シングル「スピード」のカップリング楽曲で、
傑作アルバム『狂った太陽』には収録されなかった星野英彦作曲のナンバー。
後にシングル収録楽曲を集めたベストアルバム『BT』に収録されている。
偏執的な自己愛をテーマにした歌詞は、
当時頂点を極める驚異的美麗さを誇るヴォーカリスト櫻井敦司の手によるが、
ナルシスト(自己愛好者)の称号も彼の美しさを前にすると説得力があるというもの。
ナルシシズム(自己愛)とは、防衛機構の一種である。
自己の容貌や肉体に異常なまでの愛着を感じ、自分自身を性的な対象とみなす状態をいう。
由来のナルキッソス(Νάρκισσος Narcissus)は、ギリシア神話に登場する美少年の名。
ある日ナルキッソスが水面を見ると、中に美しい少年がいた。
もちろんそれはナルキッソス本人だった。
ナルキッソスはひと目で恋に落ちた。
そしてそのまま水の中の美少年から離れることができなくなり、やせ細って死んだ。
こんなエピソードも、ヴィジュアル系にぴったりなキャラである。
演奏のほうもメインパートは星野のギターカッティングに誘導されているが、
逆にこういった星野ナンバーで見せる今井寿の遊び心いっぱいのギタープレイは、
見ていて清清しい。
間奏部分では、その今井のプレイを見て、ヤガミと櫻井の目が合い笑っている。
ナルシス(single)
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)
踊れるなら 呪われたように
溺れるなら ナルシスのように
ああ...艶めく紅 誰のために濡れる
ああ...欲しいものは 心の無い身体
狂えるなら 原色のままで
俺の宇宙 密室のなかに
ああ...指で描く 股間に手を当てて
ああ...溶けてるけど 感じやすいのさ
ひとりこのまま 鏡に映す身体に口づける
愛してるのは自分だけさ
裸で踊るのさ
ああ...誰かの影 俺をヤバクしてる
ああ...乾いたなら 背中向けてくれよ
ひとりこのまま 鏡だけに愛をうちあける
愛してるのは自分だけさ
裸で踊るのさ

