貴重なインタービュー映像である。
1993年の12月31日、TVK【LIVE:GAGA 93Special】として生中継された
BUCK-TICKとSOFT BALLETのメンバーが一同の介しての映像である。
競演に3年の月日を経たといわれる両バンドは、
お互いに、この時までに、リスペクトを示しており、
競演を望んでいたが、この1993年の大晦日にやっと実現したようだ。
双方とも、サウンド自体に、他のバンドを寄せ付けない独自の“世界観”を持っていて、
バンドブームの最中には、“カルト”的な存在であり、
妖気とも言える毒気を放出していたバンドであったから、
他のアーティストとの融合は、正直、中々難しかったであろう。
しかし、この【LIVE:GAGA】の後、
年を明けて1994年には、【SHAPELESS】、【LSB】そして、
今井寿と藤井麻輝のユニットSCAHFTへと帰結していくことになる。
SOFT BALLETは、1986年結成。
BUCK-TICKと同様にインディーズレーベル太陽レコードより
シングル「BODY TO BODY」をリリース後、
1989年にアルファレコードよりメジャー・デビュー。
サウンドはフューチャー・ポップ、
インダストリアル・ロック、ハードハウス、アシッド・ハウス、と様々なもの融合であり、
デビュー時のコピーによれば
「エレクトロ・ボディ・ビート(エレクトロニック・ボディ・ミュージックと同義である)」
とされている。
ヴィジュアル・ロックがX JAPAN、LUNA SEAのエクスタシー系ハードロックが主流だとすれば、
このSOFT BALLETとBUCK-TICKは、ヴィジュアル・ニュー・ウェイヴと言えるだろうか。
藤井/森岡の二名の作曲者の個性によって多彩なのが売りで、
同じバンドでありながら藤井麻輝と森岡賢の作る楽曲は全くの正反対の趣向があり、
藤井楽曲はMINISTRYやNine Inch Nailsを彷彿させる攻撃的で
ノイジーなインダストリアル系のものが主であるのに対し、
森岡楽曲はYMOやDepeche Mode寄りのポップなシンセサウンドを取り入れた楽曲が中心である。
そこに、これまた独特の存在感を持つフロントマン遠藤遼一が加わり、
アンビエントなニュー・ウェイヴが展開されていた。
この【LIVE:GAGA】から一年半の活動を経て、
4月26日-6月26日の【SOFT BALLET TOUR 1995 FORM】ツアーの初日のNHKホール公演のMCにおいて、
ツアー終了後の活動が白紙であることを発表した。
これが事実上の解散宣言であった。
解散発表後の彼らはライヴにおいて観客をステージに上げる等、それまでにはなかった行動に打って出た。
1995年7月23日のこの日と同じ渋谷公会堂のライヴをもって活動停止している。
(その後2002年の「サマーソニック 2002」で活動再開し、アルバム2枚をリリース。
2003年のツアー「大団宴」後、再び活動を休止。)
そのSOFT BALLETのステージを櫻井敦司は
「俺らとはまた違って、ゴージャスな感じ」
と評しているが、
一言でいうと時代を先取りし過ぎたグループであったかも知れない。
その点では、今井寿と同質の性質があり、今後の彼等の活動のヒントとして、
共鳴していたようである。


