映像はフジテレビ系音楽トーク番組『ロケットパンチ!』にBUCK-TICKが出演したもの。
前々回の続きとなるが、中原理恵、恵俊彰 のコンビによる絶妙なトークで、
メンバーもつい笑顔が止まらない。

特に、今回も今井寿は、格好のターゲットとされるが、
なぜか、嫌味な感じにはならないのが、この司会者の腕と言えるかもしれない。

今年、めでたく結婚した今井寿であるが、
この番組放映時には、「このまましないかも……」
と発言していて印象的である。

彼の“ロックな人生にブースターが付いてしまう”と、
どうなってしまうのか?興味は尽きないが、
この当時の今井寿の、正直な気持ちであったのだろう。

天然の話術を披露する櫻井敦司はさすがで、
理想の女性象を、
「女で、人間…」と言っているのも面白いし、
(恐らく彼はどんな女性と特定するだけで、ファンの女性はそういう姿を追い求めてしまうだろう)

星野英彦の「こんな感じ(中原理恵を指して)」という気の遣い方もよく性格が出ているなと思う。

「年上で優しい人」という樋口“U-TA”豊のキュートなイメージと、
中原理恵に「よかったら。紹介しますよ」と言われておどけるヤガミトールも
らしいなと思わせる映像である。

しかし、考えてみるとメンバー全員が30代に入っているこの時期も、
メジャー・デビューやその以前からのメンバーのキャラクターにほぼ変化がないと気が付く。

音楽的には、常にリスナーを驚かす実験的なクリエーター集団であるからこそ、
“変わらない”ものを内に秘めているという事かも知れない。

何か音楽創作活動とプライベートのメビウスリングをループしているような
そんな感覚になるような『ロケットパンチ!』であった。

この番組のテロップでも流れていたが、
この後、BUCK-TICKは、1999年のほぼ唯一のライヴツアーとして【Energy Void TOUR】
その前哨戦的な【ノータイトル】と名付けられた赤坂赤坂BLITZのパフォーマンスの前に、
夏のライヴイベント【BEAUTIFUL MONSTERS TOUR】にマリリン・マンソン等と参加していた。
洋楽のライヴイベントに参加するのは初めての体験となったし、
野外でのライヴもこの5年前に同じ富士コニファーフォレストで演った【LSB】以来であったが、
それについて、今井寿はこう語る。



今井寿
「そうですね。
あんな明るい所でやったのは初めてかな?とにかく暑かったですね(笑)。
でも単純に自分達のファン以外にも聴かせたいというか、
まだ誤解している人達もいっぱいいるだろうから、そういう気持ちは強かったですね。
だから反応も良くて盛り上がったから、やって良かったかと」

―――その誤解している人達ってのは?

「分るじゃないですか。
まだ俺らのことをチャラチャラしたバンドだと思っているような…。
それには音を聴かせるしかないと」

―――ただこういうと嫌かもしれないけど、
BUCK-TICKがいたから今の日本のヴィジュアル系のバンド・シーンがあるという側面もあるわけですよね。
音楽的な影響は別にして。

「ただ元祖ヴィジュアル系みたいに言われるは、もういい加減いいだろうというか、
まだ、そんなこと言われなきゃならないのかなっていうのはありますけど」

―――ただその辺りの若手のバンドが、BUCK-TICKからの影響を口にしたり、
リスペクトしているわけですよね?

「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、それと音楽は別ということですよね」



以上『FOOL'S MATE』誌より、引用抜粋。



そう、更にいうと“変わらない”ものもあるが、
確実に“変わっていく”ものもあるということである。