「舞台裏を覗けば夢は終わりさ
時を止めてみたい思ったことが?」
ライヴ・ハウスZepp OSAKAが、BUCK-TICKのブレイク・ビーツに揺れる。
小さな箱での大音量はPIGの影響を受けていないというと嘘になる。
「タナトス」の機械的A-DATと人間の繰り出す魂のグルーヴが渾然一体となって、
Zeppを埋め尽くす時、櫻井敦司は“死神”の化身となる。
「自由ニオ空デ遊ビマショウ...」
この夏のPIGとの経験と大音量のグルーヴについて、
樋口“U-TA”豊とヤガミ“アニイ”トールが語る。
―――アルバム・リリースのタイミングじゃない、単独ライヴツアーって久々ですね。
樋口
「新譜を出して、ライヴやらないってことになると、ほんとに何もやらないってことになっちゃうから。
ちょうどPIGからのオファーもあって、観ているお客さんも新しい感じっていうか、
また違った意味で捉えてくれると思うですよね。
うちらのライヴだけじゃなくて、イベントとしての面白さも見せたいなというのがあって」
―――PIGが出音大きかったですね。
ヤガミ「リハ聴いて驚きましたよ。(音圧による)風が来るんで(笑)」
―――ずっと一緒にツアーを回って、楽屋とかでも話す機会があるわけですよね。
PIGのメンバーってどんな人達でした?
樋口「曲はあんな感じだけど、気持ち的には凄く前向きな人達だなって思いなしたね」
ヤガミ「やっぱりイギリス人だなって感じですよね。けっこうミーティングとかしてましたよ」
―――BUCK-TICKは彼等から見るとどういう風に映ったんでしょうね?
樋口「レイモンドは別として、初めてうちらの音を聴いたメンバーは「凄くメロディアスなバンドだね」って言ってました。
確かにそうだなって思う部分あったし、選曲の仕方もそういう感じだったから」
ヤガミ「やっぱりドラムだから、ドラマーと一番よくコミュニケーションをとるじゃないですか。
一番スゲェなと思ったのが、打ち上げで飲んでてテーブルとか叩くんですよ。
移動中でも足踏み鳴らしたりとか。その音自体がデカイんですよ(笑)。
彼はけっこう今いろんなところで売れっ子みたいですね」
樋口「彼等が目の前でやってるのを見て、
アニイ(ヤガミ)も今井くんもいい感じで刺激になったんじゃないですかね。
PIGはベースがいないんで、俺だけそういうのはないんですよね(笑)。
でも曲とか、ああいうシーケンス使ってやる感じっていうのは、うちらと凄くテーマが似てるんで、
音の使い方ひとつにしても勉強になったというか」
―――BUCK-TICKのライヴを観てて、リズム隊が凄くグルーヴィーになったと思ったんですけど。
特に「キラメキの中で…」とか
ヤガミ「それはユータくん(樋口)がうまくなってるからでしょう(笑)。
でも実際のところそんなに意識していない」
樋口「「キラメキ」とかあんまり決め事しないでやってるんです」
ヤガミ「あの曲に関してはドンカマ使ってないんです。だからフリーな感じになってるっていうか」
―――BUCK-TICKの場合、実際は同期モノ(打ち込み音源使用)が多いじゃないですか。
でもその辺で逆にグルーヴが出てきてるのはさすがだなと。
人間っぽい部分と機械的な部分の調和って、ここ何年かのテーマだったわけですけど、
その部分がうまく出来てる感じがしましたね。
樋口「人間っぽい部分は大事ですね。今回みたいなメニューだと、それがよく分るっていうか」
(『FOOL'S MATE』誌より)
英インダストリアルのカリスマと一緒に回った【Energy Void TOUR】の功績は、
バンドのサウンド全体に大きな影響を及ぼした。
機械音楽の導入ではなく、それを人間の力で融合し、増幅したサウンドで出力するのだ。
PIGは間違い無く、そのお手本となった...。
「陽炎に燃え 清らかな空 光の中へ 光の中へ...」
タナトス
(作詞:櫻井敦司/作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
舌の先全てをあなたにあげる
抱いておくれとろけた唇吸って
腐りかけたワタシを綺麗と言った
お前の顔美しい官能的だ
(自由ニオ庭デ遊ビマショウ...)
(太陽ガ沈ムソノ日マデ...)
何処迄も飛ぶ何処へでも行くわたしの胸にタナトスの花
舞台裏を覗けば夢は終わりさ
時を止めてみたい思ったことが?
むせる様な匂いを残していった
父よ母よあなたに感謝している
(真夜中ハ一人震エマショウ...)
(明日ノ朝ニオ会アイシマショウ...)
何処迄も飛ぶ何処へでも行くあなたの胸にタナトスの花
(自由ニオ空デ遊ビマショウ...)
(太陽ガ羽根ヲ溶カシテモ...)
何処迄も飛ぶ何処へでも行くわたしの胸にタナトスの花
陽炎に燃え清らかな空光の中へ光の中へ...
