「数え切れないクリスタル飲み込んで 」
ヤガミ“アニイ”トールの正確な乾いたカウントから、
星野英彦のイントロへ。
シルエットから姿を現した櫻井敦司のオールバックの髪型からその表情は非常に穏やかな印象。
手を挙げて、今宵20世紀のファイナルを祝う観衆に向かって挨拶する。
この年の最後を飾る【TOUR ONE LIFE,ONE DEATH】。
主要3大都市を巡るこのライヴツアーでは、やはりこの一曲がセットリストのトップに選曲された。
「GLAMOROUS」。
この一曲から一連の活動のすべてが動き出したのだ。
ヤガミトールは一連のツアーで使用した青のスーツ上下。アンコールで御馴染の赤スーツに着替える。
樋口“U-TA”豊は、黒のウエスタン調のシャツが銀色に輝いている。
この二人の、正確な、そしてうねるようなドライヴが外へ向かっての強いエネルギーに変換される。
アニイのダイナミックのフィルとU-TAのダウン・ピッキングが驚く程クリアに会場を揺るがす。
星野英彦は、このツアーで御馴染となった黒のロングコート。
ハイネックにボトムは、こちらもトレードマークとなった赤の蛇柄の皮パンでそのモデルのような長身が映える。
彼の滑らかなコードストロークに揺さぶられながら日本武道館も光のシャワーを浴びているよう。
今井寿は、大阪/名古屋と続き、この東京・日本武道館ファイナルに少しスタイルを変えていた。
大阪・名古屋ではダークなスーツに伸びた金髪を後ろに束ねたヘアーを
パンキッシュにカットし、ジャパン・グラム・ロックの大御所・忌野清志郎のようだ。
そう、彼のヒーローはRCサクセションに、YMO、そしてアナーキー。
赤いジャケットに、黒の襟付きブラウス、ボトムは、菱形模様。
まさにグラマラス・ロックを体現するようなイデタチで全方向から観衆を刺激し始める。
「GLAMOROUS」では、ややフリーキーな今井寿は、お得意のポーズを決めまくりオーディエンスにアピール。
そう、この日の日本武道館は、
ステージ裏側のバックスタンドも観客に開放されていてまさに全方向からフラッシュが飛ぶ。
バックスタンドからは、全面アリーナとスタンドが眺望出来、バンド視線でこの一大パーティーを楽しめる。
早くも今井寿は、その2階席付近の設置されたお立ち台に向かい挑発するピックを投げ込む。
彼のスタビライザーがグラマラスに嘶く。
櫻井敦司は、黒のロングコート、黒の革パン、黒のグローブ、黒尽くめで、
まるでヴァンパイアのようだ。
ステージ全面から背面、サイドと全方向に向かい手を上げ今宵の宴のスタートを扇動する。
久々のオールバックは、彼の麗しいフェイスを惜しげもなく披露している。
クールに、感情的にしっかりと「GLAMOROUS」を唄いあげる。
その櫻井敦司に、指差され、投げKISSの樋口“U-TA”豊は、天を見上げ、そのピッキングが存在感を増す。
ヤガミ“アニイ”トールの正確な、そして激しいドラミングが、初っ端からBUCK-TICK SLAVEを
興奮の渦へと巻き込んでいく。
フロント3人が最後に交差するシルエットが美しい。
今宵、12月29日!日本武道館!!
さぁ、宴の始まりだ。
GLAMOROUS -FLUXUS-
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
血を流す事もなく涙も無い 深い海の闇になる 抱き合って
君は微笑み浮かべて何かを探し続けて やがては疲れ果て眠れる
