『Six/Nine』……数字にすると“69”。
彼らが選んだこのアルバム・タイトルは、
“無限大”を意味する“∞”オームという記号を暗に示唆しているような気がする。
そして、楽曲名や歌詞の中に散りばめられた
“Loop”“輪廻”“Somewhere Nowhere”という、幾つかのキーワード。
B.PASS誌にはこう書かれ記事が締められている。
「ある時は出発点にまで戻ってしまったり、
ある時はそこから遥か遠くまで離れていたり、
人間=バンドはぐるぐると回りながら、少しづつ成長を繰り返していくもの
もしかしたらこの作品は、今のBUCK-TICKの大きな意味での原点回帰かもしれないし、
逆に、昔とは限りなく隔たった作品かもしれない。
でも、本当のところは誰にもわからない……」
「唄」「鼓動」と2ヵ月連続シングルリリースに続き
1995年5月15日に約2年ぶりのオリジナル・アルバムとして誕生した『Six/Nine』。
これはなんと形容すればいいのだろうか。
ザラザラとした重厚な質感、リズムを強調した漆黒のへヴィネスといえるグルーヴ、
そうした有無を言わせぬサウンドを縫うように見え隠れする神秘的な美しさ、純白。
内向的な葛藤というより自己の存在理由が露わになった歌詞。
本作で櫻井敦司の描く【ことば】には一片の英語フレーズもない。
これだけ心と体に痛く、慈愛に溢れた日本語の歌詞を聴いたことがなかった。
イメージするとすればこのアルバムは
白……無垢、原点、タブーなき状態、すべての可能性、
そんなイメージと
黒……暗闇、絶望、シャープな感性、クールネス
そんなイメージを掛け合わせた
まさに“∞”である。
『Six/Nine』の世界では、“真実”や“誤解”すら“Loop”しながら生きている
僕達の“生命”そのものだ。
だから、センシティヴな意味において、このアルバムがNO1だと断言できる。
そして、現在もBUCK-TICKも、僕らも“Loop”し続けている。

『bp113-bt-7』
Loop MARK II
(作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
“輪廻”(繰り返し)
