SCAHFT(シャフト)は今井寿が音楽的に意気投合した
SOFT BALLETの藤井麻輝と組んで活動した音楽ユニットで、
双方のバンドでは、彼等がやりきれなかったインダストリアル・ロックを中心に展開された。


元々は1991年に一時的に結成したユニットで、
オムニバス盤『DANCE 2 NOISE 001』に1曲楽曲を提供した“企画モノ”であったが、
時を経て1994年に本格始動、9月には1stフルアルバム『SWITCHBLADE』を発表する。
この作品にはヴォーカルに本場イギリスのインダストリアル・ロックの盟主
PIGのRaymond Watts(レイモンド・ワッツ)が参加、
リズム隊にはTHE MAD CAPSULE MARKETSのTAKESHI UEDAとMOTOKATSUを迎えている。
(MOTOKATSUはその後のツアーにサポートとして参加)
しかし、SCAHFTは基本的に今井×藤井の2名が正式なメンバーとされる。

『SWITCHBLADE』は同時代の日本ノイズアートの奇才二人の才能がぶつかり合った意欲的作品で、
BUCK-TICK本体のファンからしてみれば、やや難解な内容となったが、
ここに今井寿の体中に充満するマニアックな音楽世界が展開され、

彼をして
「制約なく何でもできたね」
と言わしめた。

PIGを始めとするイギリスのオルタナティヴ系のミュージシャン・エンジニアが、
多数参加した内容は強力なものに仕上がり、邦楽とは思えない出来である。
予想されたインダストリアル・ノイズ系ばかりではなく、
しっかりとヴォーカルがフューチャーされているところも聞き所だ。


今井&藤井のアルバム製作現場はどんな感じであったのだろう?

今井寿曰く
「任せる部分もあるし、適当に」
そしてギタリストとしてはBT本体よりも集中して専門特化できたようだ。

――ギター音に関して?

「基本がしっかりした音。歪んでて骨格がある」

――エフェクターでギターらしくない音にするんじゃなくって?

「それが必要なところはいれてあるけど、
あんまりそれが必要なかったし、それにキーボードがあるから」

――ギターのセッティングとか音色とか、BTのときとはかなり変えてありますか?

「基本はそんなに変わってないですけど、あんまりエフェクティヴな音っていうのは使ってなかった。
わりとシンプルな音で」

――使用したギターはなんだったんですか?

「太い音のときはレスポール。あとはいつもと同じで。
新しく増えたのはシンタックス(MIDIギター)で」

――あとはギターシンセで?

「ギターシンセは使わなかったかな。
だったら藤井君にシンセでやってもらったほうがいいから」

――じゃあアルバムに入っている効果音っぽい音は全部シンセ?

「ギターも入ってるけど、結局それをカチッと打ち込み直すから。
あとはマイクロシンセでチョコチョコっと効果音ぽいののは入れますけど」

――今回のレコーディングで気を使ったことっていうと、どういうところが大きいですか?

「やっぱり基本的なギターサウンド、太い歪みの音っていう。
カチッとフレーズが見えないと嫌だから」


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『000c7rdq』

それ以降は表立った活動は無かったが、
1999年にはzilchのリミックス盤『BastardEYES』にSCHAFT名義で参加している。
これは雑誌『音楽と人』の1997年3月号で、今井×藤井×hideという対談が実現し、
対談中には3人のコラボレーションの話が持ち上がり、
「スーパーSCHAFT結成か!?」というコピーも踊った。
hideの逝去により実現は不可能となったが、
その後のzilchのリミックス盤に「SUPERSCHAFTRACK」というSCHAFTの作品が収録された。