感覚を呼び寄せ、更に追加されたグルーヴでトドメを刺す。
終盤の全プレイヤーかき鳴らしの轟音では、誰しも鳥肌が立ってしまうだろう。
ロカビリー・テイストな樋口“U-TA”のベース・フレーズが、またも印象的に楽曲を引っ張る。
イントロのテルミンも「MY FUCKIN’ VALENTINE」を思わせる今井寿のノイズ・アートもふんだんに取り入れられ、
星野英彦の、グレッチ・セミ・アコースティックからの歪んだギター音に感電しそうだ。
ヤガミ・トールは、やや後ろ目から余裕のロック・ドラミングを聴かせてくれる。
アニイのドデカい、バスドラが日本武道館に響く。
樋口“U-TA”豊が、ステージ全面に登場し、フロント3人衆とともに
興奮を絶頂に高めてくれる。
櫻井敦司は、もう発情した踊り子だ。
彼のエロスもここまで至ると神々しい。
今井寿のマイマイ・ダンスも麗しくひらひらと舞う。
バンド・サウンドとしての一体感でも、最高のクライマックスを
この「Baby,I want you.」は見せてくれる。
ヤガミトールを後方に残し、
今井寿、櫻井敦司、樋口“U-TA”豊、星野英彦がステージさ前面で観衆を煽る姿と、
バンドのここまでの軌跡がまるで“輪廻”のように渾然一体となる。
完璧なるロック・ショーだ。
この時、BUCK-TICKは、今後21世紀の活動に於ける
“最強の武器”を手にしたと言えるだろう。
この一曲だけで、この後10年は、ロックが滅びることはないと確信出来る。
Baby, I want you.
(作詞:櫻井敦司/作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
トロピカル SEXY天国 飛び散るステーキソース
美味いぜ 血も滴る様なBABY
ざわめく獣の瞳を かすめるピンヒール
逃がした 魚デカイゼBABY
タフに生くのさ デラシネのBoys&Girls. 愛の夜に
