『市川哲史の酒飲み日記 on TV』は昨日の続き。
普段着のBUCK-TICKが見られる珍しい映像でもある。
以外と天才今井寿の普段着はシンプルでカジュアルなのだなと思ってしまう。
また、星野英彦は、当時“MAX狩り”などの流行を作ったNIKE社製の「air MAX」を履いていたりする。

髪を立てていないヤガミ樋口兄弟と
またもや髪の毛をばっさりとカットした櫻井敦司が登場している。

アルバム『COSMOS』リリース時は、以前よりは短いが、
少し昔のイメージに戻った感のあった櫻井のルックスであったが、
またもや短髪にしてライヴツアー【CHAOS】に挑んだ。
今井寿も「キャンディ」のクリップで話題となったドレッドをカットしている。
雑誌『音楽と人』でインタヴューと写真をとった市川哲史は、
「雑誌撮影後すぐに髪型変えてて、ムカつくですけど(笑)」と言っている。

それでは、その『音楽と人』の記事から、本日は櫻井敦司のコメントを
抜粋要約する。

以下、抜粋要約。


●●昨日今井に話を訊いたんだけども――。

櫻井「どうでした、奴は」

●●いやー異常によく喋るから驚いたよ。

「でしょう?。最近よく喋るんです、意志を明確に。自分で全部見えてんでしょうね」

●●その貴重な今井発言でも最も興味深ったのは、――近年のBT作品群が「難解でアカデミックな事を演ってる」的ないい子ちゃんに捉えられてるのが嫌で、今回は若々しさや弾けた感じを出したくて、あえて笑われそうな「恥ずかしくて出来んな」というような事を演った、と。そうして彼の方法論を、櫻井はどう見る?

「結果論かもしれませんけど……何かそうなるべくしてなったって気はします。『Six/Nine』である種の方向性を突き詰めた感じはあるから、方向転換というか今井には具体的に見えていたと思います。俺は何となく感じていただけだけど、いざ音が出てきてみたら何か全然無理していない、自然の成り行きだなと思いました。今回」

●●「BTはよくわかんないけど世界観があって凝った事も変な事も沢山演ってるから、とりあえず褒めとかなきゃ」的な世間の見方、カルト・バンド的な捉えられ方に対する反発が今回の作品に出てると思うけどね、俺は。

「それだけじゃないけど、それもありますね。今までのBTの音楽的アプローチだと、どうしてもカルトに行ってしまいますよね(笑)。日本でそういう位置のバンドってのも面白いかなと思ったけど、でもそこだけ突き詰めても……カルトだけでは満足出来ないですしね」

●●やはりそうじゃない評価も欲しい、と。

「バンドに対する言われ方とか見られ方って、実はうわのそらですけどね。自分達でも自覚はあるから言われて当然だし、悪い気はしないですけど、でもそれだけで行こうとはならなかったわけで。今回結果的にそうならなかったし」

●●俺もかなりデフォルメして櫻井の「自爆願望」キャラクターやBTの「巨大な逃避実験音楽空間」体質を延々書いてきたけれどま、従来の日本の音楽シーンを席巻した「ロックスターでござい!」「わかり易いっしょ!」的連中と異質な存在が面白かったのね。しかもその「異質」が売れちゃったわけだから、痛快ですらあった。

「(笑)確かに世間にばーっと出てる人の見られ方とは、違ってましたからね。特別視というか……腫れ物に触る、みたな」

●●それは、それで気持ち良かったろ、自分でも。

「良かったです」

●●それが最近、逆に居心地の悪さに繋がってきたのかしら。

「いや……あれはあれで全然居心地良いなと。ただ、そういうキャラクターを表舞台に引っ張り出されると恥ずかしいものがあるから……王道じゃないものが王道に思われているようで、『あっ、ちょっと違うなあ』というのはありますけど」

●●そうした心境の変化が偶然なのか意図的なのか、音全体にも表れてて今回はそれが面白い。

「今井も具体的に描けていたんじゃないかなと思う。もしかしたら『Six/Nine』作ってる時から『今回はこれでよしとしても、次はもう』と思ってたんじゃないかと(笑)。実際、躊躇してたらどっちつかずでヤバい事になってたと思いますけど踏切がよかったから――――」

●●見事に跳び箱20段飛べたと。

「ええ(笑)」

●●ヴォーカリストとしてはどうだった?久し振りじゃん、わかり易い構成と唄が前に出たアレンジと明確なメロディってのは。

「全然違和感ないんですよね、自分で」

●●作詞担当としてはどうでしたか。

「言葉を選ぶ作業はいつもの事ですからそれなりに悩む事もあったけども……自分にとって重たくならないように、その事だけを気を付けて書きました」

●●今から思うと、『Six/Nine』の時は使用ボキャブラリーを出来るだけ平易な、普通の言葉にしようとの方法論だったよね――内容的には、十八番の自己破壊物だったけど。

「うん、うん」

●●しかし今回は、言葉自体は相変わらずの暗黒ターム満載なんだけども、良い意味で中身が実はない(笑)。実は全然悩んでなかったり、単なるラヴソングだったりで、重くないのね。

「もうおっしゃる通りですね。中身持たせるのも嫌だったし、――――たった一個の確信とそれを取り巻く言葉達、というのも『今回はヤメましょう櫻井さん』と言いつつ。自分に(笑)」

●●わははは。

「中身を煙に巻きたいというか」

●●その「中身を煙に巻きたい」と思った理由って、さっきの王道じゃないものが王道として一人歩きしてしまっている事に対する反発かしら。

「うーん、そういう自分のキャラクターVS世間様、バンドVS世間様みたいな事を、自分なりにおぼろげに考えた部分もあると思うんです。だから……一点に集中した『俺達はこれなんだ!』的なものは今回避けようかと」

●●自分らが蓄積してきた事をまず捨ててみる、的な事が今回一番重要だったような。

「うーん、そうですね。そういう意味では言葉の使い方とか上手い具合に行ったなあと。キネヅカってやつですかね(笑)。ただ、その単語単語に対して力を込めるではなく、自分のキャラクターを遊ぼうという」

●●そう。だから雰囲気はまんまなんだけども、実は全然中身が軽くて可笑しい(笑)。

「ええ。その辺いやらしい事を考えたかなとも思うんですけど(笑)。でもやっぱ自然だったから無理なかったし」


以上、抜粋要約。


映像では、櫻井敦司が愛車のポルシェ911カレラで爆走する点や、
ドラマーとしての櫻井の評価をヤガミトールがしていて面白い。
星野英彦の“無”という状態や今井寿の“地蔵化”話題にあがる。
その表情はまさにプライベートの呑み会のようである。