「リザードスキンの少女は
“キャンディ”と“チョコ”を喰って
明日 月の裏側で神隠しにあった 」

櫻井敦司が『FOOL'S Mate』誌で解説している。

―――今井くんの書いた「リザードスキンの少女」、
これなんかもきれいなんだけど、こわいってイメージですね。

「そうですね。
『COSMOS』で「キャンディ」というシングルがあって、
そのカップリングが「チョコレート」っていうんですけど、それをパロってるなっていうか」

―――そう、その二つの言葉がさりげなく入ってるんですよね。
過去のアルバムとつながってることをそこで意識させられる。

「うん。そうですね」


“神隠し”という童話的なモチーフが「リザードスキンの少女」には取り入れられているが、
この楽曲の歌詞は櫻井敦司ではなく、今井寿が担当している。
同じく童話をモチーフとした櫻井作「螺旋 虫」と比較と面白い。

なにせ、今井寿が書くと童話も
「everybody freedom
 everybody freedom 」

……である。

この童話的なノスタルジックな物語の中に切り抜かれた風景は、
例えば、東京“渋谷”のセンター街みたいな風景ではないか?
弱年齢層の薬物使用と家出が
この“神隠し”の正体なのではないかと感じる。

そういった現代問題をすっぱ抜く今井寿の目は鋭い。
これぞBUCK-TICK流ドラッグソングの真髄である。


『UV』誌で今井寿は語る。


―――「リザードスキンの少女」は?

今井寿
「メロディやサビは、定番的な感じだと思うんですよ。
すごく単純でいて、起承転結があり、それをドロッとした形でやりたいなと思って。
もともと成り切れていないヒップホップを作りたいと思ったんです」

―――作詞も今井さんですね。
この曲の原型段階から歌詞になるような言葉が浮かんだから書いたんですか?

「それもあるし、作っていて、これは俺が書いた方がいいんだろうなって」

―――自分で書いた方がいい、櫻井さんの方がいいという、そのラインはどこにあるんですか?

「それはわかんないですね」

―――この歌詞はどんな感じで書いていったんですか?最初に出てきた言葉は?

「う~ん……この歌詞は1番2番3番という構成がハッキリしてますよね。
頭から出てきた言葉を組み合わせていっただけなんですよ」

―――ちょっとブッ飛んだ感覚ですよね。

「アルバム全体的にそういう狂った感じにしたかったんですよ。
だから歌詞もそういうものになってますね。
ちょうど、そんなテンションだったから書けたのかなと思ってますよ」

以上、引用、抜粋。


この成り切れないヒップホップとして出来上がった「リザードスキンの少女」は、
アルバム『SEXY STREAM LINER』では「無知の涙」と同様に、
少し浮いた感覚で、これぞBUCK-TICKという歪んだギターが挿入されている。
ライヴでは、今井寿は、「ヒロイン」でセンセーショナルに登場した
スタイリッシュなフェルナンデス社製スタビライザー SLVから、
彼の代名詞となっている赤マイマイBT-120MM REDを経て
この太いギター・サウンドをフライングVに持ち変えてプレイしている。

彼にノイジーなヴィヴラートの効いたギター・プレイを演らせると、
さすがにどんなテクニシャン・ギタリストも黙ってしまうだろう。
インプロヴィゼーションのソロも最高の出来だ。

吐き捨てるように歌う鬼気迫る櫻井敦司のヴォーカルも見事に、
「記念すべき夜にしてあげる」とばかり、
日本武道館を“神隠し”した。


「少年は戻らない
 あの娘は帰らない 」


リザードスキンの少女
 (作詞・作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


鍵の壊れた少年は 退屈な週末に
パレードに紛れ込んで フリークスと消えた

地図を持たずに ただ 漂う
everybody freedom
everybody freedom
少年は戻らない
everybody freedom
everybody freedom
少年は帰らない

リザードスキンの少女は
キャンディとチョコを喰って
明日 月の裏側で神隠しにあった

記念すべき夜が始まる
everybody freedom
everybody freedom
あの娘は戻らない
everybody freedom
everybody freedom
あの娘は帰らない

資本主義の住人は
腫れ上がったボンノーさげて
首吊りの庭でそっと永久に暮らす

回転扉 抜けたら もぬけのカラ
記念すべき夜にしてあげる
everybody freedom
everybody freedom
僕たちは蚊帳の外
everybody freedom
everybody freedom
僕たちは蚊帳の外

everybody freedom
everybody freedom
少年は戻らない
everybody freedom
everybody freedom
あの娘は帰らない

リザードスキンの少女は