「自分の好きなものをつくるためではなかった。
何よりもまず、自分が嫌いなものを流行遅れにするためだった。
わたしは、自分の才能を爆発に使ったのである」

                     (ココ・シャネル)



「VICTIMES OF LOVE」に続く、「MISTY BLUE」も非常に官能的作品である。
しかし、激しい情愛のあとに濃厚な後戯を受けているようだ。

青の世界に包まれて、青い太陽のオブジェの下に、ステンドグラスが美しく鈍く輝いている。
アンニュイなコーラスの星野英彦に、額に汗をかく中性的な今井寿のジャジーなギターソロ。
櫻井敦司は、セクシャルな喘ぎ声でその身をよじる。
アダルトなベースラインをユータが奏でるとヤガミの変拍子がむせかえるように甘い。

「MISTY BLUE」をダークで、ミステリアスなイメージと評す今井寿は、
同曲を『殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits』には選曲収録しなかったが、
間違いなくBTソングの中では、ロマンスを最も感じられる一曲で、
これもリメイクの仕様がなかった類の楽曲かもしれない。

収録アルバム『悪の華』の中でも、異色の毒気を放つ楽曲であったが、
「Climax Together」で実に甘美的にパフォーマンスされた同曲は、
『悪の華』からの大きなプレゼントとなった。

これも「Climax Together」がスペシャルイヴェントであったことが、
効を奏しているのかも知れないが、なかなかこの雰囲気をライヴで表現するのは、
一筋縄にはいかないように感じるが、
この再現性もBUCK-TICKというバンドの脅威性のひとつだ。

大観衆全員が、今夜のホスト“櫻井敦司”と、
チークダンスのサービスを受けているようだ。




MISTY BLUE
(作詞:桜井敦司/作曲:今井寿/編曲:BUCK-TICK)


MISTY BLUE 妖しくすべらせた
MISTY BLUE 指先にすべてを

Let's dance oh~ もつれたまま
It's like a paradiso oh~ 見つめたまま

Just in blue 感じていたいのさ
Just in blue 腰つきに世界を

Let's dance oh~ 流れるまま
It's like Poruno graph oh~ 動かぬまま

(La~) 爪の先にロマンス Oh~ すぐに消えた
(La~) 夜は恋狂うけど Oh~ 誰もいない

MISTY BLUE Do you remember our last dance?
MISTY BLUE Do you remember our "shadow dance?"

Let's dance oh~ Do you believe me?
It's like a paradiso oh~ Do you believe me?

(La~la~) 爪の先にロマンス Oh~ すぐに消えた
(La~la~) 夜は恋狂うけど Oh~ 誰もいない
(La~la~) 爪の先にロマンス Oh~ すぐに消えた
(La~la~) 夜は恋狂うけど Oh~ 誰もいない

爪先にはそっとロマンス 抱きしめれば
きっと幻ずっとこのまま そしてすぐに消えた

恋狂えば胸切なく 落ちてしまえば
夢幻いっそこのまま そして誰もいない