「君は微笑み浮かべて何かを探し続けて やがては疲れ果て眠れる」
テレビ朝日系『ミナミ極楽堂』での「GLAMOROUS」のパフォーマンス。
スタジオの観客を入れて行われた。
観衆に向かって横文字のMCを入れる櫻井敦司。
しかし、盛り上がりとともに
「…日本人だよ」
と冷や水をぶっかける。
BUCK-TICKは、日本のロックバンドである。
顕著なのは、櫻井敦司の詩作には、ほとんど横文字が登場しないし、
ロック的な、英語調の崩した日本語で唄うことも稀である。
彼等は、恐らくこの“日本のロックバンド”というアイデンティティを強く心に刻み、
活動を続けているのだと思う。
その洋楽に迎合しない姿勢は、反対にエキゾチックとばかりに、
海外でも歓迎されているし、欧米、アジアにも熱心なBUCK-TICKフリークがいると訊く。
そんな日本特有のメロディアスなフレーズを、
この「GLAMOROUS」も持っている。
歌謡曲的なキャッチーさが、ひょっとすると今井寿の隠しブレンドで、
櫻井敦司の聞き取り易いヴォーカルとマッチする。
そして、その分、歌詞内容は、リスナーの想像が広がるように抽象的なイメージに満ちている。
かつて、彼等のセルフポートレイトと言われた代表楽曲「スピード」は、
単にドラッグを示すという直接的な解釈と、
自殺のシーンを描写したものだという暗示的解釈がなされたが、
「ヒロイン」につづき、フラッシーな輝きを放つ、この「GLAMOROUS」にも、
ドラッグを思わせるリスキーなイメージとともに、
読み込むと、これはもしかして、“心中”かと思わせる節がある。
そこには、めくるめく光の中の“死”だ。
だとしら、こんな、ファンタジーな心中もあったものかと感じさせるが、
こうした渾然一体としたイメージの光の塊の中で、
“輪廻”を標榜するBUCK-TICKだからこそできる“闇”を“光”に還元しるパワーが、
“グラマラス(魅力的)”にキラメイている。
GLAMOROUS
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
