BUCK-TICKの「...IN HEAVEN...」がNHK の【JustPopUp】で公開されたのは
1988年6月のことである。
TVという巨大マスメディアにも頻繁に顔を出し始めたBUCK-TICK。
同年6月21日にリリースのアルバム『SEVENTH HEAVEN』では、
10曲目の「SEVENTH HEAVEN」以外はほとんど新曲で、
時間もなく録音しながら曲作りといったへヴィーな工程で製作されたらしい。
前作とはうって変わって新曲メイン構成はファン待望の第3作と言える。
まず、オープニング「FRAGILE ARTICLE」で驚愕する。
花畑を笑顔で駆け回るかのような雰囲気で、
櫻井敦司が「ラララ♪ラララ♪」と歌うワルツ風ハミング
これが次のアルバムの代表曲「...IN HEAVEN...」へといざなう序章となっている。
基本的には初期BUCK-TICKの路線を受け継いだキャッチーなメロディのポップスであるが、
若さ弾けるような明るさ一辺倒だった前作に比べると、何となく哀愁感が漂い、
一部に工夫されたアレンジや抽象的な歌詞などが成長の跡が見られる。
通して聴くと全体としての世界観があり、曲調も幅広くなってきている。
今でも演奏される、ライヴ定番曲を数多く含むアルバムで、
民俗音楽を導入するなど、今井寿のメロディメーカーとしてのセンスの光る作品でもある。
表題の「...IN HEAVEN...」は文句なしにBUCK-TICKの名曲で
スピード感の中に不思議に切ない印象的なメロディが頭に焼きつく。
「VICTIMS OF LOVE」も妖艶なエロスを上手く表現した秀作であり
櫻井敦司の世界観がBUCK-TICK表面へと溢れ出てくるようだ。
また櫻井敦司の作詞も増え、星野英彦作曲の楽曲「DESPERATE GIRL」も入り、
少しずつバンドとしてのBUCK-TICKの原型が出来始めている。
しかし、まだBOOWY後継の人気のあるバンドの域を脱しておらず、
この名曲「…IN HEAVEN…」に、キャッチーなメロディーの中に
暗く重い独特の世界観を作り出すニュアンスが感じられる程度で、
メジャー3作目にして転換期を迎える次作コンセプト・アルバム『TABOO』の登場を待つことになる。
ライヴ・ツアーは、この時期も過密スケジュールで実施され、
1988年6月【KID'S ALIVE】東京PITを始め
10月11日には 【SEVENTH HEAVEN TOUR】戸田市文化会館からスタート。
そして、いよいよブレイクポイントの到来
10月26日にはファースト・シングル「JUST ONE MORE KISS」発売。
テレビCMにも使用され、いよいよ本格的にマスメディアにその姿を映し出すことになる。
