フジテレビ系音楽トーク番組『ロケットパンチ!』での映像。
極上最新型アルバム『SEXY STREAM LINER』の“ハード・テクノ”路線とは
また別の魅力を振りまいた新曲シングル「月世界」をパフォーマンスした。
違う放映日には前々シングル「ヒロイン」と前シングル「囁き」も披露している。
司会者の二人に引っ張られて、プライヴェートな一面を覗かせたBUCK-TICKメンバーであったが、
この「月世界」をTV披露するのは、また乗りのイイ、キャッチーな「ヒロイン」とは違い、
雰囲気にも気を付けたことであろう。
アンヴィエントな空気感とどこか懐かしい浮遊感をライヴ演奏同様、
ほぼパーフェクトに再現している。
この「月世界」は、それまでのBT流ダーク・ロックとは違い、
櫻井敦司の“自己破壊的な闇のパワー”や今井寿の“キャッチーなポップ感覚”とは異質で、
この楽曲だけが、唯一無二に浮き上がっているような感覚だ。
かといって、全くBUCK-TICK色が無いかというとそういうわけではなく、
むしろ、櫻井敦司がアルバム『SEXY STREAM LINER』で磨き上げた
日本文学をリスペクトした内容であったし、
沈むような浮かぶようなメロディは、間違い無く一度聴くと忘れられない
今井寿の旋律に違いないのだ。
一体何が、この「月世界」を異質にしたのか。
それは、この当時放ち出した彼らの“スケール感”に依るところが大きいと感じる。
トークでも記したが、30歳代に入ったメンバーは、マーキュリー時代に入り
その長年のキャリアの中で、独特の“オーラ”を纏いだしたのだ。
それが、“貫禄”と呼ぶものなのか?はたまた“余裕”と呼ぶべきかはわからない。
もともと今井寿主導のBTロックには、ジャンルなど意識しない“何でもアリの精神”が宿い、
実験的なサウンドや、それまでのロックには有り得ないコード進行等、
“全方向性”とも言える音楽の可能性を追求する志向があったが、
この時期に入り、それがブレることのない自信と、
自分達がやっている音楽に対する“迷いのない振り切れ方”がそれを示唆し始める。
よって、BUCK-TICKは、どんな方向性に向かおうが、
それがBUCK-TICKサウンドになってしまう“スケール感”を手に入れたと言っても過言ではない。
その自信が“大人”の存在感的なものを醸し出していた。
「月世界」には、それが顕著だ。
月世界
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
赤黄色向日葵 橙群青紫陽花
赤黄色向日葵 橙群青紫陽花
波に漂う 月の光
昏睡の中 月の光
泳ぐ独り 暗い海を
波に漂う 月の光
昏睡の中 月の光
走る独り 暗い空を
あなたに逢えるなら
赤黄色向日葵 橙群青紫陽花
赤黄色向日葵 橙群青紫陽花
泳ぐ独り 深い闇を
あなたに逢えるまで
赤黄色向日葵 橙紺青紫陽花
波に漂う 赤黄色向日葵
月の光 橙群青紫陽花
昏睡の中 赤黄色向日葵
月の光 橙群青紫陽花
波に漂う 赤黄色向日葵
月の光 橙群青紫陽花
昏睡の中 赤黄色向日葵
月の光 橙群青紫陽花
波に漂う
