「赤い海の底で溺れる夢を見る」
新作『ONE LIFE,ONE DEATH』のメインディッシュ「GLAMOROUS」が料理されたあとは、
これまたアルバムから、星野英彦作の「Death wish」。
「Kiss Me...」とセクシーに桜井敦司がフィニッシュを決めると、
「VICTIMS OF LOVE」から受け継がれた御馴染“さくらさくら”フレーズが奏でられ、
今井寿が、ダークワールドに観衆を誘い込む。
櫻井敦司が、
「感謝したい、あなたに…、感謝したい…太陽と…水と…空気と…あなたに…」
と「Loop」からの一節を口ずさみ「キラメキの中へ...」。
煌めきとエロス、そして陶酔のすべてが注ぎ込めれるパーフェクトな流れの中、
このライヴツアーの見所の一つクラッシックBTソング。
この【OTHER PHANTOM TOUR】では、ここに「M・A・D」がパフォーマンスされる。
(ちなみに前ツアーの【PHANTOM TOUR】では、「ANGELIC CONVERSATION」がプレイされている)
映像では、ほぼ微動だにせずギターリフレインを奏でる今井寿が印象的だ。
狂気に、血を染めて覚醒したアルバム『狂った太陽』からのナンバーで、
彼等の代表曲「スピード」とは双生児の関係を持つ、ハード&テクノなロックチューン。
前ツアーのセットリストに採用された感動的な「ANGELIC CONVERSATION」は、
シングルカットされたこの「M・A・D」のカップリング楽曲でもある。
「狂っちまえよ!」
とばかりに桜井敦司は、直立する今井寿の後ろにまわり、
彼の首周りに手をまわして唄う。
かつての「Climax Togeher」時のような外へ向かうエネルギーを漲らせて、
樋口“U-TA”豊とヤガミ“アニイ”トールが激しくグルーヴする。
櫻井敦司のヴォーカルはデェレイ処理され、コダマのようにライヴハウスに響いていた。
今宵スウィンギング東京。
赤坂BLITZが、「M・A・D」の毒気に支配される。
そう、はじめっから…
僕達は狂っていた。
ひざをかかえながら…。
MAD
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
