前作『TABOO』では人間社会の欲望、欺瞞などをゴシック調に表現した
ハードでダークな世界観であったが、
ニュー・アルバム『悪の華』はまるで御伽噺集でも読んでいるかのような
作品の集合体で、様々なタイプのサウンドの短編集のようでもある。
その中でも「LOVE ME」は異質な感覚のする楽曲であった。
ファンタジックなゴシック・ホラーとでも言おうか?
櫻井敦司によると
題材のネタをバラしてしまうと巨匠手塚治虫の漫画「ブラック・ジャック」で、
小学校の時に読んだ、病気で喋れないかわいそうな女の子が主人公の話がモトネタであるらしい。
端からみてると凄く不幸なんだけれど、本人は全然不幸だとは思ってなくて、幸せだと思っている。
つまり、どんな状況でも本人が幸せならばそれでいいんじゃないかなという楽曲だという。
明るいポップな曲調であるが、歌詞が陰鬱であるギャップでその世界観を表現した。
そのギャップこそが不思議な魅力を振りまくのだ。
しかし、それこそが“人生”そのものじゃないか。
作曲を担当した今井寿によると
「コード進行から作った。
家で何気ない時に出てきて、すぐに出来てしまった曲。
出来上がった時は『今までにない曲だな』と感じた」
ということだ。
ヴィデオ・クリップの映像も幻想的な御伽噺のようだ。
悪趣味なメリー・ゴーランドに乗って快楽の世界にトリップできる。
LOVE ME
作詞:桜井敦司/作曲:今井寿/編曲:BUCK-TICK
細い手首をかみ切る 媚薬が傷にしびれる
Love me 涙も Crying 血の色
どんなに夢を見ても 気付けばいつも独りさ
Love me 夢見て Dreaming 眠ろう
My Darling 月夜に羽を広げて
消えるまで Love me
ラララ・・・
My Darling ちぎれた夢に さよなら
ささやいて Love me
ラララ・・・
