「人はみな世界を変えたいと思うが、自分自身を変えたいとは思わない」
                          (トルストイ)



そう“生まれ変わった”のかも知れない。

BSサテライト・サーキットのパフォーマンス。

星野英彦の作曲によるインダストリアル・へヴィ・ロックは、
“生まれ変わる”合いの手に入る悲痛な叫びが響く。
これも“破壊”と“誕生”のコンセプトに乗ったBUCK-TICK作品だ。
『TABOO』から『悪の華』と“破壊”の限りを尽くしたBTは、
この『狂った太陽』で、新たに生れ堕ちたのかも知れない。
そういう意味ではアルバム『狂った太陽』の“狂気”に続くコンセプトは、
“誕生”であったのかも知れない。
そして、変身し生まれ堕ちた異形の姿は、誰にも似ていないオリジナルに満ちたものであった。

ハイスピードで展開されるサウンドは、重く暗く、
この後のアルバム『darker than darkness』にも通じるものだ。
吐き出すようなコーラスの星野と掛け合いの櫻井敦司も生みの苦しみを表現している。
二人の掛け合いをヨソに今井寿は、ハードにそしてクールにプレイし続ける。

アルバム『狂った太陽』は、
「MY FUNNY VALENTINE」(今井作)「エンゼル フィッシュ」(星野作)といったキッチュな作品と
「MACHINE」(今井作)「変身[REBORN]」(星野作)のへヴィな作品とが交互に雑ざり合い、
リスナーを惹きつけて離さなかった。
そして、その後に待ち受けていたのは、櫻井による最愛の母へのオマージュ
「JUPITER」(星野作)「さくら」(今井作)であった。



完璧だ。



本作は、まさにBTコンポーザー・チームの“完全犯罪”が成立したアルバムだったと言える。



変身[REBORN]
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)


フザケタツラで愛を歌うの
無力な俺を感じてくれ
殺したはずの顔が微笑んだ 突キ刺サレタ 俺の顔
薄笑み浮かべた あなたは素敵
この世の終わりも怖くないみたい
狂気のままで愛が終わったら ワイセツの蜜が流れる
猟奇のままにギラついた眼球
フィナーレを歌う子供達

ああ・・・ゆがむ・・・体・・・ああ 何も信じちゃいない
そう・・・生まれ・・・変わる・・・ああ お前に見せてあげたい
ああ・・・割れた・・・頭・・・ああ 体の形変えて
そう・・・笑い・・・止まらない・・・ああ お前に見せてあげたい

失くした者はとても愛しくて 俺を閉じ込めて消え去る
俺は見世物 しかも上等さ 地下の加護の中 イカレてる

ああ・・・割れた・・・頭・・・ああ 何も信じちゃいない
そう・・・生まれ・・・変わる・・・ああ お前に見せてあげたい
ああ・・・ゆがむ・・・体・・・ああ 顔の形を変えて
そう・・・笑い・・・止まらない・・・ お前に見せてあげたい
ああ 何も信じちゃいない ああ お前に見せてあげたい
ああ 体の形変えて ああ お前に見せてあげたい