アルバム『殺シノ調ベ This is NOT Greatest Hits』見所はリアレンジとミックス。
一番の大胆な変化を見せたのが、この楽曲「M・A・D」である。
今井寿曰く
「この曲はもう壊すだけ壊すしかないと思ったんですよ。
シングルで出した時にすでに完璧に完成してしまってたし、
これ以上のものを作るよりも一度壊してから組み立てるというか…。
全く新しい切り口で、新曲感覚でやろうと思った。
それならもうライヴで再現できないくらいにしちゃおう、と。
総て打ち込みです。中途半端はやめて、人間じゃ再生不可能にしました。
だからこのままではライヴでは出来ません。無理です(笑)」
このコメント通り映像のライヴでも原曲のアレンジでパフォーマンスされている。
今井寿は、「M・A・D」殺シノ調ベアレンジの解説として、
「この曲だけコンピューターの打ち込み。
リズムを作って、後でギターのきれいな音色や汚い音色をどんどん重ねていった。
音楽というより、飾り・インテリア・オブジェみたいな発想」
「この曲はアルバムの時点で完成形だと思ったので、絶対に変えたくなかったのだが、
シングルは全部入れるという話になり、ならば原曲とまったく逆をやってみようと。
で、浮かんだのが、このアレンジ」
と語っている。
『殺シノ調ベ This is NOT Greatest Hits』のコンセプトとしては、
過去の楽曲を1992年当時のBUCK-TICKのクオリティーで作成する。
ということであったが、当然の如くセールスを目的とするレコード会社ビクターは、
最新アルバム『狂った太陽』収録のシングル楽曲を全て収録するように要求して来た。
これでは、前述のコンセプトに反すると感じた今井寿は、
自ら作り出した楽曲そのものの破壊を試みた。
その結果、史上最強のセルフカバーアルバムが完成したのだ。
M・A・D
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
僕は狂っていた ひざをかかえながら
傷をなめていた 汁を垂らしながら
逃げ出すサイレンの渦 こうして生きてゆくのか
僕は狂っている 舌を溶かしながら
赤い海の底で溺れる夢を見る
想い出す優しさだけを そうして眠りにつくよ
アスファルトを抱いて 熱にうなされている
僕を破裂させてくれ
僕は狂っていた もう二度と会えない
全て狂っていたどうって事無いサ
逃げ出すサイレンの渦 想い出す優しさだけを
子守歌の中で聞いた あなたの鼓動
僕を狂わせてくれ
ああ ただ星が綺麗だね 僕はお前にはなれない
ああ 輝きが消えてゆく もうすぐ太陽の破片
アスファルトを抱いて 熱にうなされている
僕を破裂させてくれ
子守歌の中で聞いた あなたの鼓動
僕を狂わせてくれ
ああ ただ星が綺麗だね 僕はお前にはなれない
ああ 輝きが消えてゆく もうすぐ太陽の破片
ああ ただ星が綺麗だね 僕はお前にはなれない
ああ 輝きが消えてゆく もうすぐ太陽の破片
僕は狂っていた もう二度と会えない
全て狂っていた どうって事ないサ

