この楽曲の初出は2ndアルバム『SEVENTH HEAVEN』であるが、
『殺シノ調ベ This is NOT Greatest Hits』の再録ヴァージョンでは
さらに妖しさが増しており、映像の【LIVE:GAGA SP93】での演奏時間は10分以上にも及ぶ
BUCK-TICKのインプロヴィゼーションが発揮される楽曲であるが、
アルバム『darker than darkness -style93-』にもドンピシャな雰囲気だろう。

実は、前項でも記したが、この『darker than darkness -style93-』の世界感が、
あまりにも完成されていたせいで、
バンドはライヴのセットリストの選曲に相当頭を悩ませる結果となった。
間違いなく『HURRY UP MODE』『SEXUAL×××××!』辺りの収録曲を演るのは、
雰囲気が違い過ぎて違和感があるとされたからである。
結果的には、初期のポップ色の強い楽曲もツアーでは盛り込まれたのであるが、
徐々にアンコールで区切ってから演奏するなどの工夫が追加されていった節がある。

これが、新しく構築した新世界の代償となった“制限”のひとつである。

しかし『SEVENTH HEAVEN』からの「VICTIMS OF LOVE」は他の初期作品と一線を画す。
それもこの楽曲が、数々のライヴを経て、進化しており、
更には、『殺シノ調ベ This is NOT Greatest Hits』にて大胆にリアレンジされたのが、
ライヴツアー「darker than darkness -style93-」でも選曲された起因だろう。

それにしても逆に考えれば『SEVENTH HEAVEN』当時の彼等に、
この楽曲が作り上げられた事自体が、驚異的であるのかも知れない。
まさにダイヤモンドの原石であった。

今回もこの「VICTIMS OF LOVE」は擬態化を続けており、
いつもの見所の後半以降の即興パートでは
櫻井敦司のサックス!もアドリブで挿入されている。

官能的という点では、【Climax Together】のパフォーマンスに譲るが、
この【LIVE:GAGA】では、より暗黒世界を意識したアングラな演出で、
今回も観衆をトリップさせるには充分な、異形の世界へとつながっている。


この楽曲こそ変幻自在な長作といえる。



VICTIMS OF LOVE (4:25)
 (作詞:桜井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)




凍り付く様に今も微笑む 通り過ぎてゆく肌のぬくもり
胸の鼓動が時を数える 溜め息まじりくちづけせがむ

とぎれとぎれかすかに 喘ぐ声を聞く

抱きしめあえば胸はゆらめく 慰めあえばそれは儚く
そっと迷い込んだ時のはざまで 想いは海を赤く色どる

とぎれとぎれかすかに 喘ぐ声を聞く
「・・・離れないで・・・」 花びら 熱く震えてる

からめあう指と指の先に 青くつやめいた傷痕
もつれあう舌を深くうずめ AH-A とろけるほど甘く

とぎれとぎれかすかに 喘ぐ声を聞く
「・・・離れないで・・・」 花びら 熱く震えてる

からめあう指と指の先に 青くつやめいた傷痕
もつれあう舌を深くうずめ AH-A とろけるほど甘く