「キャピタゴン」はビクターの宣材用フィルムで
1992年9月からレコーディングに入った
アルバム『狂った太陽』の製作現場をリポートしている。



まずは今井寿に今回のコンセプトを

「今回の方向性というか、狙っていたところは、
単純にギター・バンドっていうんじゃなく、エレクトリックなイメージ。
それをもっと前面に出したかった」

との事で、各曲にSEやサンプリング、効果音を散りばめた作品となった。
ノイズやギター・シンセ、フレットレス・ギター等、
いままで試験的に施行を重ねたものの実現の場となったようだ。



こうした実験的サウンドについて、ヤガミトールは

「いつもレコーディングで思うんだけど、
このオケ(楽曲)は、マニアックでとんでもないことになっちゃうんじゃないかなと
思うんだけど、最後にあっちゃん(櫻井)の唄が載るとBUCK-TICKの世界になる。
だから別に色々な事やってるんだけど、あっちゃんの唄でトータルの雰囲気が出来る。
んで問題ないかなと・・・。」

天才コンポーザー今井寿が、目一杯、斬新な世界を築く。
それを櫻井敦司の強烈な雰囲気がBT風に仕上げてしまう。
逆にいうと櫻井の存在が、今井の創作への限界を取り払っている要因なのかも知れない。



ついに名曲「JUPITER」を生み出した星野英彦は、
12弦アコースティックに挑戦し、彼の新たなる世界観へ踏み込んだ。
これは、後にBTの強力な武器になる。

「一曲の中であまり変化しない...、
リフレインっていうか...、
そういう感じの曲をいろいろ作ってみようかなという...。」

こんな感じで、どこまでもカジュアルな星野英彦であるが、
ここに名曲メイカーとしての原点が存在するのだ。



U-TAことバンドの骨組みを支えるベーシスト樋口豊は、
先行シングル「スピード」について、

「(スピードは)そうですね。
いままでやったことのないリズム・パターンだから...。
8ビートだけじゃない、本当に体が自然に動いて来る様なリズム・パターンだから。
すごい聞いていても、面白いと思う」

と新作へ自信を垣間見せた。



Brain,Whisper,Head,Hate is noise
 (作詞・作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


高級な愚の猿たちは
幾億年の瞬間【トキ】

知ってはいけないあっちの記憶
生き続ける遺伝
(Brain,Whisper,Head,Hate is noise)

中枢神経 まっ二つの愛
錯乱の輝き
(Brain,Whisper,Head,Hate is noise)

冴え渡る夜に覗いた扉(開け進化のMode)

あなたの宇宙【ソラ】の中絶頂へ統一さ
目覚める破壊の奇跡
(Brain,Whisper,Head,Hate is noise)

冴え渡る夜に覗いた扉(開け進化のMode)
生まれる前には人は星だった(開け進化のMode)

流れる皮膚の中 本能を感じてた
ふるえる原子の鼓動

流れる皮膚の中 本能を感じてた
ふるえる原子の鼓動

あなたの宇宙【ソラ】の中絶頂へ統一さ
目覚める破壊の奇跡

あなたの宇宙【ソラ】の中絶頂へ統一さ
目覚める破壊の奇跡
(Brain,Whisper,Head,Hate is noise)


JUPITER
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)



歩き出す月の螺旋を 流れ星だけが空に舞っている
そこからは小さく見えたあなただけが
優しく手を振る

頬に濡れ出す赤い雫は せめてお別れのしるし

初めから知っていたはずさ 戻れるなんて だけど。。。少しだけ
忘れよう全てのナイフ
胸を切り裂いて 深く沈めばいい

まぶた 浮かんで消えていく残像は まるで母に似た光
そして涙も血もみんな枯れ果て
やがて遥かなる想い

どれほど悔やみ続けたら
一度は優しくなれるかな?
サヨナラ 優しかった笑顔
今夜も一人で眠るのかい?

頬に濡れ出す赤い雫は せめてお別れのしるし
今夜 奇麗だよ月の雫で 汚れたこの体さえも

どんなに人を傷つけた
今夜は優しくなれるかな?
サヨナラ 悲しかった笑顔
今夜も一人で眠るのかい?