『ロケットパンチ!』は、1998年4月から1999年9月まで
フジテレビ系列で月曜深夜に放送されていた音楽トーク番組。
企画・制作はイザワオフィスで、正式タイトルは『ロケットパンチ! MUSIC DELIVERY』。
ゴールデン、プライム枠の音楽番組スタイルではなく、
また既存のミュージック・ヴィデオ・クリップ放映でもない独自スタイルの音楽番組で
番組オリジナルのライブ映像を随所に織り込みながら、ゲストごとにメイン企画を作成していた。
ホスト司会者は 中原理恵と恵俊彰(ホンジャマカ)2人で、
後に恵俊彰は1964年から始まったフジテレビの音楽長寿番組『MUSIC FAIR』の司会者に大抜擢される。
放送当時はヴィジュアル系ロックバンドがブームだった事もありロックバンドのゲストも多かった。

その中での、BUCK-TICKの登場となった。

映像は、1998年の8月12日にライヴツアー【SEXTREAM LINER】の最終公演
日本武道館での5月8日、5月9日分の模様を収録したライヴ・ヴィデオ『SWEET STRANGE LIVE FILM』の
発売時期と重なるが、この中原理恵と恵俊彰のキャラクターに引っ張られて、
BUCK-TICKメンバーも、普段は見せないような表情を見せている。

まず、プライヴェートな突っ込みも多く、普段は(特にTVでは)無口な星野英彦が、
笑顔で対応しているし、
これまた、口数少なく、音楽的質問以外は番組の進行を妨害するかのような今井寿が、
珍しく、プライヴェートな趣向について応対している。

つい反応してしまった“下ネタ”に、適確に突っ込みトークを広げる恵俊彰の対して、
このように対応する今井寿は、これまでになかったと言えるし、
星野英彦曰く、口数は少ないが、「ひょうきんな人」という今井寿のキャラクターが、
この後、徐々に(櫻井敦司なども加わり)突っ込まれ役に成長していく形で進むことになる。
見た目に気難しそうな印象の彼であるが、まさに司会者二人のキャラクターの強烈なペースに引っ張られ、
こういった一面を見せたのは、恵俊彰のファイン・プレーと言えるかも知れない。

音なく隣で笑っている櫻井敦司も印象的だ。

その櫻井敦司も、映像とは別の回の放映になるが、同『ロケットパンチ!』に出演時、
カラオケに行ったというエピソードから、
アニメ・ソングを歌ったという話になり、
そのアニメが「デビルマン」であったように記憶しているが、
昔読んだお気に入りの漫画に、櫻井敦司は永井豪作の「デビルマン」を挙げていて、
ラストの救いのない展開が印象的で感動したと言っていた。
思えば、インディーズ時代の映像でメンバー紹介時、自分を「デビルマン」と紹介していたし、
メジャー・セカンド・アルバム『SEVENTH HEAVEN』に収録される
「PHYSICAL NEUROSE」のヴィデオ・クリップにも「デビルマン」メーキャップで登場している。
またBTマンガ夜話では、漫画作品からBUCK-TICKを掘り下げていて面白いが、
その一節に、SOFT BALLETの遠藤遼一に自分と似たものを感じたのか?
質問をしたことがあったらしい。
以前、kyoさんと遠藤遼一さんと櫻井さんの対談で、
櫻井さんが、話の流れとは関係なく、かなり唐突に、遠藤さんに向かって
「ところで、遠藤君デビルマン好き?」と聞いていたのを思い出します。

※引用本文まま


また、好きな女性のタイプという質問でも、
樋口“U-TA”豊の末っ子的なキャラクターと、
逆に、ヤガミ“アニイ”トールの現実的な返答を見ると、
メンバーのキャラクターが立っていて面白い。

メンバーもこの当時30歳代に入り、若い頃の刺々しさは影を潜め、
大人の対応で、冗談も言えるようになったBUCK-TICKの姿と言えるだろう。