「一つの世界が終わり、別の世界が生まれようとしていた。
 わたしは、その二つの境にいあわせたのだ」
                   (ココ・シャネル)



もうほとんど放送禁止モノである。


『Climax Together』の前半部は「HYPER LOVE」のエレクトで終わりを告げ、
次の「VICTIMS OF LOVE」ではもう完全にファックそのものを表現している。

それもノーマルなものではなく、完全にアブノーマル。

このパフォーマンスまでの進化過程で、この楽曲こそBUCK-TICKを擬態化したものと気づく。
その同居するサディストとマゾヒストは、ドラックの影響も受けてとんでもないプレイを創り上げた。
とリスナーは勝手に妄想を膨らませるほかない。
初期BTの情愛を唄ったこの楽曲は、この時までに禁断の異常趣向性交に肥大した。

エロティックな今井寿の間奏も去ることながら、
(“さくら”フレーズの挿入、ヴァイオリン奏法と見所満載であるが)
櫻井敦司のアドリヴには、完全のノックアウトさせられる。


「誰なんだ…、どうしてさ?
 何処にいても…、
 縛られて…、吊るされて…、嬲られて…、
 fack me! fack me! fack me!!」


下手な官能小説よりも、よっぽど刺激的だ。


fack meと自虐の粋を尽くす櫻井敦司には、
この後、極めつつあった“自己否定美学”“自己破壊美学”の片鱗を垣間見る。

是非、じっくりとその禁断の世界を覗いてみてほしい。



VICTIMS OF LOVE
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


凍り付く様に今も微笑む 通り過ぎてゆく肌のぬくもり
胸の鼓動が時を数える 溜め息まじりくちづけせがむ

とぎれとぎれかすかに 喘ぐ声を聞く

抱きしめあえば胸はゆらめく 慰めあえばそれは儚く
そっと迷い込んだ時のはざまで 想いは海を赤く色どる

とぎれとぎれかすかに 喘ぐ声を聞く
「・・・離れないで・・・」 花びら 熱く震えてる

からめあう指と指の先に 青くつやめいた傷痕
もつれあう舌を深くうずめ AH-A とろけるほど甘く

とぎれとぎれかすかに 喘ぐ声を聞く
「・・・離れないで・・・」 花びら 熱く震えてる

からめあう指と指の先に 青くつやめいた傷痕
もつれあう舌を深くうずめ AH-A とろけるほど甘く