『SWEET STRANGE LIVE FILM』に収録された
1998年5月8日9日の【SEXTEARM LINER】公演は、
『Climax Together』に続く、
ヴィデオ・シューティングのスペシャル・ライヴとなった。

この日の櫻井敦司の衣裳は、
スリットの入った巻スカートのようなロングスカートで、
腕には梵字のようなものが書いてある。

今井寿は、オレンジのオールバックで黒のタンクトップのボンテージ風衣装で、
オープニングにはカラス・マスクが装着されていて、
同じくパンキッシュな逆立った髪にパンク少年といった風貌の星野英彦と供に、
尖ったセットの角や鋭角的なアブノーマルな雰囲気が充満している。

打ち込みループの流れに加えて、
大胆にレベル(音量)アップしたギター・パートが導入されたこのライヴ・ヴァージョンは、
この峻烈なオープニングの「ヒロイン」だけに非ず、
『SEXY STREAM LINER』からの楽曲すべてに施され、
更に大胆に各楽曲の存在感を増して登場している。
勿論、プログラミングされたループのシーケンスに沿ってライヴは進行するが、
BUCK-TICKサウンドの中核を成すリズム隊=ヤガミ&U-TAのグルーヴも、
ライヴならでは躍動感とタイトなリズム・キープの間でせめぎ合い、
非常にスリリングなショーになっている。

また、この日の公演は、ヴィデオ・シューティングということもあって、
動き安いようにワイアレス・マイクでパフォーマンスされていた。

実はマイクのコードというのは、櫻井敦司の大切な小道具の1つで、
まるでSMショーのように、マイク・コードを鞭のようにさばいたり、
縄のように縛ったりと、これまたアブノーマルな世界が繰り広げられていたが、
その点において、この日のBUCK-TICKのステージは他所向きであったとも言える。

また、ステージの最前面に取り付けられた、スピードスケート等の撮影用の
スライドするカメラが、猛スピードで左右し、
メンバーを煽り立てる。

櫻井敦司は独り豪雨に打たれたかのように、
ミネラル・ウォーターを頭から被り、
「ヒロイン」の迫真のパフォーマンスを繰り広げた。





また、このライヴには、伝説が多く、
この公演の直前に、死亡した元X(エックス)のhideが舞い降りたとも言われる。
(前日、1998年5月7日メンバーはhideの告別式に参列した)
この日の「ヒロイン」は彼だったのかもしれない……。



……天国を探そう 天使達の星を




ヒロイン-angel dust mix-
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)



天国を探そう 天使達の星を
純白のヒロイン 限りない旅に出よう

おまえとひとつだ
何処までも飛べる 白い影を引いて
純白のヒロイン 終わらない旅に出よう

目を閉じて・・・・・

あなたの瞼に光る銀のしぶき
サソリと十字を抱いて夜の果てへ

蓮華の花びら 君が咲いた彼岸
サヨウナラ夢よ ふたりなら飛べるはずさ

目を閉じて・・・・・

カルマの雲裂き走る銀のしぶき
流れるアクエリアス抱いて夜の果てへ

目を閉じて・・・・・

あなたの瞼に光る銀のしぶき
サソリと十字を抱いて夜の果てへ

カルマの雲裂き走る銀のしぶき
流れるアクエリアス抱いて夜の果てへ