「俺は高く 俺は低く 生まれ変わる踊るバタフライ」
記者は質問する…
●●「蝶蝶」にもかなり狂った感じがありますけどね。
櫻井敦司「これはけっこうひどいですよ。MからSになっていくかんじですか(笑)」
(FOOLS MATE誌より)
今井寿からの『SEXY STREAM LINER』のコンセプトは“ハード、テクノ、デジタル”
などのキーワードが挙げられたらしいが、
この“怖い感じ”“狂った感じ”が表現出来ればいいという発言もしている。
制作過程で確認を取り合った訳ではないらしいが、
コンポーザーの二人は、このテーマに沿ってデモを仕上げた。
これを櫻井敦司は、怪談を初めとする童話、ロマンス、神話などのファクターを取り入れて
見事に歌詞に落とし込み、峻烈な緻密機械のサウンドに、
アブノーマル・ホラーやエロ/グロの世界観に仕立てた。
もう一人のコンポーザー星野英彦も、この路線を守り、
これまでは、ライヴでもキーボードを弾く機会が増えていた星野であったが、
今回のレコーディングではギターもシンセも弾く機会が減り、打ち込み主体のサウンドに応じて、
アレンジ面での時間をより割くようになったという。
アンビエントな「螺旋 虫」ハードコアな「蝶蝶」という両極端に個性的な楽曲を提供したのも、
このアレンジ幅の広さが原因のようだ。
以下、『UV』誌から引用、抜粋。
―――「蝶蝶」はどういうイメージだったんですか?
星野英彦
「これはずっとシンべ(シンセ・ベース)のループでできているようなイメージで、
ちょっとハードめの感じで作ったんですけど。他にもまだ何曲かあったんですけど、
(「螺旋 虫」とは)アルバムのトータル的なことを考えて、この2曲を入れたという感じですけど」
―――実際のレコーディングで、サンプリングや打ち込みが多用されていると、感じが変わったんじゃないですか?
「マニピュレータ―の横山君に毎日スタジオに来てもらって、
このループをこうしようって言って、打ち込んでもらったんですけど。
実際、そうやってアイデアを出して入れていくという作業が多かったですね」
―――できあがった時点でギターがいらないなと思ったら、入れなかったり?
「ありましたね。実際入ってないのもいっぱいありますし」
―――そういう意味ではギタリストという関わり方より、アレンジとかアイデアを出すという関わり方ですね?
「そうですね。そっちのほうが大きかったかな。
今までの中で一番ギターを弾いてないアルバムですよ(笑)。
シンセとかも今までは自分で弾いていたけど、今回は打ち込んじゃてるのがほとんどだから。
ギターの割合はかなり少ないです」
以上、引用。
この「蝶蝶」のイメージはタイトルとはかけ離れ、
エサとして一羽の“蝶蝶”を、追いかける無数の発狂した“サル”の絵が浮かぶ。
ひよっとすると僕らは、その追いかけられる“蝶蝶”かもしれないし、
一瞬で、目の色を変えて追いかける“サル”になるかも知れないのだ。
そう、人は一瞬で変身【REBORN】出来る。
映像では、櫻井敦司はその“蝶蝶”のようでもあり、
追いすがる“サル”を扇動する存在にも見える。
この近未来(いや、ひょっとして現在かも?)の悪夢は、
狂った感じ、怖い感じを全体的に表現したかったという今井寿の欲望を、
相棒の櫻井敦司と星野英彦がリアルに実現してしまったことになる。
そしてこの【SEXTREAM LINER】は、それまでのロック・ライヴではなく、
まるで前衛芝居舞台のコンセプト・ショウのようだ。
蝶蝶
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)
俺はブ タになり 何でも喰いあさる
流し込むエサは 踊る蝶蝶
虚飾は最上級 ロールプレイ真っ最中
悩ましいモザイク 真っ赤な嘘
サル達が走る 目の色変えて 追いすがる
綺麗な蝶蝶を追いかけている
あの子を見ていると悲しくなる
俺は高く 俺は低く 生まれ変わる踊るバタフライ
Too much Monkey business. お前はプロパガンダ
アッパーな腰で 踊る蝶蝶
サル達が叫ぶ 目の色変えて シャブリツク
素敵な蝶蝶を追いかけている
あの子を見ているとおかしくなる
俺は高く 俺は低く 生まれ変わる踊るバタフライ
俺は高く 俺は低く 蜘蛛の巣で踊るバタフライ

