【赤坂BLITZ】が、熱狂に包まれる。
“偶像破壊”を目指した「ICONOCLASM 」で、BUCK-TICKは自らの破壊をも実行に移した。
勝負はこの楽曲で、決まった。
この楽曲から始まる『TABOO』では、対照的にメジャー・ブレイクという意味で
エポックメイキングな作品「JUST ONE MORE KISS」で終焉を迎えるが、
この音楽的万能性を持って日本のロックシーンに新たな風が吹いた。
それまでのバンド・イメージは、ド派手なルックスにキャッチーなビートポップ。
かき鳴らされるギターカッティングも心地良く、
リスナーに“不安”という感情を与えることは皆無であった。
アルバム『TABOO』では、黒に統一されたゴシック・ロックを標榜し
欲望の都市「TOKYO」に展開するあらゆる人間の感情を深く掘り下げた。
だが、注意しなくてはいけない
闇を覗き込むと、闇もまた、こちら側を覗きこんでいるのだ。
彼等が破壊したものは、一体なんだったのか?
その直後、バンドは結成以来初めての解散の危機に直面することになる。
今井寿のLSD事件である。
しかし、これを契機に彼等は一度目の【RE:BORN】変身を試みる。
野次馬的な取巻きは、彼等の周りから消え失せ、
本当に、大切なものだけが残った。
バンドと音楽。
だだ、それだけだ。
しかし、それ以上、何が必要というのだろうか?
ここがある意味において、このバンドの原点。
逆境こそが、自ら成長させるエネルギーとなる。
“負”のパワーを“正”へ転換させる人間の本当に強さ実証した原点。
そんな、遥か昔の出来事に思いを馳せながら
“ONE LIFE,ONE DEATH”一度っきりの人生を謳歌するかのように叫ぶ!
「Hurry up iconic !」
最高にアヴァンギャルドな夜がまた来る。
今宵、赤坂BLITZは【OTHER PHANTOM TOUR】のフィナーレ。
強烈なライトが観衆を煽る。
オーディエンスは、すでに半狂乱で腕を突き上げる。
すでに酸欠状態は間違い無い。
美しい。
まさしく「Phantom」である。
※映像では、はじめ今井寿と星野英彦の立ち位置が逆になっている。
2000年12月16日BS-i放映のTV番組『BLITZDAMACY』では、
放映時のリクエストで「一番好きな曲は?」を募った。
発表された順位は、
1位「UNDER THE MOON LIGHT」
2位「ミウ」
3位「die」
4位「JUST ONE MORE KISS」
5位「FLAME」
1位は、LSD事件後、復活のナンバー・ワン・シングルとなった「惡の華」のカップリングの楽曲。
意外であるが、恐らくは組織的な票が集中したものとされる。樋口“U-TA”豊が作曲を担当。
2位は、マーキュリー最後の作品となった星野英彦のアコースティック・ナンバー。
展開はまさにドラマティックな一曲である。
3位は、当時ライヴでもクライマックスでよくプレイされ、BTのコンセプト“死生観”を最もよく表した名作。
4位は、BTをメディアに知らしめたブレイク・ポイントとも言える楽曲で「ICONOCLASM」とは表裏一体を為す。
5位は、当時リリースしたばかりのアルバム『ONE LIFE,ONE DEATH』のラストを飾る今井=櫻井渾身のラヴ・バラッド。
今回の一連のライヴツアー、最高の見所と言える一曲である。
ICONOCLASM
(作詞・作曲:HISASHI / 編曲:BUCK-TICK)
