櫻井敦司は、この楽曲のシングルカットを真剣に希望したという。
今井寿が作ったシンプルなコード進行に、櫻井敦司が歌メロを付けた楽曲「デタラメ野郎」。
タイトルからして、BUCK-TICKの狂気が再燃する。
完全にフィジカル・ノイローゼ状態の櫻井敦司が、
ルージュで口の回りを塗りたくり、まるでピエロのように狂気の表情を浮かべる
この映像のヴィデオ・クリップは、長髪時代のヴィジュアルの鉄壁であった彼からは想像できない姿だ。
ここまで、自分を破壊し尽して、【RE:BORN変身】を試みた櫻井敦司は、
この「デタラメ野郎」にしろ「密室」にしろ、犯罪者心理に憑依しようとしていた感がある。
『Six/Nine』も後半に入るこの楽曲でBUCK-TICKはどこまでもダークで、
どこまでもピュアな聖域とも言える領域に入り始める。
「突き抜けた」という感触を得たという楽曲群は、見事な完成度を誇っている。
この時点での、櫻井敦司の詞作に全くタブーはない。
絶叫すら正式な歌詞と化してしまうこの楽曲を見ると、
クリエーターとしてのリミッターを完全解除した昇華した新しい美しさを纏った。
そして、負の強力なパワーを吐き尽くす。
「友達が欲しいたった一人だけ 雨が大好きで夜が大好きな 」
ネガティヴの極めのような歌詞をパワフルに。
「存在理由 お前が死ねば なんの意味もない軽い言葉だ 」
無常観を伝える。
「みんな真実を濁らせていた 闇はどこにある濁りのない闇 」
そして、闇が彼を包み込む。
「生き延びてくれいかせておくれ 黄色い泉 黄色い泉へ」
さらに、“生命”への渇望を。
「笑いたかったら、笑え」
最後に言い放つ。
・・・・・・見事。

『bp113-bt-5』
デタラメ野郎
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿・櫻井敦司 / 編曲:BUCK-TICK)
悲しげな夜苦しげな街 淋しげな夜退屈な街
水のこの俺は下水管の中 仰向けでうたうみんな見ててくれ
ガデムモーター超フル回転 ビビルこの俺午前3:00まで
生き延びてくれいかせておくれ 黄色い泉 黄色い泉へ
生きる・自由・死ぬ・自由
ウォォォォーッ ウォォォォーッ ウワァァァーッ ガァァァァーッ
友達が欲しいたった一人だけ 雨が大好きで夜が大好きな
存在理由 お前が死ねば なんの意味もない軽い言葉だ
軽薄な俺さ酷い顔して 存在理由 存在理由と
生きる・自由・死ぬ・自由
ウォォォォーッ ウォォォォーッ ウワァァァーッ ガァァァァーッ
みんな真実を濁らせていた 闇はどこにある濁りのない闇
それこそが俺だ場所を間違えた 雨が大好きで夜が大好きさ
ガデムモーター超フル回転 胸の鼓動が俺を呼び止める
生き延びてくれいかせておくれ 黄色い泉 黄色い泉へ
