美しい。
しかし、痛々しい“live”。
その行き着く先は、誰しも“die”。

暗黒の始まりを唄うアルバム『darker than darkness -style93-』の
感動的なラストを飾る「die」では、
アコースティックとフィードバックギターの対比が死へ向かう"恐怖"と"悲哀"だけでなく、
諦めにも似た"歓喜"が入り混じって混沌とした感情を見事に描き切り、
最終的にノイジーに荒れ狂うことによる"昇天"の表現にも度肝を抜かされるが、
これは93トラック目に隠されたタイトルソング「darker than darkness」で"転生"に帰結する。

後に今井寿の誕生日にシングルカットされるヴァージョンでは、
最後の歌詞
「サヨナラ・・・  すべてのものよ」
と唄いきって“昇天”するが、
元となるアルバム・ヴァージョンでは「すべてのものよ」が壮絶なノイズの掻き消され、
最期のメッセージすら許されない壮絶な“昇天”への軌跡が描かれている。

恐らくこのアルバムのコンセプトでは、
“生”=“live”は苦境そのものであり、
逆に“死”=“die”こそ解脱の楽園であったのだろう。
世間一般とは、真逆のパラドクスによって、
『darker than darkness -style93-』の世界は構築されているだ。

BUCK-TICKの名曲とされるだけに、
ライヴでも終盤近くに頻繁にパフォーマンスされる同曲であるが、
この日の渋谷公会堂【LIVE GAGA】でもアンコール前のラストソングとして演奏され、
アルバム同様に「darker than darkness」のアンコールへと繋がり、
1993年の年末を飾っている。


bp9307-bt-11
『bp9307-bt-11』




die
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)




僕は両手を広げ 全てを許したいと願えば
君は空から降り立つ
真実なんてものは 僕の中には何もなかった
生きる意味さえ知らない

なんにも
あー 星が海泳ぐみたい
あー 楽しげに誘う様に 夜は優しくて・・・

あの雲さえ越えてゆく キラメクまでこの夜に
何処まで まだ飛べるだろう 疲れ果てたこの体
死ぬまではばたいていく

ここでお別れしようよ 悲しい事は何もないはず・・・
軽く最後のKissして
楽しい夢は終わる まぶたを閉じて 永遠を感じて
肌に死というぬくもり

夢じゃない
あー 目覚めには 遠く深い
あー ここは何処 僕だれなの? 僕は突き抜ける

体はもう ちぎれそう この声も この愛も
遠く消える 青い星 みつめては うつむいて
サヨナラ 全てのものよ・・・

もう二度とは帰れない 生まれてきた あの海へ
遠く消える 青い星 みつめては うつむいた
サヨナラ・・・  すべてのものよ