1994年は、BUCK-TICKメジャーデビュー以来の公式長期オフをメンバーそれぞれが楽しんだようだ。
1989年今井寿のLSD事件とその後の自主謹慎期間に匹敵する時間がメンバーに与えられた。

その期間にBTメンバーは製作に関与していないアルバム『シェイプレス』が作成された。
BUCK-TICKは、音源だけを提供し、テクノ界の重鎮、
エイフェックス・ツインやドイツのハードフロアなどにリミックスを依頼。

Aphex Twinのアーティスト名で最も知られるRichard David Jamesはイギリスのアーティストで、
作曲家、DJでもある。
その作曲ジャンルは多岐にわたり、
テクノ、アンビエント、エレクトロニカ、ドラムンベース、アシッド・ハウスと多彩である。
同時に複数のアーティスト名義を使うことでも知られる。

またHardfloorは、ドイツのテクノユニットである。
メンバーはOliver BondzioとRamon Zenker の2名で形成される。
1990年代初頭のアシッド・ハウスにおいて、ローランド・TB-303を操作し、
それが繰り出す独特の音色でシーンで一躍有名となり、
またTB-303の使い方において他のアーティストへも影響を与えた。
特に1993年にリリースされたTB Resuscitation(TB蘇生、という意味)が有名である。
ここで言うTBとは、無論TB-303のことを指す。
他にも、ドイツのハートハウスからリリースされたAcperienceシリーズも代表作である。

彼等に選出された収録楽曲は
01.Jupiter(Silver Moon mix)
02.D・T・D(Air Liquide mix)
03.In The Glitter PT1(Gutter mix)
04.Brain,Whisper,Head,Hate is Noise
05.Iconoclasm(Don’t X Ray Da DAT mix)
06.In The Glitter PT2(Aphex mix)
07.Killing(Urb mix)
08.Evil Flowers(Neutron 9000 mix)
09.Dress(Spicelab mix)
10.Hyper Love(Hardfloor remix)

の10曲。

選曲からジャケットまで関与しなかったが、
メンバーにトラックダウン後の感想がB・PASS誌に掲載されていたので引用する。



櫻井敦司

「アンヴィエントでリミックスをやってみようかていうアイデアが出た時から、
完成がすごく楽しみだったんですよ。
~(中略)で、出来上がった作品を聴いてみて思ったのは、
まず俺はプレイヤーじゃないせいかもしれないけど、
どの音がどういうやり方でこうなったっていう聴き方よりも、雰囲気を楽しんでる」

●特にお気に入りはある?

「そうですね“キラメキの中で...”“太陽ニ殺サレタ”ですね。
もともとこの2曲は好きなんだけれど、壊されたっていう感覚としてはとらえてなくて・・・。
もう自分たちからは距離を置いて聴く作品だなって思ってるんです。
自分たちの曲ではあるけれど、『シェイプレス』でのその曲たちは、
もう僕らからは少し離れた場所でまた違った息吹を吹き込まれて、
新たな生命として育っているような。
うん。そんな受けとめ方をしてますね」


星野英彦

「うん。思った以上に凄いになって返ってきたから。
やっぱり感性が違うというか、そういうところを見たかったなという。
すごいかっこいいですよね音の作り方とか。
まあバンドじゃない、打ち込みですけどね。
その打ち込みのカッコ良さっていうのをみんな分ってるというか。
いいとこ突いてくるというか。そういう感じを受けました」



樋口“U-TA”豊

「とにかく凄かったの一言に尽きますね。
BTって同じ事しないじゃないですか?
たとえばオーケストラにBTの曲を演奏してもらったり、アレンジを変えたベストを出したり・・・。
で、今回も“ベスト盤”という普通のワクを越えて、また新しいやり方でベストを作ったというか・・・。
ただ古い曲を集めてそのまま収録するベストはイヤだったし、
じゃあ何やろうかって思った結果が『シェイプレス』になったんですよ。
BTをひとつの素材として遊んでもらえたし、どの音ひとつとっても驚かされたしね。
今井さんのギターを何倍も回転数を変えてエフェクターにかけて、
それをひとつのメロディーにして入れちゃうなんて事やってる。
もう、“スゲェ!!”としか言いようないですよね。
うわぁ、あれがこうなっちゃうんだっていうのばっかりだったもんな・・・・・・」



ヤガミ“アニイ”トール

「そうですね。俺なんかやっぱりそういうドラムのナチュラルな音が好きでドラムやってるわけだから、
こういう打ち込みの世界にされたっていうのは、何ていうか、自分じゃないですよね」

●ここまで行くと他人の作品を聴くような感じでしょうね?

「ええ。ただ部分的には俺のシンバルとか使ってますけど。
でも自分では分んなかったんです。
U-TAが“これアニイのシンバルだ”って(笑)。
だからこれは本当に音源提供って感じですよね。
勝手にいじってもらったというか。
俺はやっぱりあっちゃんの歌が入ってるほうが安心しますね。
ヴォーカル・レスの曲だと“ウ~ン”ってなっちゃいますね」



今井寿

「選曲からすべて向こうに任せてましたから・・・
まあ最近のアルバムの中から曲は選んでもらおうということくらいしか俺達の方になかったし、
あとはもう打ち込み系、アンビエントとかトランスの雰囲気で、演り放題やられちゃうだろうなと」

●仕上がった物を聴いての感想は?

「予想通り・・・・・・というか予想以上になるだろうって予想してたんですけど(笑)、
実際、音を聴くとやっぱりびっくりします。気に入ってますよ」

●はっきり言って何の曲だかわからないくらいですもんねぇ。

「そうですね。本当に肌触りっつうか、それで聴き分けるしかない感じ」

●曲目表をもらわずに今井君が聴いたら、これ元は何の曲だって分かるのいくつぐらいあります?

「10点満点として・・・・・・たぶん、曲の断片が聴こえる奴なら何の曲か分かるだろうけど・・・・・・」

●曲の断片すら分からない曲もありますけれど(笑)

「そういう曲は元がなんて曲かは・・・そんなこと知りたくもない(笑)!」



映像は
特製写真集の撮影の為、BTメンバーが中近東トルコ・イスタンブールに出かけた時のもの。



続く同B・PASS誌の記事にて、今井寿のインタヴュー。

●帰ってきて一言どうぞ。

「珍道中でした。疲れました」

●聞くところによると朝8時から撮影が始めるのに、結局やっぱり朝6時くらいまで飲んでたそうですが?

「いや、飲むしかないんですよ」

●次の日の身体的負担とかかんがえなかったんですか?

「ええ・・・・・・いや、考えました。考えただけです」

●わっははははは!でもBTとしてはB・PASSで
その昔やった九十九里浜の海岸ロケ以来というくらいになるだろう青空ロケだったわけですが、
その辺の違和感は?

「周りが思っているほど、メンバーはその辺気にしてないんです。
青空の下とか言っても“そういう撮影そういえばやってないなあ”ってくらいで」

●メンバー自身が青空ロケは嫌いなのかと思ってたんですが?

「そんなこと全然ないですよ」

●7月31日からは久方ぶりの夏のイベントもあるんですが・・・
これが実際に決まった感想はどんなものですか?

「ん・・・面倒臭いなっていう(笑)。ちょっと忙しすぎだよって」

●まあ、そうですわな、でも前向きな意味で感想もあったでしょ?

「いやあ・・・・・・仕方ないから、今年は自分をイジメようかなと」

●くくくくく・・・じゃあSOFT BALLETとLUNA SEA等と一緒に演るということに関しては?

「別に抵抗なかったし、野外っていうのも逆に合うんじゃないかなと」

●2バンドに対抗する為の作戦は?

「いや、なんにも」

●横綱相撲でいこうと?

「いや・・・・・・別に作戦つったって・・・・・・作戦なんて無いですよ(笑)!」


以上【B・PASS】誌

そう、長いBUCK-TICKのオフ期間ではあったが、今井寿だけは、SCHAFTの活動をしており、
他のメンバーとは違い多忙な1994年なのであった。


そしてこの年の7月31日野外イベント【SHAPELESS】を富士コニファーフォレストにて
BUCK-TICKは活動再開する。
その後は8月9日よりLUNA SEA、SOFT BALLETととも【LSB】のライヴツアーを
全国5箇所にて行っている。
このツアーには、THE YELLOW MONLEY、THE MAD CAPSULE MARKETSも参加し、
大トリをBUCK-TICKが務めている。
富士コニファーフォレストでの野外ライヴは、
1990年8月2日の西武球場の野外単独ライヴ『A midsummer night's dream』以来であった。



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