1999年7月14日にリリースされたMAXIシングル『BRAN-NEW LOVER』収録の
「ASYLUM GARDEN」も【Energy Void TUOR】では見事に披露されている。
恐らくはこのツアーも含めたBUCK-TICKのこの夏の活動は、
「DOWN」とこの「ASYLUM GARDEN」でピーク達するように構成されていて、
「BRAN-NEW LOVER」でクライマックスを迎えるのだ。
MAXIのタイトル・ソング「BRAN-NEW LOVER」のヴィデオクリップで、
櫻井敦司は拘束衣を着させられて、手の自由が奪われもがいている姿が印象的であるが、
この「ASYLUM GARDEN」にもそういった歌詞が登場する。
「やり続けろ いつまでももがきながら
振り返るな 意味などに囚われるな 」
というタームであるが、これはまさに生きていくこともがき続ける櫻井敦司の哲学とも言える。
自分と周りの環境、そして自分本意とは別に傷付く人たち・・・。
その意味に櫻井敦司自身が囚われすぎていると感じていたから、
これは、きっと自分への暗示を込めてのメッセージではないか?
と考えられる。
それまでアーティスト特有の苦悩に身を晒し続けていた櫻井敦司も、
新世紀の到来と時代の誕生の息吹を感じ、
己を客観化して詞作が行われるようになったのであろう。
そして、それまでの自分をまるで俯瞰して見ているような印象さえ受ける歌詞だ。
その俯瞰した風景の中に、
「太陽に背を向け asylum garden 歩いた
時は止まり 黒い影がそこにある 」
自分を発見したのであろう。
そして、それは「ガランドウの 心」であった。
“asylum garden”という場所は、どこにあるのだろうか?
そんなに遠い場所ではなく、しかし、容易に近づける場所でもない。
己の心の中にある場所で、自己客観視が出来る“asylum garden”は、
櫻井敦司のある種のターニング・ポイントと言ってもいいかも知れない。
作曲は、櫻井敦司のメッセージを載せると、どこまでも幻想的な楽曲に変身する
コンポーザー星野英彦であるが、彼が紡ぎだすメロディはきっと、
櫻井敦司に、自身の心の奥底にある“何か”を吐露させる効能があるのだろう。
「JUPITER」然り、「ドレス」然りである。
そして、次に星野は、櫻井を「asylum garden」まで誘う出すことに成功した。
その“asylum garden”で描いた「キャンバスの自画像」
それは、どんな表情であったか?
※また、この楽曲の最後のフレーズが、
画家のVincent van Gogh を指すという説もある。
ASYLUM GARDEN
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)
悪魔になれ 子羊を酔わせるのさ
羽を翳し 暗闇を繰り広げろ
Trans さらけ出せ 欲望を吸い上げてやる
ガランドウの 心は 張り裂けそう
太陽に背を向け asylum garden 歩いた
時は止まり 黒い影がそこにある
やり続けろ いつまでももがきながら
振り返るな 意味などに囚われるな
Trash 気味悪い 記憶の 糸を手繰れば
虫の様に 這い出す この身体
太陽に背を向け asylum garden 歩いた
時は止まり 黒い影がそこにある
太陽に背を向け asylum garden 歩いた
時は止まり 黒い影がそこにある
黒色い光と キャンバスの向日葵
黒色い光と キャンバスの糸杉
黒色い光と キャンバスの自画像
キャンバスの自画像
