NHK番組のトークの続きである。
デビュー時のバンドの象徴であった逆立ったヘアスタイルについて、
また、バンドのファッションについてのコメント。
この当時、髪の毛を逆立てていたのは、樋口ヤガミ兄弟の2人だけ。
他の3人は独自路線のスタイルに変貌していた。
同じバンド・メンバーも個性期に入ったのだ。

古くはTHE BEATLESがマッシュルーム・カットで統一し、
ブリティッシュ・インヴェイションを巻き起こし、
バンド・イメージを確立した例が顕著であるが、
バンドも成熟期に入るにつれ、メンバーの個性が表面化し始める。

逆出てた髪の毛はBUCK-TICKが初めという訳ではなかったが、
それ以前のパンク・バンドやBOOWYといった直近の先輩達から流れて来たものだろう。
ヤガミトールによるとそれが
「金がなくて床屋に行けず伸びたもの」
ということになるが、その大量のヘアスプレイ代を考えるとそれも方便かと思う。
とにかく、それまで存在した逆毛よりも目立っていたのは確かだ。

BUCK-TICKのファッションにバンドのコンセプトに基づいた決まりはないようである。
メンバー個人が、好きなものと取り入れていっているようだ。
それでも、5人揃うと統一感があるのは、ある程度ベースにルーツがあるからであろう。

櫻井敦司にしても、
今井寿にしても、
星野英彦にしても、
髪を立てるのを辞めたのは、
まず第一に「めんどう」であった点が挙げられる。
これは、BTメンバーの率直な意見とバンド内の自由度が高いことの証明だろう。

また今井寿の
「色々な髪型を試してみたかったから・・・」
というのも正直な意見であったろう。

こういう観点からしても、BUCK-TICKは正統なヴィジュアル系バンドに属せず、
個人的な趣味からくる雰囲気そのものがヴィジュアル系であったのだといえる。

またファッションの変遷の経緯も、
何かそこに必然性があったからではなく、
メンバー個人個人の興味からくるものと分かる。

またこの頃までに各メンバーのキャラが立って来ており、

美麗、耽美派の櫻井敦司
突飛で個性的な今井寿
カジュアルな星野英彦
少年的な樋口豊
男らしい硬派ヤガミトール

とまるで漫画に登場するキャラクターのように色分け出来て、
ファンも誰か好みのタイプが存在する状態になっており、
(実際、ジャニーズ事務所もこういったマーケティングのもとグループを構成する)
けしてマーケティングで意図的にバンド結成した訳ではないが、
自然と個性を尊重し、各個人の役割分担がなされていてる点は
長くバンド活動を継続していく上でのポイントとなっているだろう。

また、その趣味の違いがかち合わないように自然に活動を続けているのは、
メンバー同士が互いに相手を認め合い、干渉し合わないためであろう。

こういったメンバー同士の絆はLSD事件後の謹慎期間が契機になったという説もある。
が、そもそも友達同士の延長で音楽ビジネスとして成立しているのは、
並大抵の事ではないと思うのだ。
(本人達は意識していない可能性が大きいが・・・)



また同番組にて、ヤガミトールは活動を続ける限り髪を立て続けると宣言していて、
今の所、この記事更新時の現在も、その公約は果たされている。